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プロローグ
「♫〜ーーー♫〜ー」
ご飯食べる時はテレビを見るものじゃないって、よく言うけれど本当かもしれない。
目の前には大好物のハンバーグ。
いつもならパクパク食べてあっという間に無くなるのに、今は箸で掴んだまま視線はテレビの方に向いている。
「可愛い...」
思わずぽつんと零れ落ちるように出た言葉。
フリフリでヒラヒラの水色がベースの衣装を着た女の人。
ステージはとてもキラキラして輝いている。
女の人は歌いながら踊っていて、とても楽しそう。
その楽しい気持ちが伝わっているかのように、会場の人達も笑顔になっている。
「ほら、手止まってるわよ?テレビ見てもいいけど、ちゃんとご飯食べなさい」
お母さんの声が遠くから聞こえた気がした。
「ねえ、ママ!私アイドルになる!」
「はいはい。良いから早くご飯食べなさい」