第5話 スポットライト
2話同時更新です。
エマは頭の中を整理した......自分にはこの極神島でやらなければならない事が三つある。
まずはこの島に来た本来の目的である斉田雄二殺害の当事者......佐久間厳七をこの世から消し去る事。
そして、今エマと行動を共にしている一般人を、無事に極神島から脱出させる事。
更には、ここに来て新たに見え始めた極神島の巨大組織が行っている悪事を暴く事。
どれもがエマにとってそれまで全く体験した事が無い程の超難題であり、雲を掴むような話ばかりであった。しかしそれら全てをクリアーしない限り、エマはこの島を立ち去るつもりは無かった。
まずは、目先の目標として、この一般人達を島外に脱出させなければ! 彼女らを守りながらの行動は制限が多過ぎる。ではどうやって島外に脱出させるか?
島を抜け出す手段は言うまでも無く船以外に無い。東の海岸通りに面した港まで行くには、大牙が生息する西の森を抜けなければならない。何の防護もされていないこの服装で、西の森へ入り込むのは正に自殺行為。
仮に運良く西の森を抜けれたとしても、島民が脱出に協力してくれるとは到底思えない。エマが潮風で捕えられた時の事を思えば、島民全てが敵と考えるのが自然であろう。
一方、眼前に広がる港には、複数のクルーザーが駐留している。距離にしてここから凡そ五百メートル。ここを飛び出したら、そこに辿り着くまでは身を隠すものは何も無い。ここから四人で一気に猛ダッシュ!......十メートルもしないうちに見付かって、取り押さえられるのが関の山だ。
今見えているだけでも、銃を持った傭兵約三十人が等間隔に配置され、これから飛び出してくるであろう逃亡者を今や遅しと待ち構えている。
逃亡者はクルーザーを狙ってやって来る! 誰もがそう考えているに違いない。警備が最も厳しくなっている事位は容易に想像出来る。
ああでもない、こうでもないとエマが一心不乱に思考をめぐらしていたその時だった。
ワンッ......
「今何か後ろの方から聞こえなかったか?」
山本は戦慄の表情を浮かべた。
「えっ? 私には何も聞こえなかったけど」
春子は首を傾げる。
ワンッ、ワンッ......
「後ろの方から、いやな鳴き声が聞こえる気がするんだけど......」
「しかもどんどん近付いて来ているような......」
今度は春子も同調した。
ワンッ、ワンッ、ワンッ!
「いたぞこっちだ!」
突如背後から大きな叫び声が響き渡った。それを合図に、今度は複数の監視塔から四方に発せらていたスポットライトが、四人の身を潜めるその場所に集中する。そして無情にもスポットライトの一つは、四人の姿をくっきりと浮かび上がらせた。
眩しい! 目が眩む。
「あそこに居たぞ!」
今度は港に配置されていた傭兵達が、一斉に駆け寄せて来るのが視界に入った。背後からも犬を連れた追手達が怒涛のごとく押し寄せてきている事は言うまでも無い。
「みんな死ぬ気で走って!」
エマは大声で叫んだ。




