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異世界の救世主

※書き足しました。(2017/12/16 20:37:25)

すみません。


ステータスは次の次です...すみません!!!

 どれくらいの時間が経ったのだろうか。

 カナエはそっと目を覚ます。

 眩い光をくらい、目がチカチカする中、徐々に視覚を取り戻す。


 そこには果てしなく広がる青い空が広がっていた。


  ( ああ、なんて青い空なんだ。)


 カナエはそう思い、感嘆が漏れそうになって気づく。


(!?ここは!?)


 突然広がる見知らぬ光景にカナエは思わず、体を起こす。

 そこに広がっていたのは────


 開けた草原。


 そこに生息する見たことの無い生き物。


 朽ちた遺跡。


 そこから感じる不穏な気配。


 緩やかに流れる小川。


 水を飲むシカのような生き物。


 遠く見える山脈。


 空を飛び、火を噴く生き物。


 遠くに見える城塞都市。


 その中にそびえる大きな城。



 全く知らない世界が突如として目の前に現れ、混乱するカナエ。

 すると、隣から、


「...叶??」


 恐る恐るといった感じでカナエを見る少女。


(あぁ...やっと見慣れたものが目に入った...)


  優愛がいた。


 カナエはホッと胸をなで下ろした。

 だが、いつもの可憐な笑顔を振りまく、優愛はいなかった。

 絶望、そんな言葉が連想されるような顔をしながら、泣きそうになっていた。

 カナエに向かって伸びてくる手。その手は酷く、震えていた。

 いつもならニコニコする少女がそんな絶望した顔をするのを見てカナエは決意した。

 優愛の手を取り、


「大丈夫。僕がいる」


(優愛は...必ず守る)


 いつもなら絶対に言えないであろう言葉をカナエは芯のある声で震える優愛の目を真っ直ぐに見て言った。

 その言葉に少しだが、優愛の表情が和らいだ。


 よくよく見渡すと周りには2年生だけがいた。

 周りの人たちも酷く混乱し、怯えていた。

 中には発狂している者もいる。

 流石にこんな人数をカナエの言葉で元気付ける事なんて出来ない。そうカナエが、思った時だ。


「うるせぇわ、雑魚共が!!」


 ...爆がイライラした口調で叫んだ。


(...おいおい。あんまりだろぅ...)


 そうカナエは思ったが、周りはいつもと変わらない爆を見て大分、落ち着きを取り戻した。


(ぇえー?...?)


 大分、カナエでは出来なかっただろう。

 爆のような才能あふれる人の言葉だったから、みんな落ち着けたのだろう。

 強者の一言はこういう時役立つ。

 爆の凄さを改めて感じ、カナエは自分を蔑んだ。


  そんな時だ。

 何もいなかったはずの場所に突如として、紋様、魔法陣が現れた。

 そしてあの時よりは弱いがそれでも眩しい光が溢れだし、空気の流れが変わる。

 そして、突如、人が現れた。


 1m60cmほど小柄な老人が現れたと思いや、後ろに同じ紋様の魔法陣が現れた。だが、その大きさは先程とは比べ物にならない大きさだった。

 そこから50人程の若い男女が現れた。

 全員が同じようなフードを被り、首元にペンダントを付けていた。


(...何かの宗教団体か?)


 意外にもカナエは冴えていた。

 カナエが、いい仮説を立てていると、リーダー格の老人が、


「ようこそ。創造神ゼノス様が創りし世界へ。ここは貴方がたが棲む世界とは異なる世界でございます。いわゆる、異世界です。

 私は創造神ゼノス様を崇める、ゼノス教徒の者で名をティグレスといいます」


「アァ?」


 カナエ達が混乱し、頭を抱えている最中に爆は容赦せずに威嚇した。


(...爆くん!?)


 カナエは爆が何をされるかわからずオドオドしだす。すると、老人は ほっほっほ と笑い、


「威勢がいい御方で。

 少しばかりこの老いぼれの話を聞いてくださいませ」


 そう言って、老人はなぜこのような事が起きたのかを説明した。


(...なるほど。簡潔にまとめると...

