シロと黒い百合
4話:絶対
「へぇ、面白い人なんだ。私もあってみたいなー」
ときらきらとした純粋な目でこちらを見ているシロから逃げるように目をそらした。
変わっているとはいえ、あの人が獣人をどう思っているのかもわからないし、この子もあったばかりだから、害がないとは言い切れないし、会うのはあきらめさせておこう。
「あの人結構外出したり、私でも会うのが難しいから多分無理…」
シロの方を向きなおし、目をあわせたらシロの耳がヘタリと垂れ、尻尾もシュンとしていた。
「…かもしれないけど、運があれば会えるかも…多分」
「本当⁉」
と垂れていた耳や尻尾がピンっと天に向かって立ち上がり目がキラキラしていた。
『黒百合ちゃんの先輩に会えますように。黒百合ちゃんの先輩がいい人でありますように』と手を合わせながら呪文のようにブツブツと言っていた
「あなたはいないの?仲のいい先輩。」
「うーん。なぜか私クラスメイトにも獣人にも人間にも避けられているからなぁ…なんでだろう?体質かな。」
この子も私とおんなじなのか。さすが『類は友を呼ぶ』だな
‥‥でも友達がいない体質なら友は呼べないのでは?
「あっ。いた」
「いたんだ」
「うん。『紫苑先輩』っていうんだけどね。生まれがこの国じゃないらしいんだ。でも、ものすごくいい人なんだよ⁉」
とものすごい勢いで喋ろうとするシロの声を遮るように鐘がなり始めた
『ゴーン、ゴーン、ゴーン』
「あっ!どうしよう、この後理科だった!遅れたら蛇先生に怒られる!」
と大慌てでお弁当箱のふたを閉めて黒百合に渡し、「ありがとう。とってもおいしかった!それじゃあ!」
と走って教室へと戻っていくシロの背中を黒百合はずっと見ていた。
その視線に気が付いたのか、シロが振り返り手を大きく振った
「また今度あったらお話いっぱいしようねー!!」
私は小さく手を振り返す事しかできなかった。
(また、会う事なんてできるのだろうか)
面白い話も出来ないし、不愛想だし、私に会いに来てメリットになることはないのに。
「絶対会いに行くからねー!!」
「絶対…か」
次はシロのお弁当も作っていこうと考えながら教室へと戻っていくのだった。
リアルが忙しくてなかなか書けませんでした。申し訳ございませんでした<m(__)m>