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195話 彼方此方で危機発生⑤

『そうですね。生活魔法……魔法と言う言い方をするからややこしい。生活スキルと言った方がわかりやすい』


『確かに。生活魔法と言っても、俺らのステータスにそれって載ってないもんな』


『確かに』


『生活魔法とステータスは別物と考えましょう』


『生活スキルって言い方で統一してもいいかもな。水が出せるのも火が熾せるのもスキルだな。英語が話せる、車が運転出来るのと一緒だ』


『良かった、俺、車の免許も無いし何の資格も持ってなかったけど、水出せるし火も熾せる。これで履歴書の資格・特技欄に記入出来る』


「良かったね!お父さん」



 あれ?俺、口に出してた?念話のつもりが……。



『水や火が生活スキルとして、それとは別にゲームのスキルは相変わらずステータスに表示されないようです。養老の砂漠の皆さんはゲームでもスキルを習得されているそうですが、ステータスへの表示は一切ないそうです』


『ふむ、まだ謎は色々残りますね』



 その会話の後、ゆうごは念話から抜けた。引き続き調査を続けるそうだ。それと北海道の自衛隊駐屯地回りも。

 アネからはボチボチやってると念話があった後、念話から抜けた。




『俺さ、一足先に合流するわ』



 ミレさんからの言葉に皆が驚いた。ミレさんがこっちに来れると言う事は、無事にLAFのサーバー移動が済んだという事だ。



『無事に洞窟にメインサーバーを移したぞ。これでシェルターの方で何が起こっても大丈夫だ。カオるん、今から迎えに来てよ』


『カオるん、申し訳ないですが行っていただいてよろしいですか?』


『喜んでー』



 俺は二つ返事でテレポートで洞窟へと飛んだ。拠点本部に居たミレさんをキャッチして愛知へと戻った。

 ミレさんはタウさんのキャンピングカーで寝るそうだが、その前にブックマーク箇所を俺たちと揃えて欲しいとタウさんから言われた。



「夜のブックマークか……」



 ちょっと怖いがまぁ、ミレさんも居るし数カ所だから直ぐに終わるだろう。

 キヨカが必要なブックマーク名を書き出した紙をくれた。マルクは頭がガクンガクンしていたので先にベッドへと突っ込んだ。



「僕も行く……」


「3分で戻るから先に寝てろ」


「はい……」



 ほとんど寝ていたのでそのまま布団を掛けた。明け方の寒さ考えて毛布を何重かかけておいた。


 ほぼ3分でブックマークは終わり、寝ようと思ったがミレさんにあっちのキャンピングカーへ付き合えと言われた。



「ご苦労様でした。ミレさんもカオるんも」



 タウさんは寝ずに待っていた。川コンビは寝ていたがカセは起きていた。



「タウさん、これ。カンさんに頼まれて持ってきた」



 ミレさんはアイテムボックスからクーラーボックスのような物を取り出した。何だ?ビールか?今から飲み会か?

 と、思ったら違っていた。



「これが完成品ですか?」


「完成品?サーバーの?」


「ちゃうちゃうw カオるん、サーバー持ってきてどうすんだよ」



 なんと、ミレさんが持ってきたのは持ち運び用の小型の電波基地だそうだ。

 電波基地、とはなんぞ?



「カオるんに説明するには難しいな。ええと、携帯…スマホの基地局を持ち運べるようにした感じ?」



 すまん、スマホの基地局からもうわからん。



「ええとな、つまり……」


「カオるんに正しい情報は不要です。カオるん、これがあるとネットが出来る、という機械です」


「なるほど! それは凄いな。てか、普段、何でネットが出来てたのかもよくわからんが。つまり、それがあるとLAFも出来るって事か?」



「惜しい!残念。でも良いとこまでいったぞ、カオるん」


「これひとつだと、5000平方キロメートルくらいのカバーなんだ。日本のあちこちに置けば、通信が網羅出来るはず。そしたら日本のどこでもLAFが出来るぞ」


「おおおぅ、凄いな。因みに日本はどのくらいの長さなんだ?」


「日本の長さ?…………確か3000キロくらいだったか?」


「なんだ、じゃあ一個でオッケーだろ?これ一個で5000キロって言ったよな?」


「いやいや、カオるん。さっきのは5千平方キロな。平方キロってのは面積だから、長さとは違うんだ」



………………………?



