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132話 動物が元気①

 洞窟拠点や第二拠点(病院)では、エントの枝を割いて編み込んだミサンガや、細いエントの紐にパワーストーンを付けたり数珠のようにした物を身につける者が増えた。『手作り暮らし』の作品は大人気だ。


 エントの枝で作った品は、エントに襲われないだけでなく『エントの加護』が着く事も発覚した。

 タウさんが解析スクロールを使用した所『エントの加護:植物系の魔物に襲われない、植物と敵対しない』とあった。


 植物系の魔物……、あれ、やっぱり魔物だったんだ。いや、『魔物植物』とか呼んでいたけど、それは魔物っぽいと言う意味で使っていた。


 歩いて移動したり実を投げてきたり、およそ『普通』の植物っぽくは無かったが、俺が知らないだけでそういう植物も居るのかも知れないと思っていた。

 が、そうか、『魔物』だったんだ。


 てか、地球に『魔物』って居たんだな。いやぁ、地球は広いわ。



 あれからアネさんに頼まれて山梨・神奈川方面からの避難民を運んだ。洞窟拠点のかなり奥の方になったが、何とか収まった。

 タウさん、カンさんは、洞窟と病院の間のトンネル掘りに四苦八苦している。


 タウさんのDIKのスキルは建物の建築には効力を発揮するがトンネルのような道づくりにはあまり向いていないらしい。

 カンさんは、病院内部の動力や細かい機器にスキルは活躍するがやはりトンネル掘りには向かないようだ。


 一度ふたりが俺の所に相談に来た。



「カオるん、トンネル造りに特化したサモンは居ませんか?」



 ええぇぇ?居るか?そんなサモン。

 そもそもゲームではWIZ守って魔物と戦うのがサモンの基本だぞ?

 力がありそうなサモンも、壊すのは得意でもトンネルを造るのはどうなんだろう。



「では、トンネルを掘れそうな魔法は?」


「魔法一覧はタウさんに渡した通りだ。それ以外はもってないぞ?」


「そうなんですよね。土系の魔法ですと、アースクエイクかイラプション。どちらもトンネルを掘るよりも山を崩しそうですね」



 おう、自信を持って言える。筑波山を崩すぞ?


 結局トンネルは一時ストップで、第二拠点の病院内と、その近くの洞窟内の拡張と整備をしていくそうだ。

 その洞窟から病院までなら何とか地下道は造れるそうだ。そう、タウさんが造る地下道は、『トンネル』よりも駅にあるショップが並んだ『地下道』に近いのだった。




 俺たちはネットが通じないので、ネットに依る救助はストップしていた。しかし過去に回った先、ブックマークがある先には様子を伺いに飛んでいた。


 現在は、アネの神奈川・山梨方面の救助は一旦終了(あくまで一旦だ。また行くぞ)、次はミレさんが回っていた埼玉・群馬方面だ。

 そこにブックマークがあるミレさんチームに、アネやキヨカやカンさん、タウさんがテレポートリングを貸し出す。そう、スクロールを節約するための苦肉の策だ。ラジオで俺のブックマーク先を流してもらう。


 埼玉・群馬は、海からの被害は無いので自宅に篭っている者も多い、住む所に困る者は富士山近辺に比べてだいぶ少なかった。なので洞窟拠点に連れてくるよりも、魔物植物避けを届けるのがメインとなったようだ。


 とは言え、そう数を渡せない。一家に一本、場所によっては避難所に一個となる。

 洞窟拠点の『熟れすぎトマト』が作業に精を出している。


 エントの枝を割いたり切ったりは『うれとま』の7人が、ミサンガを編んだりビーズを付けたりは別の者達がしている。

 ちなみに別な者とは、加入条件の75歳に届かない者達の血盟で『未熟なトマト』である。こちらは年齢性別の制限はない。ビーズや手芸が好きな者達が集まっている。


 出来次第どんどんと出荷されていく。それを持ってミレさんチームが埼玉・群馬へと配り歩いている。


 ただし要らないという先には渡さない。植物に襲われていない者に信じろと言うのは難しい。何しろ今はテレビもネットも使えず情報が入らないのだ。


 いきなり「これを身につけていると襲われません」と言っても無理だ。勿論無料なのだが、怪しさ満載だ。

 なので、襲われた人やその知り合いに率先して渡している。



 俺が担当していた茨城県内は、何故かエントの発生が多いようで、魔物植物が寄って来ない場所も多い。

 魔物植物はエントを避けているようだ。仲が悪いのか?




 火山灰で普通の植物が枯れたり見えなくなった事で、魔物植物が発見し易くなった。アイツらは火山灰をものともしない。

 逆に火山灰があっても頑張って耐えている樹木に張り付いて養分を吸い取っている。


 村の外側、街に近い辺りの植物が軒並み枯れたのは火山灰だけのせいでは無いようだ。

 火山灰を嫌うエントが身を隠すので、魔物植物らは最近調子に乗りまくりである。


 俺は村の外側を定期的にトルネードしまくった。植物をへし折ってしまって申し訳ないと思ったら魔物だった!

 何故わかったかと言うと、普通の植物はトルネで倒れるとそのままだが、魔物は倒れたあとシュワワワーっと萎んでいくのだ。キモっ。


 ただ見た目が植物と区別がつかないので、手当たり次第に倒すわけには行かない。ふと閃いて手のひらに生活魔法の『火』を出した。

 そしてそれを近づける。


 ザザザッ


 魔物植物は火を嫌うのか、避けるぞ、コイツら。

 『報連相』を使った。派遣魔法の『報連相』だ。今までは遠くから松ぼっくりを投げて来て、直ぐに隠れてしまったので発見が難しく『報連相』を使う間がなかった。



『パインツリープラント:松の木に寄生して魔物化した。火に弱い』


『報連相』はPTを組んでいる者に瞬時に連絡が行く派遣魔法だ。現在は盟主とPTを組んでいる。タウさん、カンさん、ミレさん、アネだ。

 PTは目の前に居る者としか組む事が出来ないので、北海道のゆうごとは組めない。



『カオるん、ありがとうございます』


『松の木に寄生って事は、他の植物にも寄生していましたよね?そっちはまた名前が異なるのでしょうか』


『そうですね。とりあえず弱点がわかりましたから対応も出来ますね』



 皆から念話が来た。が、パインツリーって松の木ってパインだったのか。えっパインってパイナップルの事か?ちょっとビックリだな。


 そんなくだらない事に驚いていた時、アネからPT念話が入った。



『ねぇねぇ、みんな今、時間取れる?本部に来れる人は来てぇ』

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