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 こーんにちはー!私大谷千尋は保育士の専門学校を卒業した20歳!周りの友達が次々と就職してく中私1人就職先がないぞ〜☆キャハ!

 次回!「奨学金も返さないとヤバイのにどうしよう、卒業後はネカフェかな!?」の回だよ!絶対見てね☆


  はい、ふざけてました。現実直視出来なくてかなりふざけてましたました。

  改めまして私大谷千尋は窮地に追い込まれていた。

  ことの発端は高校を卒業したところまで遡る、うちの家は農家で両親のこんな一言から始まった。


『千尋、お前いつ式あげるんだ?』


 はい?私彼氏いませんけど?

 両親の言い分を聞くとつまり、私には10歳以上年上の婚約者がいてその人との結婚が決まってるらしい。


 何時代ー!?!?現代を生きてお父さんお母さん!!!!

 一応写真を見せてもらったが完全に顔とかがアウトだった。

 そんなこんなで家族と盛大に大ゲンカをした私は

『自分の授業料や生活費ぐらいなんとかしてやるよ!!』

 と啖呵をきり家を出て、保育の専門学校に入学した。どうせ親の援助無しではすぐに諦め尻尾を巻いて帰ってくるだろうと踏んだ両親が必要書類を書いてくれたことだけは幸いだ。


 はい!ここまでが2年前!!そして今、保育士の免許も無事に取れ、就職する保育園も決まったところで悲劇が起きた。


 保育園が燃えた。


  言ってることわからないかもしれないが一言で言うと保育園が燃えました。

  卒業間近に友達と酒を飲み、テンションが高くなっていた私達は、居酒屋から歩いて行ける距離の私が働く保育園を見に行こうぜとなり歩いて行った。


 そしたら燃えていた。

 呆然と見つめる人だかりの中走って消えて行こうとする男を見つけ私はとっさに、


『まてやコラァ、私の就職先どうしてくれる!?』


 と叫びながら全力で追いかけタックルをきめた。


 これが犯人でなかったらかなりヤバイやつだが、なんとこいつが犯人だった。

  夜中の放火だったのもあり怪我人もいなかったし、風の弱い日で近隣住宅にも燃え広がらなかったが私の就職先が、未来が炭になった。


 警察から表彰を受けながら私が思ったことは一つ。


 就職先どうしよう


  本当にどうしようか、いよいよ明日は卒業式だと言うのに私の就職先が消えた。

  今は寮に住んでいるが卒業したら追い出される。実家に帰れば待っているのはキモいオッさんとの結婚。

  しかしこのままではネカフェ難民。

  どうしようかと寮の部屋の中で頭を悩ませているとチャイムがなった。

  ドアを開けるとそこには何かと私を心配してくれていた佐藤先生がいた。


「佐藤先生、どうしたんですか?」

 とりあえず佐藤先生を部屋の中に招きお茶を出す。


「大谷さんは就職先決まった?「全然決まってません。ネカフェ難民が私を待っています」」


 机に向かい合わせになるように座ると佐藤先生は苦笑いをした後に持っていた鞄から紙を出した。



「もし大谷さんが良ければなんだけど、このお家で住み込みの家政婦やってみない?」

「やらせていただきます!!!」


  人間追い詰められると募集の紙すら見ないで仕事に飛びつくんだね。

  保育士の資格が活かせるかなんてわからない。それでもやるっきゃない!


「えーと、ここのお家はお父さんと小学3年生の男の子が1人と高校3年生の男の子の男家族で、本当は男の家政婦さんが良かったみたいなんだけど雇っては辞める雇っては辞めるを繰り返しちゃって、雇用条件が【根性のある方】になったのよ。そんな中ニュースで放火犯を追いかけタックルを繰り出す大谷さんを見て《是非とも働いて欲しい》って学校に電話がきたの」


  怨みに燃えて野生の勘で犯人を追いかけたあの時の私ありがとう。

  とっさにタックルを繰り出す私の本能ありがとう。

  顔が恐ろしいことになってたけど中継してくれたテレビの方々ありがとう。


 こうして私は卒業式前日に就職先が決まった。

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