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死神が死神をやめたがるのはダメなのか?  作者: FALSE
第1編 第1階層〜第100階層
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プロローグ  新たなる冒険譚





深緑の葉で覆われた森の中を駆け抜ける1つの影。


その足取りは荒々しく、どうやら何か(・・)から逃げているらしい。




「はっ、はっ、はっ………………



………ようやく巻いた、のか。

いや、こっちに向かって来る音がまだ少しだが聞こえて来る……………くそっ!!」




苦しみに耐えるように歯軋りをする男。

その男の左腕がコンクリートに固められたような色をしている事から、その音源が強力な怪物であることは容易に想像がつく。




「何で78階層にヒュドラが出てくるんだよっ…………

そのせいでアスカもシュウも…………くそったれが」




男は自分を庇って石化した仲間の顔を覆い浮かべる。

今にも溢れてしまいそうな涙を堪えながら、確実に近づいて来ている敵から逃げるため足を力強く動かす。









暫く歩を進めていると、森の奥から光が差し込んで来る。出口だ。

しかも、はっきりとは見えないが人らしき影も存在していた。




「や、やった助かる!!

おーいそこの人!!助けてくれ──────」




背中の方から聞こえて来る地面を這いずる音から逃げる様に駆けていた足が出口に近付くにつれ徐々に、確実に遅くなり、そして────────男は停止した。




男が人だと思って近付いたそれは確かに人ではあった。

しかし、人の部分として残っていたのは『顔』だけである。




太い木の枝が地面に深く突き刺され、その先端に顔が捻じ込まれていたのだ。

その下に広がっている血の池からは、どれだけ残酷な事が行われていたのかが全く以て想像できない。




「あ、あぁ………………」




男の目に映るは、自分の倍近く大きい体格を持つ鷲に似た怪物の群れ。


男は知っていた、この怪物は一対一ならまだ勝機はあるが2体を超え始めると100%間違いなく殺されることを。

そんな怪物がざっと10体程こちらを向いているのだ、男はこの時点で生を諦めた。


しかし、さらに追い打ちをかける様に背後から頭を2つ持つ蛇───蛇にしては大きすぎるが───男がヒュドラと呼ぶ怪物が木々を押し分けて現れた。





「あ、あははぁ……………」





男は諦めからか、意識を手放しその場に倒れ込んでしまった。








その男の顔に、鷲の怪物の一体が近付き───────喰らい付いた。




















─────────────────────────










「ちぇっ、今回は5年もかけてたった78階層で全滅かよ~」






正方形の部屋の中を、そんな声が駆け回る。


その声の主は、ホログラムの様に空中に映し出された画面のようなもので男の死に様を見ていた中性的な顔立ちの少年。




「前の少年たちは4年で187階層まで行ったのになぁ~。

今回は外れだったかぁ」




少年は「よっこらしょっと」という掛け声と共に立ち上がり、部屋の隅に無造作に置かれた本棚から1つのファイルを取り出す。




「そういえば、彼はそろそろ高校2年生になったはずだよね。

えっと───あったあった、『私立朝山高校』かぁ。

うん、次はここの高校にしよう!!」




少年は目をキラキラと輝かせ、まるで大切な宝物を手にしているかのようにギュッとそのファイルを抱きしめる。


そして、ある人物の名前を口にした。



「君には期待しているよ、『荒井(あらい)之春(これはる)君』。

お願いだから、ボクを悲しませないでね」














これから始まるのは少し変わった考えを持つ高校生達が、見ず知らずの世界を生き抜いていく話。


幸か不幸か、それを決めるのは神様などではなく彼ら・彼女ら自身の選択による、そんな世界での話である。








次回投稿等の重要な話は次話でやります。

見ておいて頂ければ幸いですm(__)m

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