試練①
人生を捨てていたものに人刈虫の魔の手が伸びる!
宗麟淳は逃げ切れるか?!
「人刈虫・・・人は平均的にこれを神や、寿命といいます」
ほう。いやいや。違う。「何故今日ここへ呼んだ?!」俺は聞く。
目の前の青年は言った。「だから先日も言ったとおり、貴方には家族の思いから死んでもらいます。」
「なっ?!」
しかし青年は何も分け入る隙間を与えない。
「しかし・・・貴方はどうも、神・いわゆる人刈虫に嫌われているようだ。」
「だからこそです。だから、貴方には人刈虫を欺いて家族に貴方も逝ったと思わせるんです。そうすれば・・・」
ここで話は一度途切れた。
理由は、まず1つはとにかく暑い。部屋に入ったときの涼しかったのが嘘みたいだ。
そして、2つ目は・・・衝撃だった。
「家族の思いはどうだか知らないが、とりあえず死んどけ。やってらんねーよ」
15分ほど経ち再び話に戻った。
「これは1つの賭けです。運がわるければ人刈虫に殺されるし、人刈虫が貴方を嫌っているとも限らない。」
「ふざけんなよ、おい。」何の根拠も無い提案に俺は怒る・・・が・・・これしか方法が無いのも事実。と、ここで青年はある話を持ちかけてきた。「では、こうしましょう。もし僕の思惑通り貴方が人刈虫に放されれば・・・」ドンと何かを置いた。
・・・なんだ?これは・・・と、思っていると若者はこんなことを言い出した。「ここにある金塊を全てあげましょう。」
「は?」普通逆だろ。と思う。
「貴方には何の非も無い。だって、死んだらどちらにしろこの金塊で貴方の墓から何から何まで準備しましょう。埋葬も、ね?」
何を考えているんだ?何がしたい?疑問ばかりが募る。
「さあ、ここでまず始めましょう。名前を付けるならFall the DEAD!」
若者の不可解な言葉。
「うおっ!!」何かが落ちてきた。・・・鉄骨?
いや、・・・ちがう・・・金?!そうだ。紛れも無い。これは、金だ・・・
若者は遠くに逃げている。逃げ足だけは速いやつめ。何かを言っている様だ。耳を澄ます・・・
「あと43個落ちてきます。気を付けて下さい。」
「なっ?!」43?冗談じゃねえよ。本当に殺す気でいやがる。
「ああっ?!!」若者の絶句。嫌な予感しかしない。
「人刈虫がきたあああ!!」若者は泡を噴いて倒れた。
・・・そんなことなら、最初からこんなことすんなよ。馬鹿。勝手に呟いて吐き捨てた。
あと43だっけ?俺本当に死んじまうよ。
そのときだった。・・・「私は死んだのよ。貴方も・・死ん・・で・・」明らかに亡き妻の声が耳元でそう囁かれたのだ。
俺は、今までの人生、何をしていたんだ?生きることはどれほど幸せだったんだ?
その疑問が俺の脳裏を渦巻いていた・・・
試練は始めから淳を追い詰める。生と死の狭間で今、淳と人刈虫との戦いが始まった・・・