ましゃか⁉ 私の本当の力って……3
昨夜一話投稿しております。
まだお読みでない方は、ひとつ戻って下さい。
出発から早二日。
私たちは、国境付近の荒れ地の手前にある村へと到着した。
そして村の宿屋をお借りし、最終確認を行っている。
「この村の先をしばらく行くと、問題の場所になる。今のところ危険はないが、近くまでは全員で向かい、聖女殿にはアレクとともに飛んで、空からその様子を見てもらいたいと思っている」
陛下の言葉に、私とアレクさんは頷く。
アレクさんと共に飛ぶ、ってこういうことだったのね。
まあでも、私の予想が当たっていれば、そう危険はないと思っている。
いや、むしろ……
「では、しばらく休憩してから向かうぞ」
「はい」
村で一度水などの補給を行うとのことで、私たちはしばらく自由時間ということになった。
少し村の中を見て回りたいと申し出れば、構わないとのことだったので、アレクさんとカイ、そしてミリアと共に外に出る。
すると、子どもたちが村の動物たちと雪遊びをしている光景が目に入った。
楽しそう。
今日はお天気も良いし、雪遊び日和ね。
ここ数日はお天気が続いており、雪も心なしか少し溶けたような気がする。
春はまだ少し先だが、こんな小春日和の日に日向ぼっこをするのって気持ちいいのよね。
今日はそれほど寒くないからか、外でも村人たちの姿をよく見かける。
「ねっ、ほら、すっごいカッコイイでしょ⁉」
ぴくっ。
「ほんとだ。あの小さい女の子を守ってるのかな?」
「あの紺色の髪の男の子も将来有望じゃない? きっと大人になったらカッコよくなるわよ~」
「そうねぇ。でもやっぱりあの赤い髪の騎士様が素敵よ! あーん私もあんな風に守られてみたーい」
きゃーっ!と黄色い声が響く。
お、お姉さんたち、聞こえてますよ?
「王都から来たんだよね? なにしに来たのかな?」
「さっき黒髪の人と銀髪の人も見かけたけど、すっごいカッコよかったよ」
おおぅ……。
これはきっと陛下とリクハルドさんのことだよね?
アレクさんといい、陛下やリクハルドさんといい、それにカイまで。
まぁみんなものすごく顔が整ってるもんね。
国王陛下ご一行の視察だということは伏せて来ているが、それにしたってみんなの容姿は目立ちすぎる。
こりゃ私が妬まれるパターンではないだろうか。
ちびっこでも女は女だ。
「なにあの子! イケメンたちに囲まれてズルイわ!」とかさ。
こうなると下手に外に出ない方が良いかしらと思い直す。
引き返そうかとうしろを振り向くと、なぜかアレクさんが険しい顔をして一点を見つめていた。
「あれくしゃん? どうしまちた?」
そんな姿が珍しく、声をかけてみたのだが、アレクさんはすぐに私を見てなんでもありませんと笑った。
なんだったのだろうとアレクさんが見つめていた方に視線をやると、そこにはカイと同年代くらいの少年たちがいた。
少年たちと目が合う。
すると、少年たちはまるで覗きがバレたかのように赤い顔をして慌て始めた。
「リーナ様。さ、進みましょう」
どうしたのかと首を傾げていると、アレクさんにくいっと首の方向を変えられてしまった。
なんだかよくわからないけれど、たしかにさっとまわって宿屋に戻った方がいいかも。
そう思い、少年たちを気にすることなく歩き進んで行く。
するとカイがぼそりと呟いた。
「まぁこいつ、見た目は美少女だからな。変なことに巻き込まれないよう、アレクシス様が牽制しておくのも大事だ。――ってことだよな」
「んん? なにか言いまちたか、かい」
「いや、なんでもねぇよ。それよりほら、見てみろよ」
ぼそぼそとひとりごとを言うカイが指をさした方を見ると、窓の奥、一軒の家の中で、お母さんと子どもらしき獣人が、水瓶に水を入れていた。
そう、その水瓶は、カイたちと作った濾過装置だ。
「すげぇ量を作らされたから大変だったけど、ああやって実際に使われてるところを見ると、なんか感動だな。本当に俺たちが作った物が、国中に渡ったんだなって。なんつーか、誇らしいっていうかさ」
カイが笑う。
その笑みの奥にあるのは、達成感とか、充実感とか、そういうものだろう。
自分が努力したこと、頑張ってきたことが、こうやって結果として見えるのって、すごく嬉しいことだと思う。
「……うん、そうでしゅね。かいががんばったおかげで、美味しい水が飲めるって笑顔になった人は、たくさんいると思いましゅよ」
その気持ちを大切にしたくて、そう応える。
そうやって自分に自信を持つのって、大事なことだから。
「……おい、嫌味かよ。そもそもあれはおまえの発案だし、水の浄化だっておまえの魔力を付与した布がねぇとできないことだろうが」
「え、いや、まぁ、それはそうなんでしゅけど……」
しまった。
そういわれてみれば、嫌味に取られかねない発言だったかもしれない。
ど、どうしよう、なんて言えば良いのか。
誤解だって言って、わかってもらえるかしら。
「ぷっ、そんな顔すんなよ。冗談だって」
あわあわしていると、カイが吹き出して笑った。
「おまえ、そーいう嫌味とかわかんなそうだし。純粋に褒めてくれてんだって、わかってるって」
悪戯な顔をするカイに、むーっと口を尖らせる。
まさかこんな小学生くらいの少年に弄ばれるとは。
「はぁ、カイはイタズラ坊主ですねぇ。リーナ様、こんなヤツ、褒めなくてもいいんですよ?」
「うるせーミリア! 誰が坊主だ誰が!」
慌てる私を見かねて、ミリアが庇ってくれた。
ふふ、こうして見ると、このふたりも姉弟みたいね。
「さて、じゃれ合いはその辺で終わりにして、そろそろ戻りましょうか。少し体を温めてから出発した方がいいですしね」
わいわいと騒ぐ私たちを見守ってくれていたアレクさんのひと声で、宿屋に戻ることにする。
その道すがらでも、アレクさんに見惚れる女性たちがたくさんいて、イケメンって本当にすごいなぁと感心させられたのだった。




