表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

158/282

158話 基本はここから④

 翌日の事である。

 第2.5拠点とトンネル開通に引き続き、凄い報告があった。


 洞窟内は燃え尽きたような雰囲気でモソモソと前日の片付けが進んでいた。そんな中、久しぶりに血盟主会議に招集された。

 お互いが労い合った後、ミレさんが立ち上がった。


 何かやつれてないか?大丈夫か?ミレさん……。確かLAFを洞窟に移すとかどうとか。



「いけそうだ……ああ、いける」



 どこに行くんだ?



「ただ、カンさんとカンさんの精霊にも手伝ってもらう事にはなる」


「では、こちらに?」


「ああ。場所はかねてより計画していたとこでいいんだよな?昨日の今日でカンさんも疲れているだろうが、付き合って欲しい」


「万が一を考えてまず、茨城サーバーを開設する」


「筑波ではなく?」


「あえて『茨城』と言う名で。目眩しに県内に幾つか小さいのを置く。その小さいのをカンさんのスキルで作ってほしい」


「まずは、県内3カ所にミニサーバーを開設、そしてデカイのをここ、洞窟に」


「メインをここに移して問題が無ければLAF地下は他と同等のサブになります」



 すまん、全然理解できない。システムは俺には難しいすぎる。



「これで、地下LAFが攻撃されても、そのサーバーがダウンするだけだ」


「カオるん、サーバーと言う言い方をしていますが、マス鯖とかピタ鯖のサーバーとは別物ですよ」



 カンさんが優しく説明をしてくれる。別だと言うのはわかるが、解らん。



「ええと、基地と言えばいいのかな。今まではシェルター内にLAFの『本部基地』があり、その本部基地の中に、マースやジュピターなどの部隊が居ました。日本の都市の幾つかにも『支部の基地』があって、本部でも支部でもマースやジュピターの戦士が居た感じです。それで、本部基地を攻撃されると、支部の戦士も全員戦闘不可になってました」


「おう、カンさん、説明がわかりやすいな。それならカオるんでも理解可能だろう。そんで、『本部基地』をいきなり洞窟に引っ越すと直ぐに引っ越しがバレるから、まずこっそり『本部基地の建物』だけを洞窟に建てて、それもバレにくくするために茨城県内に似た建物を3軒建てた。んで、『本部基地』の中身を『茨城基地』に移してここが本部になる。そしたら地下LAFが攻撃されてもサブがダウンするだけでメインのここは大丈夫だ」



「……………おう。頑張ってくれ。俺に手伝える事……が、あれば、言ってくれ(難しい事は無理だ)」



「実はLAFサーバーの移動よりも、今回カンさんにお願いしたいミニサーバーだが、それがあれば国内の連絡がとりやすくなる。ゲームサーバーを利用した、通信システムだ」



「それはどういう事でしょう」


「今は火山灰のせいで通信がいかれちまってる。カオるんの精霊で灰を吹っ飛ばしても、日本中の壊れた通信塔や機器を治すのは無理だ。それで新たに変わりになる物をあちこちに落としていければ、と考えた」



「ゲームの回線を利用って事は、ゲームにログインが必要なの?」


「いや、ゲームにログインする必要はない。そもそもパソコンのオンラインゲームは、通信、Wi-Fiや無線LAN、有線LANで繋がっている。ここ地下LAFで電波が繋がっているのはシェルター内は有線LAN、地上でも近距離のみのアンテナで灰を防いで電波を送っている。だからその電波の中継機を強化して小型化したのを各地へ配る。今よりずっと繋がるようになるはずだ」


「ミレさん、ステータスにスキルが発生していませんか?」



 タウさんの言葉で皆がハッとしたようにミレさんを凝視したが、ミレさんは苦笑いになった。



「残念ながら。いや、俺もさぁ、今までにない何か目と脳が連結されたような感覚があってさ、これはスキルが出たか!と思ったんだが、ステータスを見ても出てないんだよ」


「ふむ、しかし、近々表示される可能性は高いですね」


「凄いです!ミレさん。羨ましいです!」



 ゆうごが心底から羨ましそうな声を出した。



「発現してもおかしくないですね。ミレさん、システムエンジニア歴かなり長いですよね」


「まぁなぁ。でもま、途中で営業になっちまったけどな」



「となるとまずはLAFの移動が先ですね。その後にカオるんがブックマークした北海道を皆で周りブックマーク作業を行います。その時までに幾つかミニサーバーを作製して、自衛隊駐屯地へ置いて行きましょう」



 なるほど、そう言う使い方があるのか。自衛隊駐屯地と連絡が取れれば、北海道の救助もやりやすくなるだろう。

 それは俺たちが、ではなく、地元の自衛隊駐屯地、警察や消防団がお互い連絡が取れれば、もっと動きやすくなるはずだ。



 そしてタウさんはテーブルの上に大きな地図を広げた。最近よく見た地図、北海道の地図だった。

 タウさんをその地図を手で示しながら説明を始めた。



「現在の北海道の状態です。衛生画像などがあるわけではないので、カオるん達により実際に訪れた情報を元にしています。ここ、この山脈から東は、ほぼ無くなったと見ています。小島のように頭を出している山はあります。が、低い陸地は、今は……なくなりました」



