第3話 瓜二つ
「ワカリマシタ。お気を悪くされたのナラお詫びします。それじゃあ私はコレデ失礼します」
ポールは二人に背を向け、階段を降りて行く素振りを見せた。
「いやっ、ちょっと待って」
突如丸坊主の男が立ち去ろうとするポールを呼び止めた。ポールは足を止め、振り返る。
「ドウカしましたか?」
「いやあ。たまたまなんだけど住所知ってて。いやほんと偶然なんだ」
バツの悪そうなその表情は、後ろめたい何かがある事の現われと言えよう。
「本当デスか。ソレは有り難い」
ポールは笑顔を見せながら、一度下り掛けた階段を再び上り始めた。
「ちょっと先輩何でそんな事知ってるんですか? まさか......」
「いや、たまたま帰り道に見掛けちゃって......決してつけた訳じゃ無いんだ。あと、写真もあるんだけど」
丸坊主の作業員は、ポケットから数枚の写真を取り出した。
斜めから写っているもの、正面から写っているものなど様々。正に隠し撮りだ。
「先輩......もしかしてストーカー?」
冷たい目で視線を送る。
ポールは写真を一枚一枚丁寧に目を通した。
桜田美緒に瓜二つ......
美緒には三才年上の姉がおり、その姉は東京の花屋で働いている。
それは美緒が父から仕入れた情報で、圭一を介してポールの耳に入っていた。
宮田恵子は桜田美緒の血を分けた姉妹である事はもはや疑う余地が無い。
桜田美緒の身内を調べ上げろ......
それは極神島から送られてきたエマからの指令だった。
ポールは尚も宮田恵子、即ち美緒の姉の写真を隈なくチェックした。
髪型はショートカット。ボブヘアーに近い。美緒と同じく目が悪いのか眼鏡を掛けている。
どの写真もデニムに着古したTシャツの装い。
中にはエコノミーバッグから、長ネギが顔を出している写真もあった。
美緒に比べると、明らかに所帯じみている感があった。
一通り写真に目を通すと、それを全てポケットにしまった。
そして『これが住所』丸坊主の男は、更に手帳のページを破り、ポールに手渡した。
もう一人の作業員は終始呆れ顔。言葉を失っている。
「カナリ所帯じみてる気がシマスが、宮田恵子サンはご結婚されてるんデスか? あとお子さんは?」
「結構いい所に嫁いだらしいけど......旦那の暴力で去年離婚したらしい。
前の旦那との間に出来た女の子が一人。今は母子家庭ってやつだな。
俺の調べたところによると結構金に困ってるらしい。慰謝料たんまりもらってるはずなんだけどな。
何で困ってるのかは知らない。花屋で働いてたんだけど、それ以外にもかなりバイト掛け持ちしているらしいぜ」
この男正真正銘ストーカーだ。女性に相手にされない人間に多い。
金に困っている......
何か使い道があるのか?......




