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冒険者が自由なわけあるかァァァァァァァァ!!!!

 『冒険者』魔物の討伐や資源の採取が主な仕事であるが、時に要人の護衛や家庭教師、ちょっとした荷物運びなど、多くの依頼を引き受ける何でも屋のような側面も持つ職業。SからDまででランク付けされており、Sランクまで上り詰めたものは多くの富と栄誉を得ることができる。冒険者達は、街から街へと旅をし、自分の好きなことをして自由に生きて、、、、、、、、、、、るわけないだろうが!!!!


 時間なんか気にしないギルドの呼び出し!理不尽な依頼主の要求!貴族の無茶振り!そのくせ低い給料!ランクが上がれば少しは楽になるかと思えばそんなことは一切なく只々仕事が増えただけ!蓋を開ければ重労働、薄給、クソ上司の3コンボ!地獄か!いや地獄だ!こんな職場辞めてやる!、、、って思っても貴族の圧で辞められない!!!入った時点で終わりかよクソがっ!!!


 、、、とまぁ、一通り叫んだところで自己紹介といこう。

俺はホリック・ワーカー。

ここ、「リダス」と言う名の小さな街で暮らしているAランク冒険者だ。

そう、「冒険者」なのだ。

だと言うのに何故俺はこんなしみったれた狭い部屋で書類仕事をせねばならんのだ!!!


あのクソッタレ共が、、、これだから嫌になる、、、俺が一体何をしたってんだ!!何もしてないだろうが!!!そもそもこの始末書の量も何だ!!!この損害俺のせいじゃなくないか!?!?


「あ゛ーーー終わらん!!!てか終わる訳ないだろう!!!この量を一人でやる方が頭おかしいんだ、、、」


相変わらず減らぬギルドの始末書を書きながら怒りを空に投げ捨てているうちに、外からはドタドタと大きな音が、、、ん?なんか思ったよりでかいな。何だ、嫌な予感がする。もしやここまで来ないだろうな、、、と思った次の瞬間。破壊するかの勢いで開かれた戸の外には、見覚えのある男と猫が一匹、息を切らして立っていた。


「ッワーカーさぁん!!助けてください!!」

「にゃぁぁぁん!!!」

「分かったから静かにしろ、、、今度はいったい何だ?」

「東の森の方でスタンピードが起きているらしく、、、」

「、、、はぁ!?スタンピード!?」


男、、アニマから告げられた内容に大声を上げながら立ち上がる

『スタンピード』

攻撃性のある魔物はもちろん、普段温厚な魔物までが荒れ狂い、見たもの全てを破壊し尽くしていく災害。

大抵の冒険者は太刀打ちできないほど大きなものだ。

そして何より、


後始末がめんどくさい!!!

討伐した魔物一匹一匹を解体して参加した冒険者へと分配し、討伐までの流れを記した報告書を作成、さらに危険手当や街への損害の確認と復旧の補助、、、うっ、考えるだけで頭が、、、


「俺を過労させる気か!」

「すっすみません!けど、俺たちじゃどうしたら良いのかわからなくて、、」

「ソルシエのとこに行けよ!アイツSランクだろ!!」

「今は国王に呼び出されて王宮に行ってます!」

「そういやそうだった!!!」


え、これ終わってね?だってこの街唯一のSランクいないんだぞ?終わったくね?俺が今呑気に後始末のこと考えれたのアイツがいると思ってたからなんだが!?