 住んでいた人達が居た場所を指して、タウさんはとても辛そうな顔で話を進める。



「今、日本はどこもこんな感じでしょう。どこを優先すべきかわからないくらい酷い状態。それは北海道に限らず、都内も神奈川も千葉も、この茨城の沿岸も同じ状態です。北海道の拠点造りを進めるべきか、今既にここに拠点がある、それなら他の救助に回るべきか。今も悩んでいます」



「でもさ、タウさん。他に救助に行っても結局ここに連れ帰るならすぐにここもいっぱいになるぞ?」


「そうですね、カオるん」


「俺は新たな拠点造りに賛成だ。それが今度は北海道だ。もしかしたら西や南の方がもっと追い詰められているのかも知れない。けどさ、それは今の俺たちにはわからないじゃないか。だから出来るところ行けるとこからでいいじゃないか?」


「そうだねぇ、カオるんが大阪や四国、九州のブックマークを隠してない限り、今は北でいいんじゃないの?」



 ずっと黙っていたアネが口を開いたけど、俺、隠してないからな。

 えっ、何でみんな、俺を見るの?



「本当に無いです」



 タウさんが笑った。良かった。さっきは辛そうだったからな。



「私が考えている北海道の拠点を置きたい場所ですが、この辺りです



 タウさんが指差したのは地図の真ん中辺り、右側が赤線で引かれた無くなった大地。その左横だ。



「北海道のここ、縦に入る山脈、大雪山の左側ですね、この辺りの何処かに拠点造りたいと考えています」


「なるほど、山脈を背に拠点もありだよな。今も筑波山麓と言うかほぼ筑波山内だしな。山が盾になってくれると安心感はあるな」


「だな、それにカンさんの精霊魔法があれば、山が崩れたりの危険は無さそうだ」


「問題は雪か。どのくらい降るのでしょうね」


「今年は何かあったかいって言ってたわよ、自衛隊の人」



 そう言えばそんな事言ってたな。火山灰のせいで太陽の光が出ない割に寒さが厳しくならず気持ち悪いとも言ってたな。



「大雪が降ってもタウさんの火の精霊がいるから暖はとれるんじゃないか?」



 と言ってみたものの、大精霊からどうやって暖を作るのかは知らんが、いざとなったら魔物植物を倒してドロップの核を燃やせばいい。



「十勝……付近はどうですかね。実際行ってみないとですが、位置的にもいいかな」


「そうですね。私も十勝近辺を考えていました。それから札幌に小さい拠点を、それと小樽、函館、苫小牧に船専用の拠点も造りたいと思ってます」


「それ…は、確かに便利ですが、大変そうですね」


「ええ、カンさんと私はまた暫く拠点造りになりそうです」


「けど、まぁ、船での移動は出来た方がいいよな。多分この先、西や南に行くのも、陸を通るよりも日本の外側を回った方が速い。勿論カオるんの精霊ありきだが」



 俺たちの進む道が見えてきた。

 タウさんとカンさんはこの先も拠点造り、ミレさんはミニサーバー作り、俺は、何をしよう。

 そう思っていたら、俺と似た事を考えていたのかゆうごが動いた。



「タウさん、僕は何をしましょうか。ミレさんと同じDEでも僕にはシステムエンジニアの知識はありません。ただの大学生です」


「私も暇よー。ミレさんみたいにリアルスキルは現れそうにないわー」



 ゆうごとアネに続いて俺も発言しようと思った先にタウさんが口を開いた。



「カオるんには、西へ、ブックマークを進めて頂きたい。ゆうご君とアネさんはその警護をお願いします。彼方はまったく情報が入らない。そんな危険な地へ未成年のゆうご君を送りたくない。行けるなら自分がカオるんに同行したいです」


「僕、大丈夫です。何かあったら即帰還出来るし。行けます!」


「そうよ、大丈夫よ。何だったら毎日帰還すればいいし。あ、今回も運転手付きがいいわぁ」



 俺も言うぞ!



「小さい船には乗らん。フェリーを運転出来るやつをギルドで募集してくれ!」


「ああ、カオるん、船酔いするからねぇ」


「カオさん、アイテムボックスに酔い止めがあるようなら、頂いておいてよろしいですか?前回お預かりした酔い止めはあと一錠しか残っていません」



 何っ!わかった、全部渡しておくぞ。

 俺はキヨカに向かい、ステータスでトレード画面を開いた。



「僕も!僕も半分持っておく! だってキヨカお姉さんが居ない時に父さんが気持ち悪くなるかもしれないから!」



 おお、ありがとうな、マルク。

 俺は『酔い止め薬』で検索をして出てきたアイテムを、適当にキヨカのトレード画面へと移した。

 残りも適当に、全部ではなく少しだけ残してマルクの画面へと移した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