シロと黒い百合
一話:シロと黒い百合
「だからここはこの公式になって―――――」
私はこの『新星王学園』の生徒の一人の《黒百合》だ
簡単にこの世界を説明する
この世界では『人間』と『獣人』と『超越者』で別れている。
『人間』は世界を支配し争いを好み、『超越者』との争いを恐れる。
『獣人』は超越者との争いの駒として動く、『人間』の下の者たち
『超越者』は人間(弱者)を潰していくのが楽しみで、人間でも獣人でもない謎で包まれている。ただ、群れて襲ってくる『獣人』が嫌い。
そんな世界の中で今日も生き物たちは何も考えずに生きてゆく、いつも同じ日々が繰り返していく。
人間一人消えて行こうが、獣人一匹死んで逝こうが、超越者が何処へいこうか何も変わらない。
つぼみを付けない花のように、何か足りない世界はそれを知らずに回っている。
(本当につまらない)
「おや、チャイムが鳴ってしまったようだ。今日はここで終わろう」
「「はーい」」
「昼休みになるが、くれぐれも騒ぎを起こさないように!」
「「「わかってまーす」」」
(教室はうるさいし、中庭にでも行ってみようかな)
中庭には花がたくさんあってお気に入りは、サクラソウ…だったかな。
中庭は静かだし、優しい庭師?のおじいちゃんもいる。
本当にいいところだ
中庭の中心部には大きな大木がありよく日向ぼっこができていつもそこで昼ご飯を食べている
(自分の料理が毒も何も入ってなくて安心するんだよな。量も少ないし…)
自分の弁当にしんみりしながら食べていると遠くから怒声が聞こえてきた
「獣人が゛紫陽花゛様に近づくな!!!」
「ウッ…!」
怒声の方を見てみると白い獣人と、紫陽花と呼ばれるアジサイのような髪の色をしている男がいる…
アジサイのような髪の色ってなんだよって言われそうだけど本当に毛先が紫でそこから青色になって上になっていくと緑色になっていてアジサイだ。
「獣人がこの学園にいると思うと鳥肌が立つわっ…!」
「イッ…!たぁ…」
紫陽花が白い獣人に蹴りを入れた所で私の体は動いていた
「ちょっとなにやってるの?」
「…お前こそなぜそいつを庇う」
私の体は白い獣人の前で止まり、手を広げて獣人を守るようにしていた。
「なんでって…この学校じゃこういうことダメだったはずよね。それに、牡丹先生こういうめんどくさいこと嫌いだったわよね…もしこれがばれたら、どうなるかはご想像にお任せするわ」
「クソッ…!お前ら行くぞ…」
紫陽花たちは走って校内へ入っていったのであった。
「大丈夫?もし痛かったら保健室までついていこうか?」
手を獣人に差し伸べると白い獣人は私の手を握って立ち上がり私の顔を見て笑顔でこう言った
「助けてくれてありがとう!!あなた人間なのにいい人ね!!!」
この日、何か足りない世界でつぼみが一つできたような気がした
1つ