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165話 ホワイトですから①

 翌朝、俺の部屋の前の通路にはかなりの人が並んでいた。確か5時からとギルドが放送してくれたはずなのだが、4時すぎからザワザワとしていた。


 ジジババの朝が早いのはわかるが、今の季節は4時台はもう暗い。いや、まだ暗い?どっちにしろ火山灰のせいで毎日曇りなので尚更暗い。

 5時半過ぎてようやくほんの少しだけ白んでくるのだ。そのタイミングを大仏で迎えようと思ったのだ。


 5時が近づく時点で、もう2往復して大仏へと送り届けている。

カセ達は先に送ってある。何かあったら即知らせてくれるように頼んだ。マルクと洸太はおにぎりを頬張りながら待っている。


 5:30の時点で〆させてもらう。ドアに終了の札をぶら下げ、最後の人達とマルク達を連れて大仏へ飛んだ。


 大仏の中を楽しむ人、最上階で朝日を待つ人、外で運動をする人などそれぞれであった。

 一応、大仏前の広場からは出ないように言ってある。


 俺とマルクは大仏の入り口横で、ヒールをかけている。広場の先の参道には、大きいエントが2本、まだ細いエントが5本立っていた。

 もしかして冬眠していたのに昨日起こしてしまったかな。暫くは定期的に水とヒールとライトを当ててエントの機嫌をとっておこう。


 そうして、帰還スペースへ並ぶ人達を次々と洞窟へ送り返した。キヨカはキチンと人数を数えてくれていたようで、置き去りにされる人はいなかった。


 最後に大仏内を見回る。ゴミなどが捨てられていないかを確認する。

 一階の12体の仏像さまには様々な物が供えられていた。こんな災害時だ、家族を亡くしても葬式も出来ない、仏壇もないのだ。きっとお供えはそんな想いがこめられているのだろう。


 俺たちは洞窟に戻ると八王子へ出発する。まずは相模原のブックマーク地点だ。



「そう言えば今日はアウトレットへ行くはずだったのにごめんな」



 そう、最初の予定では大仏からそう遠くないアミプレアウトレットへ行く予定だったのだ。



「うん。アミはまた今度行こうね。そん時は洸太くんも一緒に」


「そうだな」




 俺のエリアテレポートで相模原まで飛んだ。ここからは車移動だ。

 今日のメンバーは、俺、マルク、キヨカ、カセ、ナラ、クマの6人だ。

 洸太は留守番。彩さんも忙しそうで来ないと言った。


 ある程度の範囲の火山灰は精霊に吹き飛ばしてもらった。道路が剥き出しになり地面が露わになる。アスファルトにところどころひび割れがある。

 どうするか、マルクのウマ王を出して馬車を引かせるか。



「カオさん、ランドクルーザー7人乗りで検索してもらえますか?」



 カセからアイテムボックスの検索を頼まれた。言われた通りに検索したらヒットした。



「おっ、あるぞ。三台出てきた」


「カオさんのアイテムボックスは何でも出てくるなぁ」


「いや、何でもはないぞ? 入ってるのだけだ」


「カオさん、俺、彼女欲しいな。二十代の可愛い子で検索お願いします」


「出るか! そもそも生き物は入らん!」


「入ったとしても入れてたらキモいな」


「俺を変態扱いするな! 入っとらんし、入れんわ!」



 一応念のため(?)、検索した。うん、出てこなかった。そうだよな、知らんうちに入ってたら怖いな。


 俺はぶつぶつ言いながらランドクルーザーと言うのを出した。おう、車の事だったのか。

 ランド、クルーザー……、地面を走るクルーザー、地面を走る船?これは酔い止めを飲んでおいた方がいいな。


 カセの運転で八王子へ向かい出発した。うん、酔い止め飲んでおいて良かった。


 住宅街に入ったと思ったら、思ったより早くにクマの自宅へと到着した。


 クマは車から転げるように降りてマンションの入り口へ入って行った。5階建てだろうか、そのマンションの3階がクマの自宅で奥さんと3歳の息子が暮らしていたそうだ。


 きっと、ずっと会いに戻りたかった事だろう。

 俺たちはこのまま車で待つか、クマの家へ行くか悩んだ。大勢で押しかけてもなんだしナラと俺だけでも行ってみるかと話していたが、階段からクマが降りてきた。


 ひとりだった。……嫌な予感。当たって欲しくない予感が頭をよぎる。

 助手席に乗り込んだクマの手には紙が握られていた。



「球磨……」

「クマさん」


「あ、うん、いや違うんだ。祥子達は避難所に行くと伝言が置いてあった」


「そっか、良かった。じゃそっちに行こう」


「でも日付が……」



 紙に書かれた伝言の日付はかなり古かった。隕石落下の後、すぐくらいだ。ここは津波の被害はないようだが、ずっと避難所に居るのだろうか。避難所は無事なのか?



「とにかく行きましょう!」



 キヨカに急かされて走り出した車の中では、誰も口を開かなかった。何を言って良いかわからない、今は黙っていよう。



「あそこだろうか? 書かれた住所だとここらだと思う」



 カセが車を停めた。今度は俺たちは全員降りた。

 フェンスの向こうは学校の校庭のようで、近くに鉄棒が見えた。校庭にはテントが並んでいる。


 俺たちは学校の正面玄関へ向かう。そこには長机が置かれていて、靴箱や廊下の壁には伝言のような紙が沢山貼られていた。

 長机にすわっていた男性に声をかけた。

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