表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傷だらけのGOD 極神島の秘密 怒りのサバイバル!  作者: 吉田真一
第9章 一枚のメモ書き
36/256

第9話 大地

「これは、お守りのミサンガなの。結構効くよ。これつけてれば病気なんかすぐに治るよ」


「わあ可愛い。有難うお姉ちゃん。大事にするね」


桃は満面の笑みを浮かべた。


「おや......桃ちゃんいい物もらったね」


すると後ろから男の太い声が。


振り返ると初老の紳士が一人。首には聴診器、白衣を纏っていた。この病院の医師に違いない。


「あっ、大地先生。いつの間に来てたの?幽霊みたい。桃ね......今日は体調子いいんだ。今ねえお姉ちゃんからミサンガもらったんだよ。ほらいいでしょう」


桃は手首を掲げた。誇らしげな顔が実に愛くるしい。


「いい色のミサンガだね。桃ちゃんはピンク好きだもんな。それはそうと......幽霊はひどいなぁ」


医師は冗談交じりに困った顔を見せた。


「だっていつも突然現れるんだもん。びっくりしたよね。お姉ちゃん」


桃はエマの顔を見上げて言った。釣られて医師もエマの顔に視線を向けた。


「初めまして。私は料亭潮風の柊と申します。看護婦さんにお弁当配達に来たんですけど......桃ちゃんが可愛いかったんで、ついつい道草食っちゃいました」


エマは笑顔で医師に話し掛けた。


「いや、ゆっくりしてらしたらいかがですか。長閑な所ですから。ぜひ桃ちゃんの話し相手になってあげて下さい。この子も喜びますんで」


医師は満面の笑みで答えた。桃も頷いている。


はい分かりました......太一を待たせている事を考えると、そう簡単には言えない。


「すみません。そうしたい気持ちは十分あるのですが、外で人を待たせてるので」 


エマは申し訳なさそうな顔で答えた。


「うん......分かった。でもまた来てね。桃待ってるから」 


「うん。必ずまた来るよ。桃ちゃんも先生の言う事ちゃんと聞いて早く病気治しちゃおうね」


「大地先生。桃の病気治るの?」


桃は不安げな表情を浮かべた。


「何言ってるんだ。治るに決まってるだろ。でも先生の言う事聞かなかったら治らないぞ」


エマは医師の顔が一瞬曇ったのを見逃さなかった。多分、難しい病気なんだろうな。こんな小さな子なのに......エマは桃の病状を何となく悟った。


「分かった。桃いい子にしてる。病気治ったらお姉ちゃんとピクニック行く」


桃の屈託のない笑顔が眩しい。


「そうしよう桃ちゃん。約束だよ。絶対にピクニック行こうね」


エマも努めて笑顔で応えた。


「さあ、そろそろ病室に戻ろう。あんまりはしゃぐと疲れちゃうぞ」


医師は優しく桃の手を取った。


「それじゃあ桃ちゃん私も帰るね。また必ず来るからね」 


「うん。約束だよ。必ず来てねお姉ちゃん」


桃は寂しげな顔でエマに手を振った。エマも手を振りそれに答えた。


あんなに小さいのに心臓悪いのか......


大変なんだ......でも先生が優しそうで良かった。


大地先生って言ってたけど、大地は名字なのかな? それとも名前か? まあどっちでもいいや......


そんな事より、太一が痺れを切らせているに違いない。


急がねば......エマは思い出したかのように病院のアプローチを駆け抜けて行った。


その太一と言えば、地べたに尻を着き、ぐったりした様子。


この暑さの中、目玉焼きが焼けそうな程に熱せられたアスファルトの上で、三十分も待たされればぐったりもするであろう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