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クッキーとポッキー


二人は仲良く寄り添っている。朝から晩までずーっと。ご飯食べるときぐらいだろうか、離れるのは。


名前はクッキーとポッキー。きみこおばさんが好きなものを名前にしたらしい。女の子がクッキーで、男の子がポッキー。オカメインコはオスメスが分かりにくい。大きくてなんとなく丸いのがクッキー、遊ぶの好きで鳴き声が大きいのがポッキーとは言われたけど。うーん、どっちも一緒に見える。


せっかくなので、オカメが来る前日は色々調べた。

なんと、オカメインコはインコではなくオウムの仲間なのか。たまには普通の餌だけでなく野菜もあげたほうがいいと書いてあったので、スーパーまで買いに行った。葉物が好きらしいので、ほうれん草にキャベツ、レタスや白菜などを買って帰ったが、よくよく見ると全部あげちゃいけない野菜だった。うーん。その日の夕飯はレタスのサラダとほうれん草と白菜のカルボナーラにした、美味しい。


二人はおばさんの車に乗せられてやってきた。不安そうに隅の方で寄り添っている。大丈夫だよ、一週間よろしくね。


私は昔のアニメでありそうな、小鳥と戯れる少女になりたいと思っていた。私が歌えば小鳥も歌う。ぴよぴよと


実際は手を出すと噛みつかれるし、二人の世界に入っていてこちらに興味を示さない。黄色いお顔にオレンジ色のほっぺという如何にも可愛い顔しているのに。鳴き声はうるさいし...


鳥の世話なんて無理矢理にでも断って沖縄行けばよかった。熱がまだ残る熱帯のビーチで夏を名残惜しみ、夜は地元の人が弾く三線を肴に泡盛を飲む。昼過ぎまで寝てから少ししょっぱいゴーヤチャンプルとラフテーをオリオンビールで流し込むんだ。夕暮の砂浜を歩いていると、まだあどけなさの残る日に焼けた青年に声を掛けられるんだ。


そういう予定を犠牲にして、私は君たちの面倒を見ているんだぞ。分かっているのか、おい。


彼らが私に興味を示すのは、カブの葉を持ってきたときだけだ。小松菜や豆苗が好物と書いてあったので買ってきたが反応が悪かったのに、お味噌汁に入れようとカブの葉を切っていたらかごの中から「食わせろー!」と言ってきた。試しにあげてみたらすごい勢いで平らげてしまった。ほう


構ってもらえないとはいえ、一日1時間はかごから出して放っておく。クッキーのお気に入りは私の頭の上。フンしそうでいやだが払っても払っても戻ってくる。頭に乗っている姿はなんとなく偉そうだ。


ポッキーは私には興味ないが私の足の指が好きだ。ずっとつっついている。歩くと足の周りにまとわりついてトコトコとついてくるので踏みそうで怖い。


二人は満足すると勝手にかごに帰る。そしてあとは二人の世界だ。話しかけても返事なんかしない。私もこれくらい彼氏に愛情表現していればよかったなと思う。


そんなこんなで特に何もないまま4日が過ぎた。


私はその間に映画を沢山観た。泣けそうなやつばかり選んで。

一度カーチェイスものを借りてきたときはすごかった。爆発音が鳴るたびにかごの中でオカメたちが大騒ぎするのだ。かわいそうなのと、映画に集中できないので、必然的に借りてくるのはしっとりとしたラブロマンスばかりになった。


おかげでだいぶおセンチな気分

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