14話:周りからの上神君の評価(天城視点)
とある日の朝。
―― カリカリカリ……
私はいつも通り早く学校に行って教室で勉強をしていた。というか朝とか関係無く私はいつも勉強をしている。
私が毎日一生懸命に勉強をしているのには理由がある。それは勉強して有名な難関大学に入るためだ。私は両親に子供の頃から良い大学に入る事が立派な大人になるための一番大切な条件だと言われて育ってきた。
私はその言葉を信じて今日に至るまで毎日頑張って勉強をしていった。両親が認めるような良い大学に入るために毎日勉強を沢山してきたんだ。
でもそんな毎日しっかりと勉強をしてるのは私だけで、周りのクラスメイト達は私とは違って全然勉強をしようとしなかった。
「あはは、見てこの写真ー! 昨日彼氏とプリクラ撮りに行ってきたんだー!」
「うわー、いいじゃん! キスプリとかめっちゃラブラブじゃん! 私も今度やってこようかなー!」
「あはは、いいじゃんいいじゃん! 波奈もやってきなよー!」
そして今日も教室の中では女子達の楽しそうな話声が賑やかに聞こえて来た。
私のクラスメイトの女子達の大半は恋人を作って毎日のように遊んでる馬鹿な女子達ばっかりだ。いつも周りの話声から彼氏と遊びに行ったとか街中で男子をナンパして遊びに行ったとか、そんな感じの猥雑とした話がよく聞こえてくる。
(はぁ、全く……学生の内からそんな事ばっかりしてるなんて本当に下らないわね)
私はそんな馬鹿な女子達の事を見下しながら勉強を続けていった。だって学生の本分は勉強に決まっているし、そもそも不純異性交遊は学園の校則として禁止されてるはずだ。
それなのにそんな学校の校則を破ってまで男子と付き合ったり、街中で男子をナンパして夜遊びしてるなんて本当に愚かとしか思えないわね。
(ふん、全く……学生の内からそんな簡単な規則も守れないなんて、きっと皆は将来大人になったら苦労する事になるわね)
男子と付き合ったりナンパして遊びまくってる彼女達はきっと受験や就職で苦労する事になるだろう。そして私みたいに今の内にしっかりと将来を見据えて勉強をしてる私が最終的に勝ち組になるはずだ。
私はそんな将来の勝ち組になった自分を未来像を思い浮かべていきながら一人でコツコツと勉強を進めていった。
「あ、そうだ! そういえばさ、上神君の話聞いた?」
「……」
しかしその時……ふと私はペンの動きが止まってしまった。クラスメイトの女子達が急に上神君の話を始めたからだ。
上神君とは最近転校してきた男子生徒で、私の隣の席の男の子だ。
私は今まで学校では毎日勉強に集中をしていたから私に話しかけてくれる友達なんて一人もいなかったんだけど、でも上神君だけは何かある度にいつも私に話しかけてくるんだ。
だから上神君は転校生ではあるけど私にとっては今一番話をしてる……まぁ友達みたいな感じの男の子だ。
まぁでも私は今まで男子に耐性が無く過ごしてきたせいで、男子の顔を見ると顔を赤くしちゃうからあんまり上神君の目を見て話せないのよね。それもちょっとは改善させていきたい所だ……。
という事で話を戻すんだけど、クラスメイトの女子達が友達である上神君の話を始めようとしたので、私はその話が気になってしまいペンが止まってしまった。
「あ、聞いた聞いた! 三年生の先輩が重いノートを持って行ってる時に上神君が手伝ってあげたんでしょー! 凄く優しいよねー!」
「その話私も聞いたよ! あと一年の女子の事を手助けしてあげたって話も聞いた! 上神君って本当に優し過ぎだよね!」
「えっ? 何それ私知らないんだけど! その話教えて教えてー!」
「えっとね、ちょっと前に部活の朝練をしてた一年生の女子が貧血気味になって廊下で倒れちゃったんだけど、その女子生徒を上神君が颯爽と助けてあげたんだってさ! しかも女子生徒は朝練後で汗とか凄くかいてたのに上神君は嫌な顔を一つもせずに保健室まで肩を貸してあげたんだってさ!」
「えー! すっごいー! 優しくて力持ちで紳士的で、しかもあのルックスでしょ!? もう本物の王子様じゃん!」
(……へぇ、そんな事があったんだ。それにしても本物の王子様みたいか……確かにそんな話を聞いたらそう思っちゃうかもね)
私はクラスメイトの女子達の話を聞きながらそんな事を思っていった。確かに彼の事は……まぁカッコ良い男の子だなとは思ってはいたけど。
あ、で、でも私は勉強が忙しいから別にそれ以上の感情は何も持ってないからね。だから上神君は確かにカッコ良いとは思うけど、別にそれ以上の感情は持ってないからね!