 この世界では、人族、亜人族、精霊族、魔人族による勢力争いが行われていた。

 4族の勢力は均衡を保っていたけど魔人族が禁忌とされる魔法、「魔物使役」をする事により、天災級の魔物が魔人族の手に渡り、長年に渡る均衡が崩れた。

 3族vs魔人族(上級魔物含む)が始まるものの、このままでは3族は滅びる、と。

 そこで神ゼノスは自身は下界の争いに干渉できない為、救世主として神代学園の生徒を召喚した。

 それで...その魔術は神代の魔法と呼ばれる神にしか使えない魔法を使い喚びだし、魔力が切れてスリープ状態中...って事かな、うん、ベタだ...!! )


 余りにも現実離れした話だが、これまでの光景を見たあとではいくら現実逃避しようと現状からは逃れられない。

 だからだろう、カナエも優愛も爆も周りも。誰一人として 嘘だ!!!! と叫ぶ者はいなかった。

 それどころか、爆はといえば。


「...へぇー。おもしれぇァ

 そいつ等をぶっ殺せばいいんだろ?」


「えっ、いや、相手は人じゃないし、僕達は魔法も使えないでしょ...?」


 余りにも無謀だと感じたカナエは爆に恐る恐る見解を伝える。


「......アァ?てめぇは...ッ!!

 しらけんなぁぁあ......!!!!」


「で、でも!!」


 爆がカナエに一歩近づいた時、ティグレスが、


「いいえ。貴方がたは上位世界の人達です。

 魔法だろうと何だろうと使えるだろう、とゼノス様が仰っていました」


 爆はニヤリとして、


「...だってよ」


 とだけ呟いた。

 カナエは攻撃されなくてホッと胸を撫で下ろす。

 カナエはそう言えば、と思い隣に居る優愛に目をやる。

 彼女は震えていた。先程の震えとは比べ物にならないほどに...。


「...ねぇ、叶?......わ、私達...殺し合いする...の...?」


 その言葉に周りがザワザワし出す。

 それもそのはずだ。普通、平和な世界で、戦争とは縁がない国で、のびのびと生きてきた人達が急に剣を持って、詠唱を唱えて、戦えるわけがない。

  でも、こんな時に。


(こんな時、兄さんが入れば...)


 カナエは奏というとてつもないカリスマ性を持つ人物を思い浮かべた。

 そして、ティグレスに対して質問した。


「あの、兄さ...1年生と3年生はどこに??」


  兄さ と言うワードに周りが反応した。

 周りの人達も奏の凄さを知っているからだ。


「会長なら...」


「会長だったら!」


「桐ケ谷先輩さえいれば...」


(しまった...)


 周りがそう言っているのに、爆は切れて。


「奏のことばっかうるせぇぇんだ!!!!クソが!

 今居ねぇんだから、んな事言ってもしょうがねぇだろ!?アァ?!」


 その言葉にカナエは感銘を受けた。

 カナエだけじゃないだろう、周りもだ。

 爆はとても逞しかった。自信に満ち溢れ、それ相応の力もある。


「...そうだ...居ないんだったら俺らが何とかするんだ!」


「...会長ばかりを頼ってちゃダメ!」


「...それに、ここには爆もいるし...いけるぞ!!!!」


 カナエが横を見ると隣で震えていたはずの優愛はもう居なかった。

  深く深呼吸し、覚悟した優愛がそこにはいた。


「......やるしかないよね...」


 そう優愛が呟く。

 そして、周りはそれに続く。


 周りが うぉぉぉおお! と 息巻いた。


 ここでやっとティグレスが口を開く。


「大丈夫ですよ。今、他のゼノス教の者が同じ話をしているはずです...

 貴方がたはほかの人達()()()、早速訓練に励んでいただきます...」


  ティグレスがそう告げる。

 上げて落とすんですか...。

 周りはさっきまでの活気がなくなり、縮こまってそれっきり黙った。爆は拳を震わせている...。

 爆発しないのが不思議だ...。カナエはそう思い苦笑いする。


 10秒程の沈黙。


 そして、そんな空気の中、カナエが質問する。


「場所を分けた理由は、混乱状態が長続きしないように...って感じですか?」


「...冴えていますね、貴方」


 なるほど、と周りは納得した。

 カナエは癖に、と思う人もいたが。

 でも、カナエは1人納得しなかった。

 分けた理由にじゃない。何故。


(何故、後ろに大軍を引き連れる意味があったのか────。)


 疑問に思ったが、口にはしなかった。

 カナエには何故か分かる。後ろの人達の間の空気が不穏な事が。カナエ意外にも気づいている人はいるのだろうか...。カナエには分からなかった。

 カナエは嫌な汗をかき、黙ってみんなとティグレスの移動魔法で王都へと行くのだった。

時間帯は決めてないのでブクマして頂けると読みやすいかと!では、次もよろしくお願い致します!

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