エピローグ
時は流れ、蝶子と耕平は結婚し、共に創作活動を続けていた。
蝶子の絵は、世界中で高い評価を受け、多くの人々の心を動かしていた。一方、耕平の小説も、深い洞察力と豊かな表現力で読者を魅了していた。
二人の作品には、常に「愛」と「芸術」が調和していた。それは、かつての呪いを乗り越えた証でもあった。
ある日の夕暮れ時、蝶子は自宅の庭で一人佇んでいた。
そこに、一羽の蝶が舞い降りてきた。
「あら、こんにちは」
蝶子が優しく語りかけると、蝶は彼女の肩に止まった。
その瞬間、蝶子の脳裏に様々な映像が流れ込んできた。
過去、現在、そして未来。
家族の歴史、自分の人生、そしてこれから生まれてくる子供たちのこと。
すべてが、一つの大きな物語として紡がれていく。
「ありがとう」
蝶子は、静かに呟いた。
蝶は、ゆっくりと羽ばたき、空へと飛び立っていった。
その姿を見送りながら、蝶子は思った。
これからも、きっと様々な試練が待っているだろう。でも、もう恐れることはない。
なぜなら、芸術と愛に導かれて、自分の道を歩んでいけるから。
そして、いつかまた、鏡の中で新たな物語が始まるのかもしれない。
蝶子は、静かに微笑んだ。
空には、夕陽が美しく輝いていた。
(了)