第3話 腕輪
本日より、0時、18時、1日2回更新とさせて頂きます。宜しくお願い致します。(作者代理、エマより)
「仕方が無い......銃を捨てろ」
リーダーの男が銃を前に投げ捨てた。それを合図に三人も立て続けに銃を投げ捨てる。四人共悲痛の表情を浮かべた。取り分けリーダーの顔には、完全なる敗北に対する無念さが、額のしわと歪んだ表情に現れていた。
やがて、コツコツコツ......足音が近付いて来る。
そして何かが左手に触れたかと思えば、次の瞬間、手首が強く圧迫されるような感触に囚われた。手首がずっしりと重くなる。何かが手首に巻かれたようだ。
金属製のリストバンドのような肌触りだ。他の三人も同様な作業が施された。
何が巻かれたんだ? 暗闇の中で四人は顔を見合わせる。
パチン!
突如、店内のライトが点灯した。
眩しい! 目が眩む。
一瞬目の前が真っ白になったものの、時間と共に失われていた視界が戻ってきた。目の前に浮かび上がって来たのは、カウンターの前に立つ四人の男女であった。
二人の男は銃を構え、こちらに照準を合わせている。四人は店内が明るくなると、赤外線スコープをゆっくりと外した。
「お前達が極神島から送られて来た刺客だという事は解っている」
圭一が鋭い眼光で語り始めた。
「お前達が命を狙っているこの桜田美緒さん......」
圭一は美緒に視線を向ける。
「はっきり言っておく。この人は殺された斉田雄二からは何も聞かされていない。
極神島に何の秘密があるのか知らんが、この人の命を狙うのを止めてもらいたい」
「フッ、フッ、フッ......」
沙世が突然不敵な笑いを浮かべた。
「よう姉ちゃん。楽しそうじゃねえか。俺はお前らを笑わすような事を言った覚えは無いぞ」
圭一は唾を吐く。
こいつ自分達の置かれている立場が解ってないのか?
「桜田美緒......あんたは私の一番大事な人を殺した。お蔭で私は正君と二度と会えなくなった。許さない!」
突如沙世は美緒に飛び掛かろうとした。その瞬間、リーダーは沙世の手を掴み制した。止めとけ......
「お前達はナニカ勘違いしているみたいダネ」
ポールが一歩前に出て話した。
「正君って言うのか。彼は俺に問い詰められて、自らの命を絶った。サバイバルナイフで喉を掻き切ってな」
「嘘だ! そんな言い逃れは止めろ!」
沙世は再び飛び掛かろうとする。リーダーは強く握った手を離さない。
「今言った事は紛れも無い事実だ。信じる信じないはお前たちの自由だがな。いずれにせよ我々はお前らに殺される訳にはいかない。あらゆるリスクを排除せにゃならん」
圭一はグラスを片手に話を続けた。
「今ここでお前たちを殺すのは簡単だ。しかしここは東京のど真ん中。お尋ね者になるのはごめんだ。それでだ......おいポール腕輪の事説明してくれ」
圭一はグラスのカクテルを一気の飲み干した。
「リョウカイ......あとは僕が説明するヨ。オマエタチの手に巻きついてる腕輪なんだけど......ソレ何だと思う?」
「もしかして......爆弾とか?」
腕輪をはめられた一人がぼそぼそと答える。




