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刈取り虫  作者: 冨山ノN
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突然の死と出会い

 ――――貴方の人生。無駄に使っていると、刈られますよ?――――



―――貴方は、人生を何に使っていますか?---

ギャンブル?風浴?・・・それとも充実した・・と思い込んでいる働きの日々?

・・・この小説は働いている、そして且つ、頑張っている!と思い込んでいる人には向きません。

そして、少しでも自殺を考えている人は読んでみてください。そして、呼んでみてください。「人刈虫が来た」・・・と・・・


そんな小説でも良いとお考えの方はお読み下さい。


シャキン・・・シャキン・・今日も誰かが刈られていく・・・いや、刈られて「逝く」のほうが正しいのか・・・人は劣等感に溺れている。それに打ち勝つのが勝ち組だ。だが、大半は負けてしまう。作者たる僕がそうだ。いつも誰かに出し抜かれて行く・・・そう。追い抜かれていく・・・


――8月6日――

今日は雨だった・・・夕立なんか来ず、ただ、ただ、雨の日だった。

この日は家族で海に行く予定だった。・・・だが、現役社会人のサラリーマン、創麟淳(そうりんじゅん)はその日の海で逝く予定だった・・・「また、駄目だった・・・」つくづく思う。何故神は僕を死なせてくれないのだろう。と・・・

はぁ~~。また、ベランダに突っ立って、いつものように安いビールと安いタバコと安っぽい人生を送って暮らしている・・・

なのに、人生は緩やかに進んでいく・・・雨も降っている。時間は止まらない・・・

そのときだ。遠くのほうで雷が光った・・・「なんだ。ただのカミ・・・」凄まじい轟音が響く・・

「うわぁ。」覇気の無い声。自分にがっかりする。(なんだ、この人生・・・)涙も出ない。家族は海にいけないからと、その辺のレストランへ行っている。

何気なくテレビをつける。ああ、いつもの番組だ。・・・今は昼の11時37分、おなじみのドラマ。

自分のみが偉いという劣等感が生み出す罪なドラマだ。

おっ?昼ドラおなじみドロドロシーン。そんなものも目もやらず、テレビはつけっ放しで、且つ、部屋の鍵も閉めずに、傘だけもって外へ出た。

ほんとにすげえ雨だなあ。勝手に呟く。が、誰も返答しない。当たり前か。と自分で思う。

行き先はいまどき珍しいレトロ風な遊技場「陽と海月」という店。

店に入ろうとする・・・「はぁ?」珍しく怒りの「はぁ?」の声。

休日だとさ。死んでしまえ。

家に帰ろうと振り向くと、一人の若者が立っている。

目が合うなりこんなことを言い出した。

「覇気のない目ですねえ。」

「黙れ、消えろ。」

すると、「いえいえ、貴方の家族の目です。」

「はぁ?!」俺は変な声を上げる。

若者は「いえね、今さっきすごい大きな雷がファミレスの26人の命を刈り取っていったんです」

「だから?」不機嫌な俺は淡々と声を返す。

「まだ解りませんか?あなたの家族は人刈虫に刈られたんです。」

「な?!・・・それは・・・・・つまり・・・死・・」

咄嗟に声が小さくそして覇気がなくなる。

若者は自信をもって言った「僕は人刈虫の刈り取った命が一時的に見える。そして貴方の家族はこう言った。」

「・・・」聞き入る俺。

「私と一緒に死んでください。」と・・・・

雨は一段と強くなった・・・


――8月12日――

俺は通夜まで終えて、あの日の若者が言った指定の場所へ向かった。

「ハタコウス」という店のようだ。

中へ入る、部屋は涼しい。今日はそれなりに晴れていたから室温も下げていただいてありがたい。

「座ってください。」・・・あの日の若者の声だ・・・

よほど何かを考えていたのか、目の前の若者の存在にすら気がつかなかった。

「まず、私の名は檻嶋(おりしま)といいます。」

かちゃん、と飲み物を渡される。俺は気にせず一気に飲み干す。

まず聞かせてもらおう。人刈虫とはなんだ?・・・

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