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プロローグ
幾重にも重なる時の層
忘れ去られた刹那の連なり
静かに、ひっそりと息づくその影たち
まだ見ぬ未来の予感に揺れる
すべては、一枚の鏡に映し出される
過去、現在、そして未来
絡み合い、溶け合い
一瞬のうちに消えていく
薄暗い蔵の中、埃に覆われた古道具の間で
佇む鏡は、ただそこにあるだけ
冷たいその表面には
蝶の羽のようなかすかな模様が浮かび上がる
光に揺れ、心に映るその模様は
儚く、しかし確かに
時を越えて、何かを語りかける
この蔵の静寂に包まれた鏡
長い時を経て、忘れ去られたその存在
誰も触れず、誰も語らない
だが、その奥には強烈な何かが潜む
鏡は待っている
過ぎ去った時を抱え、まだ見ぬ未来を映し出す
過去と未来が交差するその瞬間を
誰かが、その鏡に触れた瞬間ーー
時は歪み、記憶は溶け出し、現実と幻想の境界は霞んでいく
夢と現……そして無限の回廊……
物語は、今、始まるのだ