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迷走

数ある作品の中から拙作をお選びくださり、ありがとうございますo(*⌒―⌒*)o

引き続き、憲兵さん中堅の目線でお送りしますm(_ _)m



 まずはお茶を出して、会話を進めた。


 で、調べれば分かると言うので女の証言を元に問い合わせをかけると、本当に登録されていた。問い合わせ先は商業ギルド。しかも商業ギルドが言うには、魔力紋を刻んだ登録である。これは登録が面倒で有名だが、安全性は高い。何かを登録する度、そして金銭を入金したり引き出したりする度に魔力紋を利用する。魔力は人によって特徴が違うらしい。双子でも決して重ならない違いだそうだ。時には犯罪捜査に残滓(ざんし)を利用して捜査が進められる事もある。だが──


「本当にお前の登録かどうかの確認が必要になる」


「確かめる。商業ギルド、行く」


 女がクリームを売った金を入金しに行けば良いだろうと言い出した。

 それはそうだが迂闊に外に出すと、隙をついて逃亡されるおそれもある。何よりも本日は大概の業務が休日だ。通常業務ならば、と注釈は付くが。


「! 年末年始はお休み」


 ただギルドは休業だと伝えただけで理由を察した。どうやらその程度の常識は備えていたらしい。


「ん~……帰る」


「待て待て待て。お前は連行されて、ここに居るんだ」


「クリーム売るは、犯罪?」


「大丈夫。クリームは本当に助かってるよ」


 チームの最年長おやっさんが穏やかに教えてやると、女はホッとしたようだ。


「お腹空いた。今なら間に合う」


「待てっ。『間に合う』ってのは、何に間に合うんだ?」


「? お家に帰る、間に合う。私のお家は、ここから遠い。夜、んー遅い、危ない。だから早く帰る」


「泊まりは確定だ」


「困る!」


 私は口角を上げた。


「ほー、何が困るんだ?」


「年末年始! 神様、精霊、お家でお出迎え!」


「いや、だったら何でこんな日に出て来たんだよ?」


 後輩の素朴な疑問にも、女は速攻で答えを返してくる。さすがに閥が悪そうではあったが。


「日にち、分からなくなった。私のお家は、暦、無い。時計も無い」


 我ら三人は顔を見合わせた。

 時計はともかく、暦が無いってのは生活に色々障りがあるだろう。特に、犯罪に。突発的な犯罪ではなく計画性の高い犯罪は、文字通り計画性が物を言う。特に今回のようなお嬢様の誘拐となれば、日付の確認は必須も必須だ。


「嘘だと思うか?」

「いやあれ天然だろう」

「あれで演技だとか言ったら、国の隠密だって勤まりますよ」


 念のための俺の確認に、おやっさんと後輩の感想。これには俺も頷くしかない。


「第一の前提として、()()に耐性がある訳じゃないよな?」

「おやっさん…私だって多少の影響は受けるくらいのアレですよ」

「え?先輩モゴ!」


 声音が跳ね上がった後輩の口をおやっさんが塞いだ。せっかく言葉を暈しているのに意味が無くなるだろう。声を潜めての会話だが、部分的には聞こえていても不思議じゃない。尤も、相手はこっちに全く興味を示さずお茶を──自白剤入りを飲んでいるが……。


 そう、お茶は自白剤入り。効き目がすこぶる良いのに、副作用及び後遺症は無い優れもの。ただし後を引く。いつまで効力を発揮しているかは個人差もある。例えるなら酒の酔いのようなものだ。酔い醒めが早いか遅いか。




「分からない、ある」


 唐突とも思える声が女から上がった。


「『分からない』が『ある』って何だ?」

「………質問でもあるのか?」


 後輩の疑問と、おやっさんの解釈に女が頷く。


「どうして? 私、ここ、連れて来る…う?」


「ここに連れて来られた理由か?」

「今更か」


 おやっさんの優しい受け答えに突っ込みを入れたら、私の脇腹におやっさんからの肘鉄が入った。


「私は犯罪、犯した、の?」


 これ、何も遣ってないよなぁ……と思いながら、私はお嬢様の名前を出してみた。すると──


「? 誰? 女の人の名前?」


 ………まさかの無関係か。








今、別のお話をチマチマ書き溜めている最中です。

遅筆に泣いています( ;∀;)

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