もう1度はじめから
私の名前は、遠野由美、28歳、独身、看護士。彼の名前は、山下徹、42歳、バツイチ、営業マン。
少し前に、私の病院に、徹は、足の骨折で、入院してきた。看護士の私に、かいがいしく世話をされているうちに、徹は、私のことを好きになってしまった。
体温や血圧をはかりにきたときに、徹は、私に、「俺、由美さんの事が好きです。」と言った。私は、「また、ご冗談を。」と言って、はぐらかした。徹は、事あるごとに、私にアタックし続けた。
そのたび、私は、黙って、笑っているだけだった。ある時、徹は、思いきって、私に、連絡先を渡した。私は、受け取ったが、その気は、なかった。
私には、医者の黒田剛という彼氏がいたのだ。剛とは、2年の付き合いだった。そろそろ、結婚も、考えていた。ところが、剛は、田舎に帰って、開業することになったのだ。剛は、親から、お見合いを勧められていた。剛は、親の言うことを、断りきれずに、お見合いをした相手と、結婚することになったのだ。
私は、とても、悲しかった…。そして、悔しかった。もう、誰とでもいいから、付き合いたかった。ちょうど、徹の連絡先があったので、徹に連絡をした。徹は、とても喜んだが、私が、元気がないことに気づいた。何か、あったのかな、と、思った。でも、聞き出すことはしなかった。
徹は、間もなく退院することになっていた。私は、「退院したら、デートしましょう。」と、徹に言った。徹は、「もちろん。」と、答えた。
私は、徹の退院を待って、徹とデートした。剛に、フラれた腹いせを、徹にあたってしまっていた。徹は、そんなこととは、知らなかった。私は、もう、どうなってもいいと、やけっぱちになっていた。
徹は、私と、何度も会ううちに、どんどん好きになっていった。反対に、私は、罪悪感に、かられていた。剛と、結婚したかった気持ちが、徹に向いていった。
私は、徹に、結婚を迫った。徹は、すぐにオッケーした。
私は、ここで、大きな決断をした。剛に捨てられて、徹と、付き合ったことを、徹に、打ち明けようと思った。それが、自分にとって、どんな結末になろうとも。
そして、私は、徹に、「実は、私、付き合っていた人に、フラれてあなたと付き合ったの。ひどい女でしょう。それでも、私と結婚できる?」そう言った。
徹は、「そうだったんだね…。辛かっただろう。俺は、おまえが、好きだから、結婚したいよ。」と言って、私を見つめた。私は、「もう1度はじめから、あなたとやり直したいの。」と言って、泣いた。
徹は、「ちゃんと、話してくれて、嬉しいよ。ありがとう。どんな理由であれ、俺を選んでくれて、嬉しい。」そう言った。
徹と私は、かたい絆で結ばれた。




