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18話  【9:53】カンタ

 ----------(カンタ視点)-----------


 翔太を見つめたままその時を待つ。



 9:50


 何も起きないな、テレビをつけてみた。いくつかチャンネルを変えてみたが、どこも普通の情報番組だ。

 スマホを持たない翔太が手持ち無沙汰にテーブルに置いてあったタブレットをいじり始めた。



「父さん、これ見て!」



 そう言って翔太がタブレットをこちらに押しやる。そこにはどこかの国の映像が映っていた。ニュースキャスターらしき男性が大声で唾を飛ばして話している場面が切り替わる。


 空の映像。幾つもの小さい光を従えて落下するオレンジ色の物体。やはり隕石落下はあった。しかし神は地球は滅びないと言っていた。人類は激減するが生き延びる者もいると。


 どこに落ちる?



「どこに、隕石はどこに落ちるんだ?」


「これ、中国からの映像、中国に落ちるのかな」



 画像はまたテレビ局内へと戻ったようだが、キャスターはもう叫んでいなかった。局内の大きなモニターを、目も口も大きく開いて、ただ見つめていた。


 息子もタブレットに齧り付くように見ている。



『どうやら隕石の落下コースが地球上になったようです』



 テレビから聞こえた焦ったような声に、翔太とふたり、タブレットから顔を上げてテレビを見た。



『隕石って、数日前には地球の横を通り抜けるって言ってましたよね』


『ええ。ですが、どうも軌道が変わったのでしょうか。これは、中国の映像ですね。完全に大気圏に入ってます。人のいない場所に落ちるといいのですが』


『それにしても大きくないですか?隕石って数センチくらいではないのですか?』


『大抵は大気圏突入で燃え尽きるか、燃え残ってもそんなもんでしょう』



『落ちた!落ちました!』




海外の映像はそこで画像が途絶えた。



『落ちた、ようです』

『落ちました、中国に落ちたようです。中国のどこかはまだ詳細は入っていません。テレビをご覧の皆さん、衝撃波に備えてください。窓からは離れてください』


『日本は大丈夫なのでは?……あああ! 映像が、新たな映像が入りました。大西洋側から衝撃波が来ます! 西側です! 皆さん窓から離れてください!』



 キャスターがそこまで言ったときにTVの画像がブレた、と同時に切れた。

 咄嗟に翔太を抱き抱えた。



 ガタガタガタガタ、バキバキ、ガタガタガタ



 家が壊れると思った。母家は古い戸建だが、親の代からのしっかりした作りでよかった。それと平屋だったのも幸いした。こちらは比較的新しい耐震設計もしてある二階建てなので、こちらも家が壊れる事はなかった。


 翔太はガタガタ震えながらしがみついていた。良かった。戻れて本当に良かった。神さまありがとうございます。


 ここはかなりの内陸、しかも筑波山の麓とはいえある程度は高い土地だ、津波は大丈夫とは思うが一応気に留めておく。

 初回の隕石は中国だったが彗星のかけらはまだまだ複数あったはず。




 TVはまだ戻らない。タブレットも通信が切れていた。


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