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219話 ゾンビとは①

 俺たちはまず函館に飛び、そこから船で青森へと渡った。


 青森の1基めの小型基地を設置、陸路を馬で進む。今回は救助でも物資収集でもないのでひたすら走り抜けた。岩手も同様である。

 勿論、途中途中のブックマークはしていく。今後の移動が楽だからだ。


 精霊に灰を吹き飛ばしてもらったからといってあっという間に到着出来るわけではない。

 灰が無くても荒れた山道や枯れた雑草の生えたアスファルトを馬で駆け抜ける。お尻痛い。


 休憩のたびに自分含め皆の尻にヒールをかけた。かなり山に沿って移動をしているので、車やキャンピングカーは出さない。

 出すのは休憩の時だけだ。


 本当に平和な時代が懐かしい。車は勿論、電車や新幹線など、あっという間に目的地へ着ける乗り物がいくつもあった。

 海路で行く案も出たが、沿岸に基地を設置するのは今後津波がきた事を考えると無駄になる可能性が高い。


 結局、船で移動後、沿岸から内陸まで進むのなら、陸路を突っ走ろうと話はまとまった。


 ヘリコプターとか自衛隊の飛行機があれば……、そんな意見も出て、タウさんがサンバに連絡をしたそうだが、あちらも現在は色々と整えるのに大混乱中だそうだ。


 うん、お尻が痛くても頑張ろう。



「タウさん、青森から茨城までってどんくらいなん?」


「まぁ、おおよその距離ですと630kmくらいでしょうか」



 遠いなぁ……、630キロ、想像つかん。



「ええと、時速100キロで走ると⒍3時間? あれ?意外と近い?」


「カオるん、高速道路じゃないんだから……」


「あ、いえ、高速に乗ってみますか?」



 ミレさんが俺にツッコミを入れた時にタウさんが何かを思いついたようだった。



「高速か国道を馬で走りましょう。山道よりもずっと速くすすめます」


「いやでもさ、ぶっ壊れてるんじゃないか?あの災害でさ」


「ええでも、壊れている所は飛び越えたり、下の道路を走ったり、私達の馬はゲームアイテムですからそれが可能です。通常の馬なら不可能ですがアイテムだからこそ疲れも知らずに走り続けてもらえる」



 うん、俺の尻は疲れを知ってるがな。



「カオるん、山道を走るより揺れは少なくなるはずです」



 それはありがたい。このままでは俺はジモチィになってしまう。それに道路だと精霊も灰を吹き飛ばしやすい、と言うか俺が指示を出しやすい。『道路に沿って灰を飛ばして』と言える。


 俺らは休憩のあと、国道だか高速だかに乗って進んだ。俺にはその違いが判らんが、山道坂道よりは断然進みやすかった。



 盛岡、一関に設置して岩手を抜けた(そうだ)。

 宮城は沿岸が結構削られていた。仙台より内陸側に入りそこに設置した。

 途中戻れそうなところからまた国道?へ。


 5基目は福島の二本松を越えた辺りに設置だ。少し進んだ郡山でキャンピングカーを出して休憩だ。

 カンさんが6基目を完成させるのを待つ。



「タウさん、この後はどうすんだ?」


「国道を白河辺りまで進みそこから下へ降りましょう。茨城に近づいた辺りに6基目を設置します。それで北海道と茨城が繋がれば良いのですが……」


「タウさん、愛知までも国道を馬で走ったら早かったんじゃないか?」


「いえ、それはありません。茨城から愛知までは沿岸部が多いです。今回のようにはいかなかったでしょうね」


「そっかぁ」




 俺らが6基目を待っていた時にまたしても茨城の拠点から連絡が入った。



 洞窟拠点内に『点滅者』が急増したそうだ。



「一旦、茨城へ向かいましょう」



 俺たちはテレポートで茨城洞窟拠点の本部へと飛んだ。そこにはアネとゆうごも来ていた。



「点滅者が18人」


「そんなに、ですか?」


「先日の3人には特に身体的特徴はでていなかった。けど今朝から発熱が数人、洞窟内の病院で診てもらって重症なら病院拠点へ送るつもりだった。けど、発熱してる人達が点滅なのよ」


「発熱が数人という事は他の点滅者は特に身体に変化はなかったのですか?」


「発熱してない者は逆に体温が低い、それと倦怠感。まだ自我はある。それから18人共通なのが、目の充血…白眼のとこが赤いって」



「白目が赤いって花粉症とかアレルギーはどうなんだ?」


「アレルギー体質かどうかは知らないけど、点滅者な事は確か。今は洞窟の病院の近くに18人を寝かせてる」


「発熱と低体温……真逆だよな。俺は医者じゃないから考えても仕方ないか」



 そう言いながらもつい色々とくだらない妄想をしてしまう。


 発熱と低体温……、別々の人の症状だろうか、それともひとりの人の症状の流れ。

 例えばまず発熱。熱は体外から侵入した何かと身体が戦っている時に起こる。


 ほら、風邪とかインフルエンザだ。あれが体内に入ると身体は負けるもんかと戦う、その戦いで熱があがる、ウイルスによっては熱に弱いのもいるらしい。


 身体が一丸となってウイルス撲滅に動く。

 だが、負けた場合……。もう体温を上げる力も無くなって、それで倦怠感。


 もう無理無理、で体温が下がり冬眠状態……は、無いにしても、体温の維持が出来ないくらい力を使い果たした。



「では、目の充血は何故なんでしょう」


「目は……あれだな。花粉症と一緒だ。外から侵入したウイルスにアレルギー反応が出た。1番わかりやすい部位だ。外から見てすぐにわかる。鼻水は出ていないのか? って、うおっ!ビックリした! 棚橋ドクター、いつこっちに来たんだ」



 横から俺を覗き込んでいた棚橋ドクターに気がつき驚いた。しかも恥ずかしい事に俺はまた独り言を言っていたようだ。

 よりによって本職の医者の前でただの派遣が何を偉そうにベラベラと、俺、どこから声に出してた?



