90.魔法裁判
シエル視点。
アイリスのままでも良いかな、と思いましたがこれはシエル視点の方が分かりやすいかなと思いました。二、三話裁判にする予定なのでシエル視点が連続します。
面倒だ。この上なく。
魔法裁判。
被疑者、被告者両名。そして裁判に来た者にまで大掛かりに魔法を掛け行うもの。
嘘を見抜く魔道具を使い真偽を判定するのが基本だが、ここの場合は俺がいるため、体よく使われている。
【真実と虚偽】。それが俺の称号だ。公開はされてないがな。
まぁ、名前聞いただけだとへっぽこそうだが、称号と力は別に関連してる訳ではない。ただ、権能と呼ばれるモノを称号と言って人が扱ってるに過ぎない。その力も、出せているのは一割未満。
そんな力だが、使えると言えば使える。俺の場合はこういうのに適してる。
両者を称号で見て、真偽を伝える。
魔道具もあるにはあるが、信憑性はこちらの方が上。
話を戻すか。
今回の裁判の内容は、シティアル前公爵夫人、あの女の死について。容疑者とされるのは姪。社交界でも姪とあの女が上手く行っていないのは知れ渡っているから、予想はできた。
問題は、速すぎる。
一昨日の今日。ユラエスや義弟なんかには重いだろうな。姪………は問題ないな。あんまし倫理観とか正常じゃねぇし。
「……はぁ、これより、魔法裁判を行う」
一応、最高官? みたいな感じで話を仕切る形だ。
対極にはグルジアと皇子、皇后。右には姪を引き摺り降ろそうとするバカども。左にはユラエスと義弟、他にもカトレアなんかがいる。王太子とバカは隣国の要人って理由で来れてない。そして、目の前の下の位置で、真ん中の席にいつも通りに座る姪。
普通に変な感じだな。姪だけ見ると。
「また、今回は俺を含め、裁判官全員で皇帝へ宣誓する」
これは俺と姪が親族だからとうるさい奴らの言い分だ。
簡単に事実を覆せる立場が裁判官。そのため、魔術を使い、一時的な誓約を俺らも結ぶ。
「虚偽申告をした場合、ペナルティが発生する。五回ペナルティを受ければ俺も解除できないため、注意しろ」
裁判を開いて、「あ、間違ってました」じゃ割に合わないため、これは俺が言って入れた(十年くらい前に入れさせた)制度だ。
何が起こるかは、お楽しみって感じだな。
「………さて、今回の議題だが、まぁ、バカげてるな」
そもで、まともにやる気なんざないが。
「め………シティアル公爵令嬢がゴ………シティアル前公爵夫人を殺した。これは?」
ついクセで言い掛ける、つか言ってるが、まぁ良いだろう。
「やってません」
「『真』だな」
まぁ、やってるはずないからな。やれるはずがない、の方が正しいか。
「で、被告側はなんかあるか?」
ないなら終わりにしたいんだが。
「待ってください! こんな簡単に」
「報告書に書かれているものをしっかり読んでください!」
などと、まぁグダグダグダグダ言ってくる。
「………はぁ、簡潔にまとめると、お前ら全員『姪がゴミを殺した』としか出てこないものを、どう見ろと? もっとマシなもん出せよクズ」
隠しても意味ねぇから普通に喋る。今更だからな、本当に。
「………わぁ、仮面取れるの最速」
変なことに感心してる姪は放置する。どっかでゼクトが魔法で声掛けるだろ。
「つか、死んで二日後に裁判とかバカだろ。せめて二週間経ってからやれや」
「………シエルがまともなこと言ってる」
「おい、聞こえてるからな」
お前らも変なことに感心してるんじゃねぇ。俺もそんぐらいの気遣いはする。
「で、他あんのか? ないなら閉めるぞ」
焦るバカどもを見て、滑稽だな、と思っていたところ、一人が手を上げ、
「シティアル公爵令嬢は呪いを所持しているでしょう。それでの殺害は可能です」
とんだ爆弾を落としやがった。




