第5話 爆発
一方、圭一達はと言うと、まだBAR SHARKに居た。
「おいポール。あの腕輪本当に1キロメートル以内に入ると爆発するのか?」
圭一は疑わしい顔。この質問の答えには美緒も興味があるようだ。ポールの答えに耳を傾ける。
「実はデスガ......イチオウそのようには作ったツモリではいるんですけど、マダ試作品で......間違い無く爆発するとは思いマス。
ただ殺傷力はそんなに強くは無くて、タブン手が吹き飛び程度だと思います。あとGPS機能がチョット怪しくて。1キロメートルって言ったのもジツハ適当です。タブンその位だとは思いますが......」
「そんなもんか?」
「ハイ。そんなもんです」
「......」
「...... 」
その時だ。突然外でものすごい爆発音が響き渡った。
ドカンッ!
まるで地震かと思うような衝撃だ。酒のボトルがぐらぐらと揺れている。車が十台位同時に爆発したかのような衝撃だ。軍隊の手榴弾でも、ここまでの衝撃は起こらないだろう。
圭一はグラスを片手に静かに言った。
「ポール。確かさっき......腕が飛ぶ程度の殺傷力って言ってたよな?」
「確かに言った気がシマス」
「今の音......もしかしてそうなの?」
「タブン......」
「ミサイル級だったな。まあいいんじゃないか。どっちにしろ、奴らもこれでうちらに近付けないだろう。それよりだ......」
圭一の顔は途端に引き締まった。
「エマさんデスね」
ポールの顔も真剣だ。
「そうだ。こっちでやれる事も全てやったし......行くか?」
「極神島デスか......」
ポールが答える。
「極神島に行くしか無さそうね」
美緒も会話に加わった。
圭一とポールは思わず顔を見合わせる。
「美緒さん何言ってるんだ? 行くのは俺とポールの二人だけだ。ここで待機しててくれ。遊びに行く訳でもあるまいし。足手まといになる。勘弁してくれ」
圭一が話を終えるや否や、美緒の顔は明らかに膨れっ面になっている。
「さっきダイイングメッセージの謎を解いたのは誰だったかしら? あなた達さんざん考えてあの程度の事も解けなかったんでしょう。足手まといになるなんて良く言えたものだわ。それから、私を守り通すのもあなた達の任務なんでしょう。私を置いていくって事は、それ任務を放棄したって事でいいのね」
美緒は見下すような目で圭一を睨み付ける。
「それも確かに一理あるか......」
美緒の言う通り、再び刺客が送り込まれてくる可能性も十分ある。
「分かればいいんです。こんな所でもたもたしていられません。ポールさん。早く自衛隊でも米軍でもいいから極神島に渡る段取りつけて下さい! あなたそういう事得意なんでしょう」
「美緒サンいくら何でも無理デスヨ。そんなコト突然言われたって......ねえ圭一サン」
確かにゆっくりしている時間は無い。しかし無理なものは無理だ。
「いやポール。あの人なら出来るかも知れないぞ。あの人だよ」
圭一は押し殺すような口調で言った。
「アノ人って......誰の事デスカ?」
ポールは首を傾げた。
「やっこさんだよ」
圭一はニヤッと笑った。
「ナルホド。アノ人なら何とかしてくれるかもシレマセンネ」
ポールはすぐに悟った。それが誰なのかを。そして即座に奥の部屋へと消えて行った。そこはエマと美緒が初めて顔を合わせた事務所だった。
「何とかなりそうね。それで圭一さん。あなたは何が出来るの?」
美緒は視線を圭一に向けた。
「いやぁ......何が出来るかって言われてもな。腕っぷしには自信あっけど。こういう面倒臭い事はいつもポールにまかせっきりなもんで......」
「ほんとに使えないわねえ......まあいいでしょう。島に着いたら活躍の場もあるでしょうから。さあ猶予はありません。すぐに出発の支度に取り掛かりましょう」
「ああ......はい」




