97話 検証とクエスト①
-------------(タウロ視点)-------------
函館のゆうご君から色々と面白い考察を聞いた。なるほどと思う。
『魔素』か。確かに何某かの見えない力は存在するのだろう。それが、俺達の転移で地球に持ち込まれたのか。
いや、俺達が持ち込んだだけならタカが知れている。降り注いだ隕石に因って持ち込まれた、と言う事はないだろうか?
それとも神様によって地球や地球人が作り替えられた?……もしくは昔から地球にあった、そして近代は忘れ去られていただけ、とか。
血盟を脱退しても、ステータスは消えなかった。
ゆうごも『地球の砂漠』を脱退したがステータスはそのまま。
ゆうごが立ち上げた『北の砂漠』に加入した北野大地もステータスは消えなかった。それからもうひとり山本圭吾。
函館メンバーはゆうごの他に、大地と圭吾、それとうちに残っている北海の計4名がリアルステータス保持者か。
自衛隊は、3つの血盟を立ち上げたそうだ。陸自の砂漠、海自の砂漠、空自の砂漠だ。それぞれ、ハマヤさん、フジさん、サンバさんが盟主だ。
自衛隊ではカオのテレポート経験で3名にリアルステータスが表示された。その後の情報はまだ入ってこない。
LAFの社員さんは5名ともリアルステータスが表示された。そのうちひとり桂木さん(まめうさ)は『陸自の砂漠』に入っている。
残り4名はうちの『地球の砂漠』だ。
村上さん(剣王子)、佐藤さん(キングジム)、高橋さん(したはか)、上原さん(ジョーゲン)の4人だ。上原さんはビーナスサーバーで血盟を立ち上げてもいる。検証中だな。
ここ茨城の洞窟拠点メンバーは、現在皆(カオるん以外)が『地球の砂漠』に加入している。それぞれの家族と憲鷹くんをいれて16名全員がリアルステータス所持者だ。
『地球の砂漠』は、洞窟拠点16名に、函館の北海太郎とLAF社員4名で現在21名、残りの枠は29人分だ。
この洞窟でも出来ればひとりでも多くの人にステータスを表示させたい。
それなら異世界戻りのメンバーはバラけるべきだ。
帰還組はカオ、カン、ミレ、アネ、ゆうご、私の6名。いや、ゆうごは既に『北の砂漠』を立ち上げている。
全員がそれぞれ盟主として血盟を作成すると、250名がリアルステータスを所持出来るかもしれない。
それでもたった250名か。この洞窟拠点に避難している全員分には及ばない。
「他の地域にもリアルステータス持ちは必要だ」カオるんあたりなら絶対そう言うだろう。確かにそう思う。
が、それは自衛隊、国に考えていただきたいものだ。
ただし、各自の知り合いや親戚、友人などには個人的に広ていきたいと考えている。
そう、私は『守りたい者』と『そうでない者』の選別をハッキリつける、例え誰かに「自分本位」「利己的」と言われようが、それが何か?である。
それに、もしかすると全国のどこかにまだ『帰還者』はいるかもしれない、そう思っている。
ゲームでのレベル上げも続けてもらっている。皆は徐々に30クエストをクリアし始めた。
しかしやはり現実には血盟以外にリアルステータスにリンクしている部分は特に見当たらない。
ゲームのスキルもアイテムも、リアルステータスには表示されなかった。
ゲームと現実が紐付いているのは『血盟』だけなのか。
地下シェルターのLAFのゲーム部屋を使わせてもらった事で皆のレベル上げはどんどんと進んでいっている。
とりあえずいけそうな者はレベル45まで頑張り、45クエストを完了してもらいたい。現実とは関係ないのだが、何がこの先関係してくるかわからない。出来る事はやっておくべきだ。
と言うのも、皆には言ってなかったが、私はサブキャラを持っていた。
作って放置していたキャラでレベルは12だった。
カオるんは異世界に転移した時、みっつのキャラを持っていた。
メインのWIZ、セカンドのELF、サードのDKNだ。
私はメインがELF、セカンドにDKNがあったのだが、異世界転移後のステータスにDKNは表示されてなかった。
何故だ?
カオるんとの違いを考えた。
カオるんは3キャラともレベルが45以上だった。
私のレベル12のDKNは転移の職業としてカウントされなかったということだろうか?
想像の域を出ないのだが、それもあり、皆にはレベル上げを推奨している。
45……もしくは50以上か。
ゲームでも45超えたあたりから、レベル上げが格段に難しくなっていた。生半可なモンスターを倒しても得られる経験値が少ないのだ、いや、レベル上げに必要な経験値が膨大なのだ。
それゆえ、このあたりでゲームから離れる者が多かった。もしくはキャラの作り直し。モンスターを倒すのに特化した攻撃性の高い職のキャラ、つまりナイトや火エルフに変える者が多かった。
LAFでここ数年は、『ひたすら倒して経験値を手に入れレベル上げ』をしている灰プレイヤーのみが残った感じであった。
洞窟拠点でも、翔太や憲鷹の友人などからゲームへ巻き込んでいる者も増えてきた。
子供から親へ、少しずつ興味持つ者を増やしているが、元から若者が少ない村だったので、広がる勢いはかなり緩い。
たまに高齢者の中に猛者が現れる。侮れない。




