手紙
人は人であるべきであり。
化け物は化け物であるべきだ。
そして、君の妹君は此方よりだろう。
彼女は、食事をとれないのではない。
彼女は、君達と違う物を食むのだ。
彼女は、赤色を食すのだ。
名護の彼女とは違う、単色性だがね。
君は、ソレを知っていたのだろう?
君は、君の妹君が化け物であると知っている筈だ。
そして、その上で。
君は、妹君を見捨てている。
侵食された赤は黒蝕に潰されながら、脆く鈍い色に染め上げる。
咽るような鉄錆の匂いを掻き消すように、それでも君は笑っただろう。
鼓動の音に合わせるように、落ちていく紅は止まる事が無い。
鼓動は段々と意味を無くして、空っぽになって消えていく。
重なる音、鼓動を繋ぐ振動。
今まさに、続いている君へ。
在るべき日に在るべき時で、君が普通で居たいのなら。
この意思を飲み、食み。化け物である自覚をするのなら。
君は今すぐ、救われるべきである。
私はその手紙を懐に仕舞った。
同封された中身には、一つの石が置かれていた。
__少し迷った私は、口を開けてそれを飲み込む。
そして、私は__。
一応、一区切りとなります。
作品を見ていただきありがとうございました!