「…………すまん。算数はまだイケルが数学は離れて30年だし……。俺に解るような例えがないか?」


「ありました。カオるん。五千平方キロメートルはだいたい愛知県の面積です」


「お、あ、うん、なるほど。愛知県の面積な。つまり愛知県の中でスマホやネットが繋がるんだな?」


「そうだ、カオるん、その通りだ! タウさん、ナイス例え」



 しかし、俺は愛知の大きさがどれくらいかは知らん。が、まぁ県ひとつくらいならオッケーって事か。

 それだけでも十分に凄いな。



「こんなにコンパクトでこれ自体はどっかにコンセント挿すのか?動かすのに電気がいるだろ?」


「大丈夫だ、それも込みでカンさんのスキルで作った。すげぇよなぁ、カンさんのスキルってさ」



 カンさんやタウさんのスキルは凄い。ミレさんのサーバー移動もゆうごの情報処理とかも凄い。アネ……アネの行動力も凄い。

 俺の派遣スキルはイマイチだけど、今はウィズのテレポート魔法があるからな。適材適所で俺も出来る事を頑張ろう。マルクが自慢出来る父親でいたいからな。




 翌朝、出発前に食事を摂っている時にミレさんが持ってきた小型基地の話になった。



「凄いねぇ、スマホが繋がるね」



 キヨカとマルクがスマホで話していた。君らお互いに目の前に居るからね?



「洞窟までは通じないんだ……翔ちゃんとこはダメみたい」



 マルクが少ししょんぼりしていた。それを見たミレさんが苦笑いをしながら伝えた。



「一応、茨城の拠点と埼玉に置いて来た。カンさんが現在量産中なんだが、さすがに埼玉と愛知じゃあ通じないな」


「そうですね。幾つくらい完成しているのですか?」


「カンさんに持たされたのは2台。茨城と愛知を繋げるのに都内か神奈川に置きたかったが、あそこは富士山噴火の被害が酷い。ギリ大丈夫な埼玉に一台置いて、もう一台は持ったまま来た」


「そうですか。全部で3台のみですか?」


「いや、北海道へ繋げるのに、現在10個くらいあると言ってたな。ブクマがある栃木、群馬、岩手においたがそれでも北海道は繋がらん。が、残りは道内で使う。道内に第三拠点を作る予定だろ?」


「ええ、それに道内で各地の自衛隊駐屯地と連絡が取れるとありがたい」


「カンさんは道内回るくらいの制作が終わり次第、こっちに合流すると行ってた。船や車での移動ならその中で作れるからな。これが馬移動とかなら参加は無理と言ってた」


「なるほど」



 カンさんも合流出来たら嬉しい、そう思っていたんだが物事はそう上手くは運ばないようだった。


 と言うのも、フェリーで湾を移動しようとしたが、思った以上に障害物が多く、海路は諦めて陸路で進む事になった。

 しかし陸は陸でこれまた障害だらけだったのだ。


 精霊に火山灰を吹き飛ばしてもらったが、街中は瓦礫で埋もれてかつ道路のアスファルトも割れて剥がれたり重なったりしていてなかなかに進めない。

 迂回を繰り返しているので名古屋方面へ遅々として進まないのだ。



 それで久しぶりに馬移動でのブックマークで俺が仲間を運ぶ、あの作戦になった。



 馬での先行メンバーはタウ、ミレ、マルク。俺は久しぶりにポニー太を出した。

 精霊で灰を吹き飛ばしながら瓦礫の山を避けつつ越えつつで俺たちは距離を稼いだ。


 ポニー太も、流石ゲームアイテムであるので普通の馬よりは早い。だがタウさんらの巨大な馬よりは遅いのでタウさんらはこっちの速度に合わせてくれている。


 その頃、キヨカやカセ達はキャンピングカーで留守番だ。



-------------(キヨカ視点)-------------


 私も足が欲しい。

 だけど普通の馬ではダメだと言う事は解っている。

 こんな足場の悪い場所を走らせたら直ぐに馬の足をダメにしてしまう。だからあえて留守番でも我慢している。


 ゲームアイテムだからこそ、この悪路でも進めるのよねー。

 結局どんなにゲームをしてその中でアイテムを集めても、リアルのこちらに持ち出す事は出来ない。


 カオさん達が持っているアイテムは、ある一点の時のデータをもとしにリアル化されたアイテムらしい。

 減る事はあっても増える事はないのだ。


 実は莉緒に馬を貸して欲しいと念話で連絡をしたが断られてしまった。

 自分も北海道で使うかもしれない、それに家族間でも貸し借りはしないと言われた。莉緒のあの割り切った性格は羨ましいと思う反面、冷たいと感じてしまう事もあった。


 「ポニーは持ってないから」と、先読みしてそっちも断られた。そうよねぇ、莉緒がポニーに跨る姿は想像出来ないわ。



 文明に慣れた人間は、少しでも崩れた世界では生きにくい。

 電車もバスも車も、バイクも自転車でさえも綺麗な道でないと走れない。


 あ、でも、マウンテンバイクとかオフロードバイクとかどうだろう、カオさんのなんでもポケットに入ってるんじゃないかしら。

 待って、ダメダメ。直ぐにカオさんに頼る癖がついてしまったわ。


 自分で入手出来ないかしら。

 この近辺で探してみようか?ただ待ってるのは時間が勿体無い。ついでに物資収集もしたらどうかしら。


 一応タウさんに連絡をしてみたら、6人が離れない事を前提にOKをもらえた。


 大型店舗を見かけたら私達をそこへ飛ばしてもらいたいと、タウさんへ伝えた。

 私達はそこで、オフロードバイク探しと物資収集をしながらカオさん達を待つのだ。

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