魔法を!!
なかなか上手くいかないです...
模擬戦闘の日から1週間がたった。
この1週間、カナエ達はみっちり魔法の訓練を受けさせられた。
そこでカナエはあることに気がついた。
カナエは一切、魔法が使えない...。
(...はぁぁ、適性ゼロはちょっと運命様酷くないかな?)
努力を始めた矢先、カナエの前にとてつもない壁が現れた。
それを見ていた周りのカナエを無能と思う人達はやはり無能か!と安心していた。
カナエは今日も何度目かわからない溜息をつきながら、国が運営する歴史、魔法、常識がすべて揃った資料館にここ何日か通いつめていた。
(...せめて、知恵と知識は詰めておかないといざという時にね...)
自分で自分を慰めながらカナエは本を読む。
(...魔物食べると魔物化する...怖いねー。
魔法は火、水、木、地、光、闇の属性がある...
ユニークスキル...昔の人が持っていたユニークスキルが出現する...いやここに何も分からないと告げられた哀しい奴いるよ?)
カナエは模擬戦闘の後、団長にユニークスキルと職業についてを報告した。すると、国お抱えの研究者がカナエの身体を調べまくった。別に変なことにはなってませんよ?
しかし、何もわからないと結論ずけられた。
このまま時の経過とともにいつか何かしらの出来事で多分、おそらく、発現するだろう、多分...というとてつもなく説得力の無いまとめで締めくくられた。
それから魔法適性と聞かされて今に至る。
(...あ...魔法、無属性の...自分で作れないかな...)
カナエはふと思いついた。
無属性というのは属性をもたす前の魔力を指す。
この世界の魔法は、体内にある魔力(無属性) を自分が使いたい属性に変換して使うという魔法だ。
適性があると魔力の消費量が減り、更には威力も何段階も違ってくる。
そして属性をつける場合、99.9%詠唱を必要とする。
詠唱をすると、魔法が自動化するという。
無詠唱は魔力を1から練り上げなければならなく、普通は無理だという。
(魔物、魔人族は無詠唱らしい)
無属性の魔法は適性が無くても体内の魔力を放出するだけなので、案外誰でも出来る。
さらには、無詠唱で放てる。
だが、今世界に存在する無属性魔法はあまり戦闘向けの魔法じゃない。
だから戦闘向けの魔法を作ってみたら?とカナエは考えた。
(...!!!!
思いついた!!!!)
カナエはなにか思いついたらしく、早速訓練場へ自主練しに行った。
カナエはいつも剣術を自主的に練習し、団長はその姿を見て以来、カナエを気に入っている。
カナエは剣術はこの世界の剣は剣道の構えは向いてないと思い、騎士の人に稽古をつけてもらってみたが、身体がついて行かなかった。
そこでカナエは構えはこの世界の剣術、動きは剣道、な新しい剣術の取得を目指して自主練している。
思いついた魔法をしようとしてみるも、なかなか上手くいかない。
(...努力あるのみ!)
カナエは目が輝いていた。
ただひたすらに前を向いて生きている。
(...あ!そろそろご飯の時間だ、早く行かないとー)
食事が終わり、カナエは回り道せず、団長の元へ向かい魔法の作成について助言をもらいに行った。
「魔法を作るだと!!はっはっはっ!!
叶、お前はとてつもないことを考えるな!!
聞くだけじゃわからん!!
失敗しても構わない、見せてくれ!!」
「えっ!?
わ、分かりました」
カナエは目を閉じ魔力の流れを感じる。
そして、魔力をある1点のみに、団長の目の前に圧縮しながら放出する。
(上手くいってる...集中、イメージ...)
そして一気に魔力を最大限注ぎ込む。
「はぁ!!!」
1点に注ぎ込まれた魔力が爆発した。
魔力感知により、とてつもない程の魔力の振動を感じとれた。
その瞬間、団長は身動きが取れなくなった。
何故か、それは人は身体を見えない魔力のベールつまりはオーラが覆っている。
カナエは魔力感知によりそのオーラを感知し、相手のオーラの意識の隙間に爆発した魔力をかまして一時的に身体の自由を奪うからだ。
「う、うぉお!!
これは素晴らしい!!!
全く...う、動けん...!!」
「やったぁ!!!
よし!!これは使える!
団長、ありがとうございました!」
ガッツポーズをしているカナエは感謝を込めて団長に例を言った。
が、
「よし...そろそろ解いてくれんか?」
団長の言葉にカナエは固まった。
「あ......」
冷や汗をかく団長は苦笑しながら、何かを否定したいような声で、否定を求めた。
「...解き方考えて無いとか...そんなことないよ...な?
ははは...」
団長にはいつもの元気が感じられなかった。
「...ごめんなさい!!!」
「あ、ああ!!
仕方ない!!気にするな!自然に解かれるのを待つとするか!!」
解除には一晩かかり、2人はオールするのだった。
――魔法を使えるようになったカナエだった。