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ボカロト  作者: まと。
19/24

18曲目

 -SE〇A本社前-


「ここに来るのも久しぶりだな」


 大手ゲーム会社『S〇GA』。俺の親父が社長を務めるこの会社には、小さい頃からよくゲーム目当てに親父について行って遊んでいた。だが、中学に上がってからは全く顔を出さなくなった。あの頃とビルのエントランスはそれほど変わってなく、受付の方へ目をやると小さい頃よく世話をしてくれたお姉さんがいた。


「悠麻くん?! 」

「あ、麻衣さん!? 」

「お久しぶりです、大きくなりましたね」

「麻衣さんこそ、受付嬢になったんですね」

「お陰様でね。元気にしてた? 」

「まあ、なんとか」

「そうそう、お父さんから預かっている物があるわ」


 そう言って麻衣は俺に一枚のIDカードと封筒を渡した。


「あの……父は…… 」

「ココ最近忙しいみたいなのよ、ごめんなさいね」

「そう……ですか。分かりました」


 封筒を受け取った俺は、ロビーのソファに座って中身を確認した。封筒の中には、このIDカードの使い方と各会場の契約書の写しが7枚入っていた。押さえられた会場はメインとなる東京の武道館以外に北海道、静岡、千葉、大阪、広島、福岡の6箇所の会場だ。いずれの会場もドームやアリーナなどデカすぎる会場(ハコ)で、思わずロビーで『デカすぎだろっ!! 』と声が出てしまった。契約書を読んでいると、遠くの方からピンヒールを鳴らしながら、メガネ姿のタイトなスーツを着たいかにもな女性が俺の所へ来た。


「神城悠麻さんですね」

「はい」

「社長より社内を案内するよう承っております。着いてきて下さい」

「父さんから?! 」


 そう言うと振り返り、足早に進み出したので急いで後を追った。まず社員用の出入口と更衣室に案内され、そこで身の丈に合わない白衣に着替え、首に貰ったIDを下げた。


「そのIDはごく一部の研究者にしか与えられない特別な代物ですので、くれぐれも気をつけてください」

「そんなすごいヤツなのか…… 」


 そしてこのIDでしか動かす事が出来ないエレベーターで地下へ降り、研究室へ案内された。


「ここが、貴方に与えられた研究室です」

「『第零研究室(だいぜろけんきゅうしつ)』」

「そう、ここは極秘のプロジェクトを研究、開発する為の研究室です。ここで行われている実験や開発は決して外部に漏れることはありません」

「……怖いですね」

「使い方次第です。それと、こちらのIDカードをお渡しします」


 そう言って5枚のIDカードを受け取った。なるほど、人員は自分で確保しろって事ね。一緒に会社の主要な研究者のリストも付属していた。おそらくこの人が用意してくれたのだろう。


「ありがとう、えっと…… 」

「佐藤です」

「ありがとう佐藤さん」

「ご健闘を」


 そう言って佐藤は研究室を後にした。俺がこの研究室を借りた理由(わけ)は、今回のライブのキモであるミクの実体化を実現する為である。ここの研究室の設備ならおそらく俺の考えている事は出来るだろう。さて、まずはこの機材を動かせる人員を確保しないとな。研究室の椅子に腰掛けリストに目を通していると、一人見知った名前を見つけた。


「この人なら…… 」



 -本社23階-ゲーム開発部門-


「お待たせ」

「お久しぶりです、藤原さん」

「大きくなったね」


 『藤原賢人(ふじわらけんと)』この人は俺がここに遊びに来ていた頃に一緒にゲームをしたり、パソコンの使い方を教えてくれた人だ。今は神P(おれ)の楽曲を使った音ゲーをいくつか開発している。


「それにしても驚いたよ。まさか君がウチの制服を着て訪ねて来るなんて。しかもそのID…… 」

「まあ、これには事情がありまして」


 俺は藤原さんに企画書を見せた。藤原さんも決して遊びでは無い俺の真剣な表情を見て、数枚ある書類を隅々まで読んでくれた。


「なるほど。この計画(プロジェクト)の為に俺を引き抜こうって訳か」

「はい。藤原さんにはこのプロジェクトのリーダーになってもらいたいんです」

「よし、いいだろう」

「え?! そんな簡単に受けてくれるんですか」

「なんだ、不満か? 」

「いえ、そういう訳では」


 そう言うと藤原は一人部下を呼んだ。


「今からここの部署はお前に任せるからな」

「ええええ?!ちよっと待ってくださいよ部長!まだ開発中のソフトや企画だって山ほど残ってるんですよ」

「だからお前に任せるって」

「そ、そんなぁ」


 戸惑う俺を横目に


「さあ、第零研究室に案内してくれ」

「ホントにいいんですか」

「当たり前さ。第零研究室が使えるなんて光栄すぎる。それに悠麻君の企画に純粋に興味が湧いたんだ」

「ありがとうございます」


-再び第零研究室-


「ほお、ここが噂の」

「はい。ボクにはここの設備は使いこなせないので、藤原さんにはここを使える人員を集めて欲しいんです」

「第零が自由に使えるってだけで飛びつく輩は沢山いるさ。それに、キミのプロジェクトにピッタリな人員なら何人か思い当たる節がある」

「助かります」

「まあそいつらがキミに従うかはキミ次第だけどね」


 俺は藤原さんに残りのカードと企画書のコピーを渡して会社を後にした。

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