シロと黒い百合
3話:お話
「おいし~!!」
「それはよかった」
本当にこの子があの先輩を殴ったのか…
「こんなこと聞いちゃって悪いけど、あなたって本当に強いの?」
「んぅ?多分強いよ?」
「多分って…」
「うーん…この学校の中では一番強いけど、『超越者』と戦うってなるとわからないんだよね。向こうもいろんな能力があるからねぇ」
パクッと卵焼きを食べるとほっぺたをおさえて小さい声で「んぅー…」という甘い声を漏らした
「『超越者』たちの強さってどのぐらいなの?」
「個体差はあるけど、必ず戦いで弱い獣人一人はいなくなっちゃうんだよね。」
「そっか…」
「でもでも!この前は誰も死なないで任務できたんだよ!」
「そう。よかったわね。」
嬉しそうにそしてどこか寂し気な声色ではなしていた。
「それでね、それでね!!」
にしてもこの子よくしゃべるな。
重要な事もペラペラしゃべっちゃいそうな感じがする。本当にこの子大丈夫なのだろうか。
「あっ。でも私ばっかり喋りすぎてるね…。ごめんね、私の一緒に話を聞いてくれる人間さんが全然いなくて。」
「いや、聞いてて面白いから別にいいけど。それに、私話す話題とかないし。」
「えー!それじゃ、それじゃ!黒百合ちゃんのクラスってどんな感じなの?」
「私のクラス…」
私のクラス…女の子と付き合ってすぐ分かれる男の子、表と裏の差がすごい女の子、獣人を見下すクラスメイト達、ほとんど授業のやる気がない教師…そして私には友達と言える人ががいない。
(こう考えると私のクラス狂人と変人しかいない…)
「どうしたの?」
「…まともな人間がクラスにいないから、友達がいないなぁって。」
「そうなの?仲のいい人のお話ってある?」
「仲のいい…か。先輩かな」
シロが食べていたお弁当はすでに空になっており、シロの手がせわしなく動いている
「黒百合ちゃんの先輩ってどんな人なの?」
「先輩、ね。まぁ、変わった人だよ。でも普通の人間よりもいい人だよ。多分」
そう曖昧に返した。あの人は変わりまくっているから。