プロローグ
久しぶりの作品です。軽いBL要素ありかもくらいなので期待された方はごめんなさい。
これからどうなっていくかは自分でもわからないのでどっぷりBLになるかはまだわかりません。
一応SFっぽいものの予定です。 よろしければ気長におつきあいください
俺たち500万人を乗せた宇宙船は地球を飛び立った。
これからいつ終わるともしれない放浪の旅に出るのだ。
西暦1万とわずか5年で地球はすべての資源を使い果たし汚染と資源不足のため人類は地球を見捨てることを決めた。
月への移住もすすめられたが住めるところは少ない。
すべての地球の人類を移住させるにはあまりにも小さすぎた。
他の太陽系の惑星も移住するため開発がすすめられたがどこもうまくはいかなかった。
何台もの大きな宇宙船が作られ少数の月移住組と平行して外宇宙進行組も次々と飛び立っていった。
これから何千年、何万年という単位で宇宙をさまよい、住める惑星をさがさなければならない。
途方もない作業であり、終わりのない旅であった。
しかし俺たちは運良くたった3千年と少しで新しい星に巡りあうことができた。
すでに地球は遠く、散り散りになったほかの宇宙船と交信することもかなわず。
いつかほかの船がここに行き着く奇跡を信じ俺たちはこの星に降り立った。
初めて降り立ったこの星は砂嵐がふきすさぶ荒野のような星だった。
空気と水はなんとかあるものの、我ら人類が生活していけるとは到底思えないほどこの星の環境は過酷だった。
地球とは全く違う進化をたどったこの星は巨大な生き物の楽園となっていた。
だが、俺たちはあきらめなかった。
トライ&エラーを繰り返しながらこの星を住める星へと変えていった。
このころから俺らにも変化があった。
はじめは気のせいかとも思ったのだが、
「女性がうまれません。」
沈痛な面持ちで書類をみながら神経質そうな男が議会場のみなに報告をする。
議会場内にさざなみのようにざわめきが広がっていく。
男がさらに会場内に設置された大きなモニターに映し出されたグラフを指し示す。
「これが地球を出てからの出生率のすべてです。」
赤と青の折れ線グラフ。
この星についたころから赤いグラフが急激な角度で低空をさまよいはじめていた。
「今では年間300人ほどしか女性はうまれていません。このままでは我々は自然消滅してしまいます。」
宇宙船での旅は長かった。
何万年この宇宙船でいきなければならないのか誰もわからないのだ。
宇宙船のなかでの自給自足、その中には空気も含まれる。
新たな秩序の構築、それらすべてを一気にやらなければならなかったのだ混乱が起きる前に。
長い年月を旅するために半数はコールドスリープにつき、半数でこの巨大な船を動かす。
子供は作れても事故や老衰で死んでいく人数に見合わない。
そこで人工授精が試みられた。
男同士、女同士であれ、結婚に代わるカップル宣言をすると卵子、精子の提供をし、子供を授かれる。
1カップルにつき2人の子供、それでなんとか人口の減少は免れていた。
幸い卵子や精子のクローンには成功している。
その時の技術を生かし、卵子のクローンを今から量産し、もたせられるところまでもたせようということで議会は終わった。
「こんなその場しのぎの提案で今後我々は大丈夫でしょうか?」
まだ年若そうな男は不安を隠せない面持ちで議場を後にした。
この会議の議長を務めた男はまだ若々しく精悍な顔立ちをしていた。
しかし、彼は船の中でもっともコールドスリープに挑んだ人物で地球を知る数少ない一人でもあった。
「女性を中央に集めよう。もし女性の出生率が下がっていることがほかの市民にもれたら女性の奪い合いになるかもしれない。事件になってからでは遅いのだ。」
彼の決断は早かった。
中央と呼ばれるシンボル的タワーに女性だけの町を作った。
のちに市民からはハレムと呼ばれる場所だ。
オートマタと呼ばれるアンドロイドが厳重にそこを守っていた。
彼らは人間といえど、この地へ許可なく踏み込もうとする者には危害を加えてよいというある種恐ろしいプログラムが組み込まれていた。
彼の政策はどれも素晴らしく、彼を中心に人々は団結し、新たな新天地を切り開いていった。
彼は初代王となり、人類の発展に大きく貢献していった。
そしていつしかハレムは王の物と認識され、初代王である彼は多くの子孫を残したといわれている。
「はぁい。本日の授業はここまで、宿題はわすれずにしてきなさいよぉ」
大柄で細身の歴史の先生が教科書を閉じながら生徒たちににこやかに叫ぶ・
「はぁい」
みんな返事だけは優等生だ。
俺は鞄をつかむと一目散に教室を飛び出した。
屑鉄や壊れたロボったちのガラクタだらけの場所を抜け、崩れかけたビルに入り、エレベーターに乗る。
B5の階数ボタンを押すと今にもつぶれそうな見た目のおんぼろエレベーターは音もなく動きだす。