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ボカロト  作者: まと。
16/24

15曲目

-翌日-


 学校へ着くなり悠也に捕まり、昨日の事についてまるで取り調べかの如く質問攻めにあった。それも休み時間の度に。昼休みに入り俺は悠也から逃げ出す様に教室から飛び出すと、教室前の廊下には初音(しおん)の姿があった。


「みーつけた♪ 」

初音(しおん)っ?! どうしてここに? 」

「あら、私だってここの生徒よ。学校に来るのは当たり前じゃない」

「そうゆう事じゃなくて…… 」

「待てぇぇい悠麻!捕まえたぞ、さあたっぷりと話を聞かせ……!! 」


 後ろから追いかけてきた悠也に捕まり、首をがっちりとホールドされるが、目の前にいる初音(しおん)の存在に気付くと慌てた様子で直ぐに解放した。周りも初音(しおん)の存在に気付きはじめ、徐々に人が集まりだす。


「ししし初音(しおん)未来(みらい)さん!? ……おい悠麻!これはどうゆう事だ」

「……まずいな、人が集まってきた。取り敢えずここを離れよう」


 俺達は人集りを掻き分け、二人を連れいつもの屋上へとやってきた。俺は小夜子さんに作って貰った弁当を広げながら初音(しおん)に問いただす。



「さて、どうゆう事か説明してもらおうか」

「あなたにお願いがあるの!! 」

「お願い? 」

「昨日あなたの正体を知り、同級生って事も分かったから、学校へ行けば会えると思ったの。それでいざ学校へ来てみたら、昔仲の良かった子が『神城君に続いて初音(しおん)さんも学校来てくれるようになって嬉しい』って喋ってくれたわ」

「同じ学校で同級生って所まではいい。だが、なんで俺の名前が『神城』だって分かった? 」

「そんなの簡単よ。どこのレーベルとも契約していない神Pが、唯一楽曲を提供している大手ゲーム会社S○GA。そこの社長の名前が『神城春樹(かみしろはるき)』、神城なんて苗字そうそういるもんじゃないわ。あの会社がなんで神Pの曲の使用権を持っているのかずっと謎だったんだけど、息子が神Pなら納得だわ」

「……なるほど、名推理だ。それで、お願いってのは? 」

「……私の為に、曲を作って欲しいの」

「曲を?? 」

「ええ、あなたも私の事調べたなら分かると思うけど、私にはオリジナルの曲が一曲もないの」

「そう言われれば確かに初音(しおん)未来(みらい)さんのライブはいつも全部カバー曲だな。あ、申し遅れました。わたくし神Pこと神城君の『親友』の菊池です、以後よろしく」

「菊池……君……あっ!! アナタいつも私がライブやる時最前列で応援してくれてる人よね。あなたも神城君が神Pって事知ってたの? 」

「うおぉぉぉぉまさかの認知キタァァァー!! もちろん!むしろ神Pは俺が育てたようなもんっすよ」

「うるさいぞ悠也、あまり調子に乗るな。まあ作る事は出来るだろうが…… 」

「ホント?! ありがとう!! 」

「まだ作ってやるとは言ってない。俺からも条件がある」

「条……件?? 」

「ああ、丁度いい機会だから皆も聞いて欲しい」


 屋上の少し人気のない所へと移動し、鉄格子を背に座った俺の前に悠也と初音(しおん)を座らせ真ん中にケータイを置いた。画面にはミクの姿が映っている。


「俺は近いうちにライブをしようと思ってる」

『ライブ?! 』

「ああ、それも生半可なやつじゃない。世界中を巻き込むような規模のやつだ。これは誰の為でもない、ミク、キミの為のライブだ」

「えぇ?!ボ、ボクの為……? 」

「そうだ。お前の歌声を世界中に届かせてやる」

「そんな事できるの?? 」

「出来る出来ないじゃない、やるんだ。その為には初音(しおん)、悠也、二人のチカラが必要だ」

「ええー!おっ俺も?! 」

「悠也は昔から俺の曲を評価してくれた。俺が神Pとして有名になれたのは、お前が広報をしてくれたからだ」

「なんだよ急に、照れるじゃんか」

初音(しおん)の容姿と歌声はまさに3次元のミクそのものだ」

「で、でも私なんか…… 」

「俺達が出会ったのは、決して偶然なんかじゃないと思ってる」


 俺は両手をつき、頭を下げた。


「頼む、俺に力を貸してくれ」

「……私はあなたに救われた。私なんかで良ければ力になるわ」

「ったく、俺が居ないとまともに宣伝も出来ないだろ」

「ありがとう二人とも」

「ありがとね、マスター」

「ああ、絶対成功させてやるからな」


 -放課後-


 初音(しおん)に曲を作る事を約束し、家へと帰る。部屋に戻り、パソコンにケータイを繋ぐと、パソコンの画面に警告を示すアイコンが表示された。

 

(まただ、最近ケータイとパソコンを繋ぐとセキュリティソフトが反応するな)

「おいミク、お前最近変なソフト入れたり使ったりしてないよな?? ……ミク?? 」

「……ん? ご、ごめん聞いてなかった。何だっけ」

「おい、大丈夫か?? 」

「ちょっと、疲れちゃったかな、少し……眠るね…… 」

(疲れただと?今までそんな事言った事なかったのに。ましてやプログラムだぞ、疲れるなんて事あるのか??)


「あ、ああ。ゆっくり休め」

「ごめんね…… 」


 明らかに様子のおかしいミクに、言い知れぬ不安を抱きながらも俺はパソコンをスリープにした。しばらくデスクの椅子に天を仰ぎながらもたれ掛かり、目を瞑り大きくため息をつく。そして決心し、ケータイを手に取った。


「ふぅ…… なりふり構ってられないな」


そう言って俺は一本の電話を掛けた。


『お前の方から電話を掛けてくるなど一体どういう風の吹き回しだ』


「親父……取り引きだ」

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