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傷だらけのGOD 極神島の秘密 怒りのサバイバル!  作者: 吉田真一
第9章 一枚のメモ書き
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第7話 鷹

「遅くなってすみません。今日から潮風で働いている柊恵摩と申します。宜しくお願いします」


エマは弁当をカウンターの上に置きながら、努めて明るく言った。


「はい御代」


婦長は事前に用意してあった御代をエマに手渡した。


「毎度有難うございます。すごく綺麗な病院ですね。びっくりしました」


「ええ......この島は他の島との行き来がほとんど無いでしょう。だからこの島の人達を守れるのはこの病院だけなの。設備だってすごい整ってるのよ」


「確かにそうですね。島の人達も皆さんがいらっしゃるから安心でしょうね」


「あら、いい事言うじゃない。あなた出世するわよきっと。潮風さんクビになったらうちにいらっしゃい。雇ってあげるから」


婦長の顔は満面の笑顔。さぞかし嬉しかったのだろう。この病院で働く人達も、他の島民と何ら変わらず実に話し易い。


『病院』という事で、最初は多少身構えていたエマであったが、それが取り越し苦労である事に気付くまで時間は掛からなかった。


「そうなった時は是非お願いします。でもそうならないようにしっかり働きます。有難うございます。じゃあ私はこれで」


エマは一礼し、二階を後にした。


鷹の剥製......一階に降りるとやはりここで足が止まる。翼を大きく広げ、今にも獲物に飛び掛かりそうな躍動感。


鳳雛に匹敵するかのようなその鷹の迫力に、エマは思わず生唾を飲み込んだ。



挿絵(By みてみん)



「すごい迫力でしょう。ここの院長先生が前に飼っていた鷹なのよ」


見とれているエマに気付いた看護婦が、窓越しに解説を始めた。 


「えっ? 院長さんが飼っていた? ペットだったんですか?」


エマは目を丸くした。


「そうよ。あなたは知らないと思うけど、ここの島の人達は皆ペットを家族同然と考えてるの。死んですぐに忘れちゃったら可哀そうでしょう。こうして剥製にしてあげればいつまでも忘れないから」


もし自分が動物だとしたら、死んだ後剥製になりたいなどとは思わない。でもみんながいつもまでも自分を覚えていてくれるなら......それも悪くないのかな? そんな事も一瞬考えたりする。


でもまあ考えてもしょうがない。自分は人間なのだから......動物とは違う。人によって色々な考え方があるという事だ。



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