第6話 策略
約二十人の傭兵はそれを合図に銃を投げ捨て、エマの周りを魔法陣のごとく取り囲む。
しかしエマは表情一つ変えず、余裕の構えを見せた。素手で私を捕まえるだと?......全く懲りない奴らだ。なぎ倒してやる!
そして最初の傭兵がエマに飛び掛かった正にその時だった。突如後方から強い殺気が走る! えっ、何?! エマは背筋に戦慄が走ると共に、殺気が漲る後方に振り返った。
振り向き様にエマの目に映ったもの......それは中世の服を纏った複数の男達が、今にもエマに飛び掛かるその姿だった。
しまった! 剥製に紛れていたのか!
時すでに遅し......エマが身構える間も無く、男達は次々とエマに襲い掛かった。そこへ正面から襲い掛かって来た兵も加わり、エマは何も抵抗出来ないまま、瞬時に押さえつけられてしまった。
さすがのエマもこうなってしまうと、男の力には敵わない。やがてエマは力ずくで羽交い絞めにされ、うつ伏せのまま地面に押さえつけた。エマの体はピクリとも動かない。それは正に一瞬の出来事。決着はあっさりとついてしまった。
コツ、コツ、コツ......やがて足音が近づいて来る。エマの視界に、男の靴のつま先が目に入った。
「どうだ気分は? まさか傭兵が剥製に紛れ込んでるとは思わなかっただろう。我々も馬鹿じゃない。まともにお前を素手で生け捕れる何て思ってないよ。ハッ、ハッ、ハッ。よしやれ!」
「ハッ!」
厳七は即座に胸ポケットから注射器を取り出し、エマの右肩に注射した。見る見るうちに意識は遠のいていく。それに比例するかのように体の力も抜けていく。
今度こそ本当に終わりかもな......エマは薄れていく意識の中で呟いた。
程なくエマの抵抗力はその全てが失われた。すると傭兵達は一気にエマを縛り上げ、同時に玲奈も春子も縛り上げていく。
「よし運べ」
厳七は完全に意識を失ったエマを傭兵達に担ぎこませGARDENの外へと連れ出して行った。続いて玲奈と春子もGARDENを後にしていく。
『CLEOPATRA E.H』と刻まれた台座は、いずれこの上に立つであろう女性を待ちわびるかのように、怪しい光を反射させていた。




