24:Boss Fight, Again
最近企画とかで忙しく、更新がかなり遅れました。
すみません。
「ナギサ、作戦は?」
「あ?ボスの情報がなきゃ作戦なんて立てられるわけないだろう」
「そこをなんとか」
俺達はダンジョンでオーク狩りをしていたところ偶然にもボス部屋への扉を見つけた。
現在、その扉の前で作戦会議の様なことになっている。
「じゃあ、奇襲作戦で行こう」
「おお、頼りになる!で、その作戦の内容は?」
俺は人差し指を立て、説明する。
「まずステップ1、シュウヤが突撃する」
「うんうん」
シュウヤが相槌を打って頷く。
「ステップ2、シュウヤがボスの気を引く」
「うんう……ん?」
シュウヤの表情が疑問に染められ、固まる。
「最後であるステップ3、シュウヤが全ての攻撃を打ち込まれてる間に俺達で奇襲をかける」
「ちょっと待て」
シュウヤが突然俺の作戦説明を止めた。
何か問題でもあったのだろうか。
「問題大有りだろうがああああ!」
心からの絶叫だった。
「何故だ?」
「少しは考えろよ天才!これじゃ俺が死ぬじゃん!」
「大丈夫、シュウヤならゴキブリの様に生き延びると信頼している」
「嫌な信頼だなおい!」
シュウヤの反対をよそに、クレナさんが挙手をする。
「囮は必要なんじゃない?敵は未知数だし」
「そうだな」
クレナさんと覇牙さんが囮が必要だということに賛成する。
「待って、何で皆俺を見るんだよ!嫌だよ、敵は未知数なんじゃないのか!?」
「だから犠牲によって情報を得るんじゃないか」
「今犠牲って言った!コイツ今俺のこと犠牲って言ったァァァ!」
ホントうるさいなコイツ。
とりあえず作戦会議を進めよう。
「そんなアメリカンジョークはおいとくとして」
「ジョークだったの!?しかもアメリカ関係ねェし!?」
「そうなの?私は本気だったのに」
「俺も」
「なんか俺のパーティメンバーが酷い!」
そんなこんなで、作戦会議は半分ほどシュウヤいじめで30分近く消費した。
「開けるぞ」
「ああ、準備はできている」
シュウヤが正面の巨大な扉に右腕を差し出し、そっと扉の表面に触れた。
すると、触れた位置から魔法陣のような、幾何学的な円形模様が浮かび上がった。
「武器は構えてるか?」
「皆構えてるって。 だから作戦決行するぞ」
「ほ、ほんとにやんのか……」
ボスへの扉が、ゆっくり開いていった。
「そいじゃ行ってこーい」
「こんちくしょおおおお!」
シュウヤが開いていく扉の間を駆け抜けていく。
そして、数秒間の静寂が訪れた。
「ぎぃやああああああああ!」
静寂がぶち壊され、シュウヤが走って帰ってくる。
『オオオオオオオオオオオオ!!』
――――ボスを引き連れて。
部屋の扉の位置、つまり、ボスフィールドの端でシュウヤが止まり、振り返る。
部屋から俺達へ迫っていたのは、巨大なモグラだった。
体長6メートルほどだろうか。
爪が鋭く、牙が生えていた。
巨体なのに、速度はかなりある。
その頭上には《ディグリグ》と表示されていた。
ボスの名前はモグラに因んでわざわざ『ディグ(掘る)』という単語を含んだのだろう。
「うし、このデカイ図体じゃまともにこの狭い通路を移動できまい!ボスフィールドを出るまで構えて、もし出なかったら遠距離武器でリンチだ!」
覇牙さんが俺の台詞を取ってしまった。
まあ要約すれば、今回の作戦はボスフィールドを利用してるだけだ。
注意を引き付ければ当然ボスは追って来る。
そこで、もしボスがフィールドを新しく生成して通路に出れるのなら、狭い通路でリンチ。
ボスフィールドが固定されていたら、扉の前のボスを遠距離射撃リンチ。
その場合はクレナさんの弓矢と、幾つか用意した改造水鉄砲を使う。
良い検証にもなるだろう。
今後の攻略に役立つ可能性は十分ある。
「シュウヤ!お前はとにかく逃げろ!」
「了解だ!」
因みに、この囮役の適任がシュウヤだったのは、この中で一番俊敏値が高い、つまり、数値上は一番足が速かったからだ。
確かに十分危険な役ではある。
だから、もし危なくなれば全員で突撃すると説得して、渋々この危険な役を買ってもらった。
というか、俺は生産のため器用値に振ってるし、覇牙さんは鎧が重いし、クレナさんは遠距離のために必要なため、彼も自分しかいないとわかっていたらしい。
いざとなれば、人目なんて気にせずシルブとノワールを出せばいいしな。
俺達全員が大モグラの次の動きに注目していると、突如一筋の光が閃き、俺達の間をすり抜けて大モグラに直撃した。
「ッ!?」
「誰だ!?」
この中の一人ではない。
つまり、他の誰かがこのダンジョンにいた?
そうなれば、俺達より先にダンジョンに入ったのか、あるいはダンジョンに入る俺達を偶然見かけて入ってきたのか。
思考を巡らせながらも、俺は観察を怠らなかった。
先ほどの一撃で舞った砂埃で視界が悪いが、一つだけわかることはある。
今の一撃を食らわせた奴は相当の力を持っている。
砂埃なんてそう簡単に上がるものではない。
それも辺り一帯を覆うほどだ、序盤ではほぼ不可能と見られる。
しかもこのゲームで人類は始まりの町を出たばかりなのだ。
「この獲物、もらっていい?」
砂埃が薄まり、やっと視えたのは、少し埃が辺りに散れていてもなお美しいとわかる鮮やかな灰色の髪だった。
改稿完了
長い間気づかなかった矛盾点を修正しました。
馬鹿な作者でほんとごめんなさい




