戻れるならば…
詩・短編を書いてみました。
気に入っていただけるか分かりませんが
一生懸命に書いてみました(^_^)
1000文字ぐらいで書いてあります。
物語の断片や本の1ページのようなモノだと思いながら
暇なときにでも読んで
楽しんで頂けると幸いです(^_^)
親戚が集まった日。
私が兄の子供と遊んでいたら
こんなことを聞かれた。
「オジサンは何で結婚とかしなかったの?」と。
結婚か…。
確かに
若い時はそれなりにお付き合いもしていたから
そのまま結婚をしようと思えば
出来たと思う。
でも
どうしても結婚という気持ちにはなれなかった。
多分
それは忘れられない
あの出来事があったから…。
私が19歳の時に恋人が出来た。
それは私の初恋で
記憶もなくなるくらい
緊張しながら告白したのを覚えている。
彼女はその辿々しい僕の告白を
優しく笑いなから
受け入れてくれた。
それから私達はたくさんのことをした。
私が海が好きだからその場所へ行ったり。
彼女が山が好きだからその場所へ行ったり…。
それらはとても楽しい日々で
当然のように
学校を卒業した頃には結婚を意識するようになった。
彼女と一緒に過ごしたい。
同じ未来を見ていたいと…。
しかし、それと同時に感じるのは
「彼女を幸せにしてあげられるのだろうか…」という不安。
彼女は素敵な人だ。
僕なんかに気遣いをしてくれるし
笑ってもくれる。
それに比べて僕は彼女に何もしてあげられない。
だから
僕なんかが彼女と結婚してもいいのだろうか?と思ってしまうのだ。
他の人が見たら「何を言ってるんだ」と思うだろう。
僕だって
その想いはある。
でも勇気が出ないのだ。
結局
僕は自分に自信がなくて
プロポーズすることが出来なかった。
彼女に想いを伝えることが出来なかったんだ。
その2年後。
僕が大きく後悔することが起きてしまう。
彼女が倒れたのだ。
病院で診察を受けると
彼女がガンに犯されていることが発覚した。
ガンを見つけた時にはすでにステージ4。
医者はもう助からないと言う。
僕は何度も治せる医者を探したが
当時の医学では治す術はなかった。
僕は青空を仰ぎ見て
歯を食い縛り
潰れた声で嘆いた。
僕が…。
僕が……。
バカだったから………。
僕は彼女に何度も謝った。
「勇気がない自分でゴメン」と。
しかし
彼女は「気にしないで」と僕が謝る度に笑顔で言ってくれた。
でも
その笑顔が僕の心を強く締め上げて…。
締め上げて…。
また泣いてしまうのだ。
それから数ヵ月後
彼女は僕の前で息を引き取った。
葬儀も行われ
彼女の親は僕に「ありがとう」と言ってくれた。
それは僕が死ぬ間際まで
彼女の事を愛してくれた事へのお礼だという。
でも
僕はそのお礼に何度も首を振った。
だって
僕は何もしていない。
想いを伝えることも
彼女を守ることも出来なかったのだから…。
それから月日が流れ
僕は様々な女性とお付き合いした。
でも
その度に彼女の事が頭によぎり
私は付き合っても別れることを繰り返してしまう。
正直
この年齢になった今も
彼女のことは忘れられてはいない。
いや…
忘れられるものか……。
「おじさん。何で泣いてるの?」
どうやら私は泣いてしまったようだ。
「怖いのなら僕が消してあげる」
兄の子供は私の頭に手を当てて
痛いの飛んでいけ!をするように
「怖いの飛んでいけ!」と言って励ましてくれた。
私は涙を拭い
子供の頭を撫でる
『ありがとうな。おじちゃん、元気になったよ』
子供は嬉しそうに笑う
すると
私の知らない
同じくらいの女の子がやって来た
二人の関係を話を聞くと
学校の同級生らしい
『ほら、二人で遊んでおいで』
私にそう言われた二人は
元気よく遊びに出掛けた。
その二人の背中がまるで
昔の自分を見てるようで
私は静かに泣くのであった…………