175話 叔母を訪ねて②
マルクをソファーに寝かせて、地図を持ったキヨカとフジを連れてブクマ地点を回った。
拠点本部に戻った。戻る前にタウさんからフジを稚内に置いてくるよう言われたので、フジはそこから自力で戻ってもらった。
「お疲れ様です、カオるん。さて、話を済ませましょう。ミレさんとカンさんはLAFサーバー移動を引き続きお願いします。アネさんとゆうごくんはフジさんと連絡を取りつつ、北海道の地上をお願いします」
「はい。特に十勝近辺を綺麗にしていただきたい」
「ああ、うちの第三拠点の候補地だっけ」
「そうです。その辺りを考えています。明日、いえもう今日ですが、私、カオるん、キヨカさん、マルク君、加瀬さん、奈良さん、球磨さんの7人は『西』へ向かいます」
「クマ、奥さんと子供はいいんか? まだ子供が落ち着かないなら後からの参加でいいぞ?」
「いえ、大丈夫です。時々会いに戻してもらえれば。実は明日の朝には退院させてもらって洞窟の俺の個室へ移る予定です。洞窟の方が人も多いし気が紛れるかと」
「そうだな。子供も多いし保育所や遊び場もあるからな」
「それに俺の個室の近くには親父達と兄貴一家も居るから心強いです」
そうだった。新潟のクマ一家をこの洞窟拠点に運んだんだった。(有無を言わさずだが)
確か、クマの個室に近い場所に部屋が取れたと言ってたよな。近くに身内がいるなら安心だな。
「海上保安庁から操船が出来る人材も選んでいます。それは明日、いえ今日ここを出発前に紹介します」
「どう言う経路の予定ですか?最初から船で?」
「いえ、まず八王子へ向かいます。カオるんの叔母さんと連絡が取れた最後の地が八王子だそうです」
「あの、それ、20年以上前なんだ。何も手元に残って無いんで住所とかはわからん。ただ……八王子だった事は覚えてる」
「八王子って球磨の……」
「ああ、こないだ行ったあの時、ふっと思い出したんだ。昔叔母へ出したハガキの住所が八王子だったな、と。それしか覚えてない」
「八王子でどう動くかは、出発してから話し合いましょう。今は大まかな事を説明します。八王子でカオるんの叔母さんを探した後、そこから海に出て愛知へ向かいます。愛知では私の実家巡りに付き合っていただきたい。それから和歌山へ、これは陸地を進むようになります」
「八王子、愛知、和歌山だな。その後は?」
「そうですね。拠点や北海道の状況にもよりますが、そのまま西へ向かうか、ブックマークを残して茨城へ戻るか」
「そこまで行ったら、岡山を訪ねたいですね。ゴンちゃんさんは岡山ですよね? ウィズがもうひとり居たらとても助かります」
「そっか、ゴンちゃんは岡山か」
という事は岡山県は、バナナを半分に切った下半身にあるのか。
何だかんだで結局解散は4時を回っていた。マルクを起こすのも忍びなかったので、本部の床に布団を敷いてそこに寝かせた。
キヨカはシャワーを浴びてくると部屋から出ていった。クマ達も一旦自分の部屋へと戻った。
『西南進行』組は10時に集合だ。マルクが起きるまで時間を潰していよう。寝たら10時に起きられない気がする。
「ごめんなさい、寝坊しちゃった……」
目を擦りながらマルクが布団から出てきた。
「大丈夫だ。まだ7時だぞ?」
「うん、6時にエントの水やりがあったの。洸太と翔ちゃんから何度か念話が来てたみたい。先に行くってメールも来てた」
「昨夜は寝るのが遅かったからな。今日は翔太達に水やりを任せていいんじゃないか?」
「うんでも、明日から来れるかわからないから、行く」
マルクと一緒にカンさんの自宅へとテレポートした。するとまだそこに翔太達が居た。
「ごめーん、翔ちゃん、寝坊しちゃったー」
「おう、もう水はやったぜ」
「じゃあ、ライトするね」
そう言ってマルクはエントに向かってライト魔法を放っていた。




