表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傷だらけのGOD 極神島の秘密 怒りのサバイバル!  作者: 吉田真一
第21章 地下牢
98/256

第6話 野獣

「臓器売買」


エマはポツリと呟くように言った。


「今あまりよく聞こえなかったけど......何て言った?」


「臓器売買と言ったんです!」 


「ぞっ、臓器売買だって!」


大人の二人は声を合わせて叫んだ。 


「臓器売買って何?」


玲奈だけは首を傾げている。


「私達の臓器が抜き取られて、誰かに移植されるんだと思います。臓器移植が必要な人達と、私達の臓器が適合したから連れて来られたんだと思う。


恐らく秋葉会の病院のカルテで、適合する人間を隈なく探してるんでしょう。その仮説が正しいのであれば、私達の身体は彼らにとって大事な商品という事になります。


ですから移植手術をするその時までは、絶対に私達に手を出さない、いや出せないと思います」


「という事は、奴らは銃を持ってるけど、あれは威嚇だけで、我々に引き金を引く事は無いって事か!」


「そういう事だと思います」


エマはきっぱりと言い切る。しかし勇ましい発言とは裏腹に、エマの頭の中には一つだけ疑問が残っていた。


それは自分自身であった。自分は秋葉会の病院に行っていない。ではなぜ自分はここに連れて来られたのだろう?


ただ単に殺す為? 極神島の秘密を探ろうとしていたのだから、彼らに自分を殺す動機はある。だったらこんな所に連れてくる必要などは無く、すぐに殺せばいい。


殺すチャンスなどいくらでもあったはずだ。わざわざ眠らせてここに連れてくる必要など無い。しかし実際自分は今ここに居る。なぜだ? 


そう言えば......『あなたは選ばれたのよ。神の僕になれるの』潮風で眠らされた時、女将がそのような事を言っていた気がする。


『あなたは選ばれた』


『神の僕になれる』


女将がエマに語ったこの二つのキーワード......それは今自分がここに居る事が、決して偶然ではない事を現している。


エマが料亭潮風に到着したその日......鼻血を拭いたティッシュペーパーをゴミ箱に捨てた。そして翌日そのティッシュペーパーは無くなっていた。


もしかしたらそれを調べられたのか?......もしそうならば、極神島の島民はここを訪れる全ての人間を調べているのかもしれない。


それが事実ならば、極神島の島民はもはや人を人として見ていない野獣と言っても過言では無い。短い間ではあったが、潮風で接した多くの優しい人達......


あの人達が皆野獣? 太一さんや真菜ちゃん......あなた達もそうなの? それは信じがたい事だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