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Prologue Part 2

2082年 9月 18日、

午後 4時43分。



学校が終わり、俺は集弥の熱心な《CFO》解説を適当に聞き流しながら下校したのだった。


自分の家まで辿り着くと、俺は真っ先に自分の部屋に向かい、鞄から昔で言うイヤホンの形状をした何かを鞄から取り出した。

そしてそれを携帯に繋ぎ、自分の耳に装着してベッドに寝転んだ。



耳に装着したのはVR機《電脳ダイバー》だ。通称D(電)N(脳)D(ダイバー)。

正確には、耳から脳に接続し、電脳世界に意識を移す装置なのだが。


ベッドに寝転んだのは、そうしないと脳からの信号が途切れて倒れてしまうからという理由が存在する。



「ダイブイン」



俺はDNDを起動し、マザーネットワークに接続するためのキーワードを口にした。

直後、俺の視界は薄れていき、その感覚に違和感を覚える事無く意識を離したのだった。






目を開けると、俺の居た場所は現実世界の俺の部屋ではなく、電脳世界での俺の部屋だった。


外見こそ現実世界の俺の部屋とあまり変わってはいないが、やはり感覚でここは電脳世界だということが分かる。

窓の外は現実世界のモノが元となっているが、未来都市の様なデザインに変わっていた。

街並のベースとなるのは空色ライトと銀色の金属だ。



俺はメニューウィンドウを開き、集弥のメールアドレスから電話を掛けてみた。

しばらくすると、ホログラムウィンドウに集弥の顔が映った

声はウィンドウからではなく、頭の中に直接響いたのだった。



『おう渚か。待ってろ、今お前ん家向かってるから』

「いや、俺はまだ何も言ってないんだが...」

『着いたぞー、開けてくれ!』

「早っ!?」


人が来たことを知らせる《ドアベル》を、最初は無視していた。

が、その内ドアベルを何度もしつこく鳴らされたので、俺は呆れながらもドアを開けた。


目の前には、満面の笑みを浮かべた親友が居た。


「じゃあ早速ダウンロードするぞ!」

「待て待て、俺はまだ何も言ってない」


だがコイツは話を聞かず、ウィンドウからネットに接続して公式サイトのURLを入力していた。



こんなことが起こったのは初めてだ。

いつもは「あのゲーム面白いんだぜ」から始まり、ウンチクが三日程続いて気づけば違うゲームの話題になっている。


だけど今回はゲームをやる様に誘われたのだ。


理由は俺にゲームの凄さとやらを自慢するためか、純粋な友情からか。

恐らく前者だろう。



だがそれらの情報から、俺は《CFO》はそれ相応の代物だという認識に至った。



「分かった、分かったよ。」


溜め息を吐きつつ、俺はウィンドウを開いて《CFO》の公式サイトを検索エンジンから発見した。

ウィンドウ上の《Cyber Fantasy Online》と表示されている文字を押すと、身体が光に包まれ始めた。

視界が光に覆われ、何も見えなくなる。




「っく......」




しばらくして目を開けると、視界には俺の部屋と全く別の場所が映っていた。


複数の黒い円盤が空に浮いている、不思議な空間だった。

辺りに浮いている雲にも触れた。


「ここが《CFO》の”VR仕様”の公式サイトだ」


隣に現れた集弥が状況を簡単に説明してくれた。


ここは電脳世界だ。

個人サイトでないサイトは大抵、公式サイト用の電脳空間というのが設置されている。


「だがそれにしても、凄いリアルさ、クオリティ、そして完成度だな。」

「だろ?ゲームはこれ以上だぜ?」


この時、素人の俺にもこのゲームの凄さがなんとなく分かったのだった。



じっとしているのも嫌だったので、今いる黒い円盤から別の円盤に飛び乗ろうとジャンプした。

システムアシストが掛かっているからなのか、俺は難無く飛び移ることができた。



集弥によると、この黒い円盤はそれぞれがサイトの項目だそうだ。

今飛び乗った円盤の中心には『ゲームダウンロード』と書いてある。


《ゲームダウンロード》の円盤に飛び乗ってしばらくすると、巨大なウィンドウが目の前に広がった。


『このゲームクライアントをダウンロードしますか? 価格:4,300円』


俺は迷わず『YES』を押した。

すると、ウィンドウ上に示される所持金が急激に減った。



『《Cyber Fantasy Online》をダウンロード中......2%。予想されるダウンロード時間:20分』



「おお......」


隣では集弥が感動の声を漏らしていた。

そして俺まで、何時の間にか緊張で震えていた。




「たまにはゲームというのも悪くないのかもしれないな...」




俺は、知らない内に《CFO》という存在に大きな期待を抱いていたのだった。







数分後、システムの予想通りダウンロードが100%まで届き、終了した。


「あとはアカウント作成だっけか?」

「何言ってるんだよ。今時のネットゲームなら殆ど全部《電脳世界》のアカウントで済むじゃねーか」


なるほど、確かにそれなら便利だ、と俺は納得した。



公式サイトから戻ると、俺達は別れの挨拶を済ませてダイブアウトした。

明日開始されるゲームに大きな期待を抱きながら。


次回、ゲームスタートです。


3/17/13:渚の能力(というか脳の症状)は無しに変更しました。辻褄が合わなくなったので。

3/18/13:ゲームの値段変更

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