表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/72

サイバイガル・タイムズ 二〇三四年 第二十四号

『驚天動地! 再会を果たした異能兄弟!』


 天高く馬肥ゆる秋、愛しき諸君らは食欲にその身を支配されていないだろうか?

 ……筆者のように。

 という漫言放語は置いておいて、本号では例のあの兄弟について紹介をしよう。

 諸君も当然ご存知だろう、学園国家サイバイガルで一世を風靡した、二人の異能兄弟だ。

 わけあって行方知れずとなっていた兄と、その間にサイバイガル随一の有名人となっていた弟。

 その二人が先日、約三年ぶりに感動の再会を果たした。

 我々情報屋はすぐさまその情報を手に入れ、再会した彼らに対する取材の機会を得ることに成功した!

 では、まずは彼らのプロフィールから紹介していこう。


川瀬快太(かわせかいた) 

 性別:男 

 年齢:二十二 

 生年月日:二〇一一年九月一五日 

 血液型:O型


君口兄斗(きみぐちけいと) 

 性別:男 

 年齢:十八 

 生年月日:二〇一六年七月十日 


 ……と、ここで諸君は一つ、疑問を抱いてしまったかもしれない。

 言われずとも予想できる。『何故、名字が異なっているのか』という疑問だろう。

 何も聞くに能わずというような理由ではない。兄・快太氏は、実は三年前に既に婚姻している。婿入りした彼は、名字を『君口』から『川瀬』に変更しただけのことだ。


 さて。彼ら兄弟が特別な存在であることは、通暁な諸君も既知の事実。

 次に、彼らの持つ『力』について説明していこう。


 まずは兄・快太氏の持つ、『超能力』。

 彼は物を触れずとも自在に動かせるという、一種の念動力のような力を使うことが出来る。

 その力の限界は本人しか知らず、彼の知人曰く、彼は力の限界を周囲に隠して生きているとのことらしい。正直、恐ろしい。

 実は彼、その力を使って数々の不可思議な事件を解決し、多くの災害の中で人々を救ってきたなどというような、輝かしい実績をいくらか持っている。

 テレビや雑誌で何度も彼の評判は取り上げられており、世間が愛する『本物の超能力者』として、その名に恥じぬ雄傑だ。


 次に弟・兄斗氏の持つ『リフレクション』。

 これはこの学園でのみ見られる『カース』の一つと推定されている。

 すなわち、兄斗氏は『呪われている』ということになるのだが、この力はむしろ彼の身を守る意味で役立っている。

 それは空色に光る六角形の小さな結晶のような見た目で、普段は小さくなって彼の右目の中に納まっている。

 彼の身に危険が迫ると、その結晶は彼の瞳から飛び出して、バリアの要領で彼に向かってくる脅威を防ぐ。

 ただ、どうやら防ぐのは物理的な脅威だけでなく、目に見えない脅威……カースなども防ぐのだという。非常に便利なことこの上ない。


 ――さて、ここまでは彼らの素性と能力について述べたのだが、彼ら兄弟にはまだもう一つ、語るべき事柄がある。

 それは…………彼らとこの学園国家サイバイガルの関係だ。

 実はこの二人、かの大戦の英雄ベンドール・キリアクスの子孫。

 キリアクスはこのサイバイガルの土地で命を絶ったが、彼には当時九人の子どもがいた。

 そのうち三人目の子どもが、なんとこの兄弟の祖父に当たる人物なのだ。

 学園国家の創設自体には関与していないが、キリアクスの亡くなったこの地は彼らにとっても縁のある土地。

 もしかすると、彼らがこのサイバイガルに現れたのも、何かの運命なのかもしれない……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