漸く進む会話
数ある作品の中から拙作をお選びくださり、ありがとうございますo(*⌒―⌒*)o
殆ど会話の回です(*・ω・)*_ _)ペコリ
「マチルダ・プパ・ガヌンダ。ガヌンダ……ガヌンダ……何処かで聞いた」
「ガヌンダ家はここガンダーダム辺境の領主だ」
「この辺境に居ながらガヌンダ家を知らないとかあるのか?」
お嬢様の名前で引っ掛かっていた女に答えを教えるおやっさんと、違和感を唱える後輩。でもな後輩よ、こいつ本物の天然だぞ。
「私のお家、ここ無い。街から遠い」
「ま、知らない旅人が多いのも確かだけどな。でもお前さんの場合は、このガンダーダムに商品卸てんだろ?」
ここで商売しようというのなら、領主の名前くらいは把握するものだ。普通なら。でもこいつは残念な意味で普通じゃないだろう。
「商業ギルド通さない。手続き、しない商い」
「それ、違法っしょ」
「控除の枠内。手続き無い。怒られない」
あの小窓から覗いた時に見た品物が全数なら、確かに控除内だろう。
「商いだと、年単位で中金貨十二枚からが課税対象だったな。つまりそれ以下なら課税対象外だから、手続きその物も免除の対象となる訳だ、後輩よ」
「何スかそれ!? 何かズルくないスか!?」
「語尾に『ス』を付ける癖が出てる」
私が教えて遣ると後輩がキレた。キレた証拠のように出て来た語尾に注意が向いた為に説明が成されないと判断したのだろう。女が説明の続きに入った。
「流しの行商は? 税金、取る?」
「あ……」
「だから外から来る、街入る、お金払う」
「城郭を潜る時に徴収する入門料が、謂わば税金みたいなもんだ」
当然ながら、この街に住む住民は無料で街に戻れる。しかし外の人間には入門料を徴収する。何か問題が起きた時──犯罪に限らず事故や病気その他の問題に対応するのが『街』になるからだ。当然タダではない。何事にも費用はかかる。全員が問題を起こす訳ではないが、ま、後輩にも言った通り、住民に対する税金に当たる。
ついでに説明すると、流しではなく、大きな商取引で訪れた相手は別だ。入門料は一人頭幾らで払ってもらう金額は同じだが、品もお金も大きくなればギルドを通す。あとは法に照らし合わせての決まり事で物事が進む。
「そこで違法な何かが起きれば、その時は我々憲兵の出番だ」
「悪い憲兵、苛めっ子。権力とお金の味方」
「……急に攻撃的になった理由は、おやっさん?」
「お前が可愛い後輩に教えを垂れてる間に、俺がお嬢さんに説明したら、こうなった」
「私が闇魔法使う。だから貴方達、私を犯罪者言う。失礼」
「あー、今、総浚いしてるところなんだよ。一応、全員に話を聞いてる段階だから、お前さんを犯人に仕立てようって訳じゃない」
「私、生け贄、しない?」
「生け贄? ……ああ冤罪か! 冤罪はあってはならない。だからまずは話を聞かせてくれ」
「さっきの女の人?」
「……お前さんが今日、街に入ってから接触した人間は誰と誰だ? 憶えている限り答えてくれ」
「女将さんだけ。道、すれ違う、分からない。後は、さっき、美味しいおじさん」
「……最近、闇魔法を使った事はあるか?」
「この街に来る。道。使いながら来た」
は!? おいおいおい! どういう事だ!?
「私、立派な闇魔法は、ダメ。使えない。魔力は少ない。だけど、道、危ない」
ん? そうだな。運が悪ければ野党も出るし、魔物も出るからな。
「お日様燦々、シミとシワ、怖い」
ん? んん?????
「日傘の代わり、闇魔法で影作る」
「お~い!」
我等三人男の声が揃った。後輩が勢いだけで質問を重ねる。
「対象者の精神に負荷を架けたり、呪ったりとかはしないのか?」
「『他人を呪わば穴二つ』」
何でいきなり流暢になった?
「穴は墓穴。誰かを呪えば自分も呪われる。人生、棄てる、嫌。それに魔力がたくさん、いる。魔力、足りない」
「そんなに魔力必要なのか……?」
「私、呪い、知らない。分からない。だから、ハッキリ? しっかり? 言えない」
「断言は出来ないってことか……」
「マチルダさん? ちゃん? 呪われた?」
「………闇魔法で誰かを拐ったりとかは可能だと思うか?」
「おやっさん!」
「…それ、物理で?」
漸く、ちょびっとだけ進んだ( ;∀;)