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傷だらけのGOD 極神島の秘密 怒りのサバイバル!  作者: 吉田真一
第24章 GARDEN
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第2話 シーザー

2話同時更新です。

「こっ、これ、この顔......まっ、間違い無い!」


突如後方からそう叫んだのは山本だった。三人は即座に興奮しきった山本に目を向ける。すると山本は、ヘラクレスから五メートル程離れた一番左角の蝋人形の前で立ち尽くしていた。身体がガクガクと震えているのは、後ろから見ても分かる。


CAESARシーザー


台座にそう書かれた蝋人形は、震る山本の顔をまるでじっと見詰めているかようにも見える。


「春子さん。こっ、この顔!」


山本は腰が引けたような姿勢で指を指した。春子は恐る恐る『シーザー』の顔を覗き込む。


見る前から嫌な予感が......


挿絵(By みてみん)


「左顎の大きなホクロ......この人、牢獄に居た人じゃない!」 


「なっ、なっ、何てこった! こっ、この蝋人形まさか!」


山本はそう叫びながら思わず頭を抱えた。


「剥製......全部剥製だ!」 


エマはそう叫ぶと同時にシーザーの服の襟元を掴み、一気に下へおろした。そして背中上部に現われた一つの文字に四人の目は釘づけになった。


『神』......それが現われた文字だった。



続いてエマは何を思ったかシーザーの服を一気に下まで剥ぎ下す。気でも狂ったのか?


「ちょっとエマさん何やってるの!」


春子は反射的に目を背けた。


「これ見て」


エマは露出した胸部の中央を指差す。


「これ、もしかして手術の痕?」 


見ればシーザーの胸部に長さ十五センチ程度の手術痕。縫合の仕方は実に適当で、見るからにグロテスクだ。もし手術後にこの人が目を覚ましたならば、傷跡を見て気絶するやもしれない。幸い目を覚ますような事は万に一つも無いが......


「やはり臓器を抜かれている」 


エマは傷跡から目を離す事無く、苦虫を噛み潰したかのような表情で呟いた。


恐らくここに飾られている剥製は、全てが背中上部に『神』の刻印が打たれており、更には体のどこかに大きな手術痕が残されているのであろう。


総勢三十体の剥製......それは最低三十回の臓器移植がこの島で行われ、その度に、罪の無い人が命を落している事を意味していた。しかし臓器を抜かれた人間全てが、ここに剥製として飾られているとは限らない。そう考えると、その数は更に上回るものと思われる。


これ以上犠牲者を増やす訳にはいかない......絶対に止めなければ!

 

この時エマに課せられた義務はもはや斉田雄二の敵討ちに留まらなかった。エマが倒すべき対象はもはや人では無く、『極神教』という組織に変化していた。いや、もしかしたら『極神島』そのものなのかも知れない。


若干二十四才の年若き一女性が戦う相手としては、余りに巨大且つ強力な敵であり、無謀な挑戦と言わざるを得ない。しかし知ってしまった以上、エマに逃げると言う選択肢は無かった。


それは柊国雄の血を引く者としての宿命であり、極神島にエマがやって来たのも最初から決まっていた運命だったのかも知れない。

 

「お姉ちゃん。何? この神って文字」


玲奈は台座の前にしゃがみ込み、首を傾げた。


「この人......極神教の祭壇の儀式で背中に神と言う文字を打たれていました。恐らく他の人達も同じだと思います。仲間の為に命を捧げた者は死後神の僕となって幸せに暮らす......極神教の言い伝えです。神の僕として認められた証なのかも知れません」


エマは以前セントジェーン病院で看護婦から『死んだ後も忘れないように』という意味で、ペットを死後剥製にする習慣がある事を耳にしていた。しかしこのGARDENに飾られている剥製はペットでは無く、全て知的高等生物である人間だ。


二十一世紀の文明社会において、このような猟奇的な犯罪行為が繰り返し行われている事に驚きを隠せなかった。


エマは自覚しなければならなかった......ここは日本から隔離された孤島であり、日本の常識はここでは通用しないと言う事を。そこをはき違えると命取りになる。


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