「うんうん、本当に王子様みたいだよねー! しかも私達女子とも気さくに沢山話してくれるし、それにいつも柔和な笑みを浮かべてくれるから愛嬌も抜群だよね! 本当に最強の王子様って感じがするよー!」
「あはは、本当にそうだよね! あ、しかもこれ知ってる? 上神君のお昼に食べてるお弁当ってさ……あれ実は上神君の手作りらしいよ!」
(えっ……彼が食べてるあのお弁当って全部手作りだったの!?)
私はその話を聞いてビックリとしてしまった。お昼休みに彼のお弁当を何度かチラ見した事あるけど本当に美味しそうなお弁当だった。あれが全部彼の手作りお弁当だったなんて……男子力高すぎでしょ!
(あ、そういえば私……もうここの所ずっと親が作ってくれたご飯なんて食べてないわね……)
母親はいつも仕事で忙しいし、父親は他の若いお嫁さんの所に遊びに行っちゃってるから、いつも晩御飯はコンビニのお弁当とかパンしか食べてない。今日のお昼もいつも通りコンビニのパンだ。
だから私はいつも上神君のお弁当が羨ましいなと思っていたんだけど……まさかあれって上神君の手作りのお弁当だったなんてね……。
「えー、料理スキルもバッチリなの!? なのそれ完璧な王子様じゃん! あーあ、私上神君みたいな男の子と付き合いたいなー。確か上神君って今誰とも付き合ってないんだよね? 今の彼氏と別れたら上神君に告白しようかなー」
「うん、今は誰とも付き合ってないらしいね。でもね、上神君って今までに結構沢山告白されてるらしいんだけど、でもその告白を全部断ってるらしいんだよ」
(……へぇ、そうなんだ?)
私はそれを聞いてちょっとだけビックリとしていった。男の子って女子に告白されたら割と皆付き合う子が多いのに……それなのに上神君は誰ともお付き合いしてないようだ。
「えっ? そうなの!? だけど何でだろうね? 上神君は彼女欲しいって言ってたのにね?」
「うんうん、そうだよね? それなのに誰ともお付き合いしないなんて物凄く不思議だよねー。だからそんな上神君の事を周りでは“難攻不落の王子様”って呼んでる子が最近多いらしいよ」
「へぇ、そうなんだ! うわー、そんな難攻不落の王子様を私が一番最初に攻略してみたいなー!」
「あはは、波奈は今彼氏いるんだから無理でしょー。流石の上神君でも彼氏持ちの女の子と付き合ったりなんてしないでしょー」
「あはは、まぁそれは確かにね。あ、そうだ。そういえばそんな彼氏とさぁ……」
そして女子達はまたお互いの彼氏トークで盛り上がり始めていった。なので私は彼女達の話を聞くのを止めていったんだけど……。
(……って、あ、しまった。いつの間にか勉強する手が止まってたわ……)
クラスメイトの女子達による上神君の話をしっかりと聞いてたせいで私の勉強をする手が完全に止まってしまっていた。こんな事をしてる場合じゃないのに何をしてるんだろう……。
という事で私は気を取り直して急いで自分の勉強に戻っていった。




