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妹の婚約者  作者: 秋元智也
25/33

24話

喫茶店に入るとメニューが置かれた。

そこには最近新作と書かれたパフェとパンケーキが載っていた。


甘いのが好きな爽を思い出すと勝手に顔が緩む。


「長谷川くんの笑った顔って新鮮よね〜」

「それはどう言う意味ですか?」

「彩ちゃんの事考えてたでしょ?」

「それは…そうですけど…」

「あら、嫌だ!ほんと?前はそんな事言う子じゃなかったのに〜」

「先輩ふざけるなら、帰りますよ?」

「冗談よ、冗談。でも、意外よね〜。彩ちゃんの事で悩んでいた

 長谷川くんがね〜」


前はどう接したらいいか分からなかった。

だが、今は彼をどうしたらそのまま繋ぎ止めれるかを考えている。

不思議なものだった。


「そうですね…前だったらどうしたらいいか分からないって感じだ

 ったのが、今は…もっとそばにいたいんです。ずっと離さないに

 はどうしたらいいんですかね〜」

「そのまま結婚しちゃえばいいんじゃない?」

「出来たら苦労はしませんよ…」

「出来たらって…何言ってんのよ?婚約してるじゃない?まさか…

 彩ちゃんは結婚する気がないの?」

「はい…」


頷く慎司に篠原会長は驚きを隠せない。

ラブラブだとばかり思っていたが、それは一歩通行らしい。


意外な事実を知った篠原は少し嬉しそうだった。

まだ可能性は…少ないならがもないわけではないらしい。


「なら、私が立候補したらどうかな?」

「どう言うつもりですか?」

「だーかーらー、やきもち妬かせればいいんじゃない?ほら、私で」

「本当に嫌われそうなんで遠慮します」

「何よ〜これでも私、モテるんだからね!」

「知ってますよ。だからです。」


慎司が好きになったのは女でも、ましてや男が好きなわけではないと

思う。

彩という女性…いや男性だったけど、あの親しみやすい性格を好きに

なったのだ。


抱きたいとかはまだ分からないけど、ただキスしたい。抱きしめたい。

これだけはどうしても思ってしまうのだ。


篠原会長と別れて家に帰ると、キッチンでごそごそと何かを作ってい

た。


「それは…」

「たまには食べたいかなって…」


お手伝いさんから聞いてもう自分で作れるようになったらしい。

慎司が好きだと言っていたからと、言われるとすごく嬉しくなる。


抱きつくと嫌がるのを見ながら唇を重ねる。


「おいって!」

「やっぱり可愛い。」

「今は…ちょっと…」

「そのままでもいいよ?僕は彩の代わりが君でよかったと思ってる。

 こんなに触れたいって思うのは君だけだよ。それと、今日あの店

 行ってみたんだけど、かなりいいと思う。今度一緒に…」

「いや…外ではちょっとな…」


家の中でならまだしも、外でこんなベタベタされては困る。

最近はお手伝いさんの時間を減らして貰っていて、家事の全般は爽が

こなしている。

そして、家でも男のままで過ごすことが増えた。


玄関の監視カメラを気にして出かける時は女装するがそれ以外では、

ありのままの姿でいることが増えた。


それでも長谷川慎司の毎回のハグや、キスは変わらなかった。


「あ、あのさ〜、慎司ってさ…俺をどうしたいんだ?」

「どうしたいって?一緒にいたいけど?」

「…抱きたいのかって事だよ、俺は嫌だけど…」

「嫌なら別に求めてないよ?抱きしめるだけでも、嬉しいし…キスし

 たら柔らかくて気持ちいいなって…そう思ったんだけど…?」

「…/////」


何を言いたいかを理解したのか、慎司の顔が赤くなった。

抱きたいのか?の意味はストレートにセックスの事を意味していると

理解すると、言葉に詰まる。


そんな事、まだ考えてもいなかった。

ただ、今一緒にいられることだけを考えるのが大事であって、その先

など全く考える余裕すらなかったのだ。


「あ、セックスとかって事…」

「もういい、先に風呂行くからっ!」


やっと理解した慎司を置いて風呂へと言ってしまった。

他所と違って広いので二人で入っても何ら問題はない。



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