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【改題・書籍化】ちみっこ転生幼女の 異世界もふもふ付き新生活  作者: 沙夜


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39/50

みんなでお料理も楽しいでしゅよ?4

「それにしても、かいの作った道具はばっちり大成功でちたね!」


「ああ、あんな風に使うモンだったんだな。魔石があれば、おまえがいなくても使えるってことだろ? こりゃまた厨房から追加で注文がきそうだな」


「魔石、初めて見ましたがとても便利ですね。あれはどのくらい力が保つものなのですか?」

 

それぞれの作業が終わるまで、私とカイとアレクさんはミキサーの話に花を咲かせていた。

 

魔石を作るのはそんなに大変じゃないし、燃費も悪くないから、この厨房にいくつか置いてあっても便利かもね。


「……んで、なんでそこまで詳しいくせに、おまえは自分で料理しないんだ? たしかにまだ小さいけど、あんだけ詳しいならできないってこともないだろ?」

 

その途中、カイがこんなことを言い出した。


「たしかにそうですね。屋敷の厨房でも、実際に料理しているという話は聞きませんし……」

 

アレクさんまで不思議そうに首を傾げてきた。

 

これは答えないと不自然だよね? 


し、仕方ない……。


「そ、それは……。――から、でしゅ」


「あ?」


「すみません、聞こえなかったので、もう一度お願いできますか?」

 

情けなすぎて自然と小声になってしまったようで、ふたりから耳を寄せられてしまった。


「~~~っ、だから、獣人国のさいじゅは、私には合わないんでしゅ!」

 

半ばやけくそに大きな声を出す。


「調理台は高いし、包丁もふらいぱんもへらも、なにもかも獣人さいじゅで大きすぎなんでしゅ! 人間族用のものさえ、この小さい手で上手く扱えるかわからないのに、ひとまわり大っきくて重い道具を使いこなす自信がないんでしゅよ!」

 

言った。


言ってやった。

 

恥ずかしさのあまり、真っ赤になってぷるぷる震えていると、ぶっ!とカイが吹き出した。


「た、たしかにな……。おまえみたいなちびには、無理だよな……」

 

……笑いを堪えても、バレバレなんだけど? 


耳としっぽまでぶるぶる震えてるけど?


「な、なるほどそんな理由が……。あ、ですが、小型の獣人用のものもあるにはあるので、もしリーナ様がご希望されれば、すぐにご用意いたしますよ? ふ、ふふっ」

 

アレクさんはなんとか平静を保って我慢していたようだが、最後に笑いが零れていた。


「も、いいでしゅ。おふたりはすーぷいらないらしいって、料理長さんに言ってきましゅね」


「あ、汚ねぇぞ!」


「も、申し訳ありませんリーナ様!」

 

うしろから謝ってくるふたりから顔を逸らしながら、私は頬を膨らませるのであった。





なんだかんだでコンソメスープが完成し、みんなで試食タイムとなった。


ちなみにあの後私からお許しを得たカイとアレクさんの分もちゃんとある。


「う、美味い」


「すげえ、あのまるごと野菜と肉の骨を煮詰めると、こんな美味くなるのか……」

 

みんなからも好評のようで安心する。


このコンソメスープがあれば、クリームシチューやロールキャベツなど色々な料理が作れることを伝えると、また次回ぜひ!と懇願された。


「顆粒の方は、油抜きのペーパーの上に置いたまま、一晩寝かせておいてくだしゃいね。煮沸消毒した瓶に詰めれば、二・三カ月ほど保つと思いましゅ」

 

騎士たちもかなり頑張ってくれたため、顆粒の方もかなりの量ができた。


冬の間くらいなら保ちそうだし、活用してもらえるといいな。


「それにしても、以前リーナ様は簡単な料理しか教えられないと言っていましたが、これはかなり手が込んでいる料理なのではないですか?」

 

私の隣で食べていたアレクさんが早々と完食してスープ皿が綺麗になると、そんなことを聞いてきた。


「あ、それは……」

 

そう聞かれて、思い出す。


前世、近所で畑をやっていたおばあちゃんにたくさん野菜のおすそ分けをいただいて、お母さんといっしょに一から作ってみよう!と思い立って、家で一番大きな鍋でコンソメスープをたくさん作ったことを。

 

おばあちゃんの家にも持って行って、その日の夕食にお父さんも一緒に、美味しいねって笑いながら食べたことも。


「……前世で、母が料理好きだったので、一緒に作ったことがあったんでしゅ」

 

両親を亡くして、働き出してからは忙しくて、こんな風に時間をかけて料理をしたことがなかったから、すっかり忘れていた、優しい思い出。


こうやって、もう時々しか思い出せないことも多いけれど。


「そうでしたか……。では、母の味というやつですね」

 

アレクさんの言葉に、目を見開く。

 

母の味、かぁ……。


「はいっ! とっても美味しくできて、よかったでしゅ!」

 

こんな機会がなかったら、アレクさんの言葉がなかったら、もう思い出すこともなかったかもしれない。

 

こうやって、優しい人たちに囲まれていなかったら、泣いてしまっていたかもしれない。

 

だから。


「ありがとうございましゅ、あれくしゃん」

 

日頃の感謝の気持ちを込めて、私は思い切り笑うのだった。

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