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妹の婚約者  作者: 秋元智也
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7話

南陵のオープンキャンパス当日。

長谷川も忙しく走り回っていた。


今日は高校からの生徒も多く観に来るのだ。

それ以外にも保護者、政治家などのお偉いさんも訪れる。

結構大きなお祭りだ。


その為に、邪な事を考える人も多くいる。

その最たる人が、林田誠だった。


大学二年で、怪しいお店を経営していて、そこのスタッフへと誘い

込みの手口がまさに、汚いのだ。


ここ、南陵大学は偏差値が高い上に、金持ちが多い。

そのせいで、裏口入学の話が数多く出ている。


それを利用して自分の店のスタッフへと誘い込み、言い訳しながら

そのまま働かせるという悪質な手口を取る。


それも断れないように契約書を先にサインさせて逃がさない。

逃げようものなら、多額の金額を請求するのだ。


だが、それも証拠を掴めていない。

話では聞いても証拠がなければ退学に追いやれない。


なので、目を見張っておかなければならない重要人物なのだ。


「今日も忙しそうね〜?」

「それは篠原会長もでしょ?」

「そうなのよね〜。まだ始まってないのに、疲れちゃったわー。次の

 会長に丸投げしようかしら?」

「会長なんてしませんよ…」

「またまた〜、長谷川くんなら、安心して委ねられるんだけどな〜」


会長と呼ばれたのは篠原百合子…彼女は、南陵大学の現、生徒会長だ。

その隣にいるのが、長谷川慎司。

生徒会長のお気に入りだった。


誰にも興味のなさそうな長谷川が、唯一従うのはこの、生徒会長だけだ。


「そういえば〜、婚約したんだって?」

「そうですね…」

「なに?可愛い子?」

「どうでしょうね。あまり観てないので…」

「…それって可哀想ね…キスくらいはしたの?」

「…」


黙り込むと、立ち去ろうとする。


「ちょっと待ちなさいよっ!女の子にそれは無いわよ?婚約者なら抱き

 しめるとかキスくらいはしないと嫌われちゃうわよ?」

「別に嫌われてもいいです。面倒なんで…」

「なっ…貴方ってほんとに……」

「親が勝手に決めて来たんで。それに家に入れてるだけでも感謝して欲

 しいくらいで…」

「長谷川くん、それでも婚約を受け入れたならそれなりの義務を果たし

 なさいよ!女の子はそういうのを大事にして欲しいものなの!」


力説されても興味が無いのは仕方がない。と諦めている。


「顔も覚えてないの?」

「うーん。どうだったかな…挨拶したけど…」

「長谷川くん。もったいないわ。せっかくイケメンなのに…」

「そうですかね?容姿になんて興味ないです」


それを言われると、もう何もいえない。

婚約者の子が可哀想に思えてくる。


「分かったわ。でもね、今日帰ったら抱きしめるか、キスくらいはしな

 さい!分かった?」

「はぁ〜面倒くさいですね…」

「面倒がらないっ!ちゃんと婚約者を喜ばせなさい!」

「あっ…ちょっと言って来ます」

「そうね、いってらっしゃい」


下を見ると、また林田が高校生に絡んでいる。

まだ初々しい可愛い子達だった。


顔もいい。

林田が誘おうとするわけだった。

すぐに、長谷川は引き止めると案内を渡して戻ってきた。


「なんか可愛い子だったわね?」

「…」

「どうしたの?」

「いや…どこかで見たことがあるような…」

「何よ?知り合いなの?」

「違います」


即答する割には、はっきりしない。

そして、夜遅くまで片付けがあると、やっと帰宅した。


食事にしようと向かうと丁度婚約者の顔を見た気がする。

確かに可愛いし、スタイルもいい。

短パンに生足。

わざと誘っているのだろうか?

仕方ない、これは会長が言うようにのてやるか。

面倒だが、これも男の甲斐性だと思って…


目を逸らさず近づくと壁際まで追い詰める。

頬が赤くなるのを見ると満更では無い気がする。


(面白くないな……こいつも金が目的か…)


財産目当てなら、簡単だ。

孕ませない程度に遊べばいい。

顎を持ち上げると唇を近づけた瞬間、予想外の反撃にあった。

下半身に痛みが走って、気づくと蹲っていた。


「なっ…なにするっ……」

「なにしやがるっ!この変態っ!」


咄嗟に逃げるように距離を取られ、呆気に取られたのだった。

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