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三日目 高橋葵 エピローグ

「それで、成果はその写真の石だけね?」

「ああ、そっちは?」

「こっちは特になし」


 船着場に集合して、今日の成果を報告しあう。結局今のところ、手がかりは空真珠と俺たちが見つけた石だけだ。

 まるで進んでいないと言えるのに、何故か貴子に不満そうな様子は見られなかった。いつもなら、感心薄い振りをして、一番ムキになるのにな。

 神島からの最終便は早い。四時過ぎには俺たちは神津市に戻ってきていた。

 本日はこれにて解散だろうな。美香と葵にはちゃんと家族が待っているしな。


「わたしはこの石の文字を調べるわ」


 貴子が宣言する。そしてそのまま、明日の予定を言ってくる。


「明日はわたしと葵、秀司で山登りね。実物も見る必要があるし。喋りの上手な美香は、良介と島の人たちに空真珠を見せて聞き込みして」


 また手分け、か。しかし俺と美香をペアにするのはどうなのかね。

 俺と同じことを思ったのか、秀司が珍しく反対の声を上げる。


「良介と美香だけでやらすのか? 良介ー。狼になるんじゃねーぞ」


 なるわけねーだろ。が、まあ心配はもっともだ。ありえないけどな。

 珍しく葵は黙っている。貴子と秀司の視線が美香に向かう。


「だいじょーぶだいじょーぶ。良介チキンだから」


 ぱたぱたと手を振って、美香は明るく了承した。反論できんが、俺は最終的に丸焼きにされるのか?

 心配されるべき本人が了承したことで、貴子の指示は確定となった。

 全員が歩きはじめる中、俺は貴子に声をかけた。ゆっくりと、三人から距離を置いてから話を始める。


「どういうつもりだ?」

「どうって?」


 無表情に聞き返してくるなよ。わかっているだろうが。


「今日は俺と葵、明日は俺と美香。何のつもりだ?」

「答えると思う?」


 いや、あんまり思わんが、余計なことすんな。実際今日も綱渡りだったんだ。

 だが、貴子は答えの一部をくれる。全部くれることはこいつにはありえない。


「余計なことだとおもっているんでしょう? でもわたしはそう思っていない。これはチャンスなの」

「え?」

「終わりになるだけの一週間の持つ意味を、変えるチャンス」


 俺は意味がわからず、貴子の次の言葉を待つ。だが、直接の情報はここまでらしい。


「ちゃんとしなさい。びびるんじゃない」


 じろり、と下から俺は睨みつけられる。こいつ、睨むとすごい迫力あるんだよな。

 だがまあ、貴子の狙いは大体わかった。けれど、俺にできるかね?

 その不安を、別の言葉に変える。


「なあ、男と女の友情って、あると思うか?」


 その言葉の中で揺れる、俺の感情を読み取ったのか、貴子はふっ、と微笑んだ。


「あるわよ。だからわたしたちはこうしているんだから」


 そうか。お前がそう思っているなら、いいんだ。

 オッケー。俺のやるべきことは決まった。

 明日もきつい一日になりそうだ。

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