「なるほど、鼻水の確認はまだしていません。急ぎ確認いたしましょう。それにしても流石ウィズですね。医者なんて頭でっかちで小難しく考えすぎて恥ずかしいです」



 いやいやいや、俺の素人考えに納得しないで?マルク君、そんなにキラキラした目でみないで?



「それよりどうする? 清掃していいんか?」


「そうですね、現在点滅中の18人に清掃をかけてもらいましょうか」


「出来れば、この先の症状を確認したいところなんですが、いつ赤に変わるかまだわからないからなぁ」



 棚橋ドクターが残念そうに言う。



「赤になってしまったら取り返しはつかないですからね。発見次第、清掃すべきです」


「ええ、わかっています。病院でも小動物で検証したいのですが、動物は赤になるまでマップに写らない、とりあえず健康そうな動物を檻で確認する程度ですね」



 そうか、マップに黄色は人間だけだもんな。かと言って人間で人体実験なんてしたらそれこそマッドドクターになってしまう。



「僕もマッドドクターなんて呼ばれるのは嫌ですよ。カオさん、清掃をお願いします」



 良かったぁ。棚橋ドクターって妙に整った顔で目が笑ってない笑顔を時々するので、なんかやってそうな気がしてた。



「ゴホン、ゴホン!カオるん!独り言!」


「あ、スマン、今の出てた?」


「すみませんね、やってそうな顔で」



 うわぁ、棚橋ドクターの整った真顔も怖いぞ。



「スマンスマンスマンスマン。お詫びにコレを。使ってくれ」



 俺はネックレス(浄化)とイヤリング(祝福)をワンセット、ドクターへと差し出した。

 これで勘弁してください。


 ドクターが受け取りアイテムボックスにしまったと思ったら、テンションマックスになったので、アクセサリーの詳細を見たのだろう。



 とりあえず18人は3部屋に分かれて寝ていたので、それぞれの部屋で清掃をした。

 ドクターが近くの患者の瞼を指で開いた。



「充血は解消されていますね。体温戻ってきています」



 そう言って体温計をオデコ当てていた。



「35度8分……こちらの方は36度2分。先程まで35度をきっていたのですが」



 隣の部屋の患者調べていった。発熱があった患者は逆に熱が下がり始めていた。

 寒がって重ねがけしていた毛布も、暑く感じたのかベッドの足元に蹴飛ばされていた。



「ふむ。37度2分。大丈夫そうですね」



 とりあえず数日この部屋に居てもらうつもりだと言った。



「それにしても急に18人。もしかするともっと発生しているかもしれませんね。一度全員確認が必要でしょうか」


「けれど感染源がわからない以上、同じ事は続いてしまう」


「まだ、ウイルスの特定やワクチンは出来ないのですよね?」


「ウイルスは特定されています」



 えっ、やっぱりウイルスだったん?

 嫌、小説や映画だと『ウイルス説』が殆どだが、俺は若干『呪い』説も考えていた。


 だって、『浄化』で倒せるんだぜ?呪いっぽくないか?まぁいいけどさ。

 俺らはドクターに案内されて病院拠点の研究室みたいな部屋へと入った。顕微鏡とか試験官とかがごちゃごちゃと並んでいた。



 ドクターに促されてタウさんが顕微鏡を覗き込んでいた。



「その、活発なヤツが恐らく今回の犯人です。18名全員の血液から出ました。僕らには居ません」



 タウさんい続き、ミレさんが、アネさんが覗き込む。俺も覗いた。

 うん、そうだろうと思ってた。


 顕微鏡の中にはうにょうにょとそれはもうウニョウニョと色んなものが蠢いていた。

 活発とか大人しいとかわけわからん。


 それとずっと不思議だった。こうやって採った血液を顕微鏡で見るとうにょってるじゃないか。

 それって、血液ってさ、身体から抜かれても独自に生きてるって事か?いや、死んでたら輸血が出来ないか。


 でもさ、人様のウニョった血液が輸血でよそ様に入るって、んー……、血液型以前にうーんうーん、よそ様のうにょうにょがぁ。


 それでも、体から出たもんが単体で動いてるって……人間って何か知らんけど凄いな。(怖いな)


 俺には顕微鏡の中のどれがゾンビウイルスかわからなかったが、コレを元にワクチンの開発に励むそうだ。

 くれぐれも、走るゾンビや3段階変身ゾンビを開発したりしないでくれよ?怖いからな。



「カオさんの清掃ですが、点滅者以外にかけるとどうなんでしょう」


「いや、どうにもならないぞ? 何も起きない」


「そうなんですか、残念です。予防接種ならぬ予防清掃が出来れば良かったのに」


「予防清掃はともかく、洞窟内の避難民を1箇所に集めて清掃をかけましょう。現在もしも隠れ点滅者が居た場合、それでクリア出来るはずです」


「感染源が不明なので、この先また新たにかかる可能性は高いですね」

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