頭を抱えた俺に猫、、、ではなくケットシーでアニマの相棒であるミロが心配そうに覗き込んでくる。

うん、やっぱいつ見てもミロは可愛い。


「ワーカーさん!」

「っ、、」


いや、だめだな、俺が現実逃避しては


「アニマ、今戦える人材は」

「っ、Dランクが13人、Cランクが僕合わせて14人、Bランクは3人、Aランクはワーカーさん1

人です!」

「合計31人か、」


厳しいな、、そもそも、この街は元々小さかったのが最近ソルシエの働きで急激に発展した、、まだ冒険者があまりいなければ練度もそこまで高くない。

これで迎え撃つのはだいぶ無茶だ。

けど、


「どうしますか、、、?」

「、、、はぁ」


こいつらを見捨てることなんか、俺にはできない。

、、、だからお人好しって言われるんだろうな。


「、、、分かった、じゃあアルマ。お前はミロと一緒に住民の避難を頼めるか?」

「はい!分かりました!」

そう伝えると、アルマはミロを肩に乗せ部屋の外へと走って行った。


さて、これで住民の避難は大丈夫だ。あと行うべきは戦える人間の役割決めと武器の用意。

武器は、、、仕方ない、あの人に頼むか。 


俺が向かった先はこの街1番の鍛冶屋。

そこの店主であるガライ爺さんに頭を下げる。

「お願いです!武器を貸してください!」

「いや、、でもなぁ、、」

スタンピードに今いるメンバーで対抗するには少しでも質の良い武器が必要だ。

たとえ俺の有り金が全て無くなろうとこの人に武器を貸してもらわないといけない。

「俺の持っている金なら全て出します、たとえ足りなくても必ず稼いで返します!ですのでどうか、」

「あぁもう分かったわい!!今回はお主の顔に免じて貸してやる!金もいらん!」

「本当ですか!?ありがとうございます!」

「その代わり!必ずこの町を守って、尚且つ!生きて戻ってこい」

「っ!はい!」

やっぱりガレイ爺さんは良い人だ。

まぁ、生きて帰って来れるかはわからないが、、



さて、次は役割だが、、

31、、、いや、アルマと俺を抜いて29人中8人が弓使い、5人が魔法使いで遠距離担当。13人が剣士、3人が格闘家で近距離担当。

俺は治癒の能力も持っているため指示出しと怪我をしたものの治癒。あと倒し漏れたものの始末。

取り敢えずの振り分けはこれでいいか。

「いいか!決して死者を出すな!何よりも自分の命を優先だ!但し!お前たちの後ろには戦う力を持たない住民がいる!それだけは忘れるなよ!!」


 さて、いざ戦いに、、、と覚悟を決めて行ったはいいが、ありえないぐらい早く終わった。そりゃもう一瞬で。

ん?何故かって?、、、丁度帰ってきたソルシエが一発で魔物全部吹っ飛ばしたからだよ!俺らの覚悟の意味は!?しかも魔法の余波で街が半壊、、、まではいかずとも結構壊れてるし!!倒してくれたのは助かるがもっと加減しろぉぉ!!これじゃあまた報告書が増えるじゃないか、、、どうしてくれるんだ!!!まだ前回のギルドの報告書終わってないんだからな!?


 そんな愚痴を頭の中で考えながらも手はただひたすらに書類の処理をして行く。現在スタンピードが終わってから7徹目である。


「ワーカーさん、大丈夫ですか、、、?」

「あぁ、、、なんとかな」


 アルマが心配そうにこちらを見てくる。こいつもかなり仕事があるだろうに、人の心配をするとは優しいやつだ。それなのに、、、


「だーいじょーぶ、こいつ昔っから体だけは頑丈だから」

「確かにそうだが貴様だけには言われたくないなソルシエ!!」


 ここまで書類が増えた原因であるソルシエは優雅に紅茶などを飲んでいやがる。紅茶飲む暇あるなら手伝え!

幼馴染だからって俺に全部ぶん投げんな!!!


「ワーカーさん、落ち着いて・・・あっ、そういえばソルシエさんはどうして王様に呼び出されたんですか?」


 アルマが露骨に話を逸らしたな、、、まあ、こいつに憤っていても仕方がない、多めに見てやろう。


「んー?なんか、勇者召喚するから手伝えーだってさ」

「、、、ん?」


今こいつなんて言った?


「んでー、召喚した勇者の世話係に誰がいいか聞かれたから、ホリックの事推薦しといた!」


ホリックの事推薦しといた?

ん?ホリックって俺のことだよな?

俺の名前ホリック・ワーカーだし。

んで?

俺を?勇者の?世話係に?推薦した?


「っ、はぁぁぁぁ!?!?」

「と言うことで頑張って⭐︎」

「ワーカーさん、、、頑張ってください、、、」


アルマが憐れむような目でこちらを見てきた。

やめてくれ、それは余計に心に来る。

と言うかソルシエ、「頑張って⭐︎」ってなんだよ!お前が星つけてもなんも可愛くなんかないわ!!むしろ気持ち悪い!そしてどれだけ面倒ごとを持ち込めば気が済むんだ!!!こんなことなら一生王都にいればよかったのに!


「ワーカーさん、心の声漏れてます」

「え、どこからだ?」

「ソルシエさんの名前呼んだら辺です」

「なら別に良い」

「全然良くないけど???俺結構心に刺さったよ?」

「知らん」

「酷くない?」

「ソルシエさん、自業自得です」

「え、アニマもそっち行っちゃうの?」


何やらソルシエが泣くフリをしているが知ったこっちゃない。

取り敢えず今は勇者のことを考えねば、、、いや、その前にこの書類の処理か、、、やることが多い!!こんな調子ではもう5日ぐらい徹夜しなければならなくなるぞ、、、


あぁもう、いつになったら俺に休みは来るんだ!!

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