91.容疑
シエル視点二回目!
「………姪」
「持っておりましたが既に魔塔へ移され私の管理下にはありません」
結果は真。
いつ、とは聞かれてないしな。
「持っていたことは認めるのですか?」
裁判官の一人が姪に聞く。
「実は現在、少々魔塔の手伝いをしておりまして。呪いの所持は被害を減らすための対抗魔法を作るためです。魔術師様方からの許可も取っております」
姪には細かく聞かなければ大抵撒かれる。だからこそ、言葉選びは慎重にだ。
「公爵令嬢がそんなことをする必要がありません」
「私自身、自分の力を持て余しておりますので、お役に立てるのならと」
「………『真』だ」
「で、ですが、それが危険であることは事実。呪いの力を別のものに移した可能性もあります!」
食い下がるか。しつこいな。
「呪いを何かに移すことは不可能に近いです。それをやるには、かなり高度な魔術が必要なはずです」
躱し方が上手いな。
断言ではなく、推測。魔道具の鑑定もすり抜けられる。
「はず、と言うことは、可能ではあるのですね?」
「少なくとも、私は魔法で呪いを移すところを見たことはありません」
「『真』だ」
ちなみに、これは魔法で真と判断されてるが、偽でもある。魔法の弱点を突いて真判定を取ってるだけだ。面倒だから言わないが。
「こ、公爵令嬢は裏ギルドと繋がっていると情報があります! そこに殺させた可能性もあるでしょう」
場がざわつく。
ちっ、面倒な。
「………はぁ。あれらは魔塔の管轄で俺の代わりに繋がってる。これで良いか」
「侯爵が庇っているのではありませんか?!」
だったら魔道具反応してんだろ、バカか。………いや、バカだったな。
さて、どうしたもんか。
疑惑は簡単には消せない。俺の発言も肯定と取られる。
姪を横目で見やると、笑っている。
………ここで挑発するのか。
「…………何がおかしいのですか」
怒気を孕んだ声で、そう問う。
「あぁ、いえ。幼稚だなぁ、と」
「なっ………!」
「大体ですが、何故私が殺す必要が?」
淡々と言う姪の目は冷えていて、心底面倒だと言わんばかりだ。
「私が殺るのなら、証拠など残さずに殺りますよ。あんなお粗末なやり口が私の犯行だと思われるのは不愉快です」
結果は真。
姪は、自分なら証拠を全て消して完全犯罪を起こす。そう提言している。
「それに、お祖母様を殺るメリットがありません。こちらとて、何年も面倒なことに付き合っていたのですから」
虐待とも取れる行為に何も言わなかったのは、姪が止めていたからだ。それに付き合ってやっていた姪からすれば、今回のはかなりバカげているだろう。
「裏ギルドに頼んだとしても、こんなお粗末なやり方をする人を雇う訳がないでしょう」
繋がってるなら、もっと腕の良い奴雇うしな。
「えーと、伯父様? こちらからも質問大丈夫ですよね?」
「良いぞ」
あぁ、うん。だと思った。
姪が自分の時間取られて簡単に終わらせるはずねぇよな。
「では、いくつか。一つ目、何故呪いについて知っているのですか?」
搾り取れるだけ取ってくれれば俺も楽だし、特等席で姪の尋問を見るとしよう。




